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基礎演習

皆様こんにちは。飯塚ゼミへようこそ。。。

「文学」「文化」を調べるには、必ず踏まなければならない「手続き」というものがありまして、この半年の演習はこの「手続き」を勉強してもらいたいと思っています。おそらく数ある基礎演習でもっとも宿題の時間のかかる演習だと思います。ただし、どんなに文学的な才能がない人でも、手続きさえ踏めば必ず出来ますし、その努力を評価します。これまで出席不良と課題未提出以外で落とした人はいません。また試験ではなくレポートでの採点です。

 

まず1時間目は、今学期の課題の説明をします。

文学の研究方法――その@本文を比較する。。

校合表を作成する。

 

文学の研究対象は「本文」(テキスト)です。私は能が専門なので、能のテキストを素材に扱いますが、能と言うのは古語で書かれた「劇」です。劇である以上、「このように変えたらもっと面白いかなあ。。」などと代々の役者が次々と変更を加えますから、いろいろな種類のテキストができます。これを比較して

     どの形が古い形だろうか。。

     なぜこのように文章を変えたのだろうか。。

と検討を加える必要があります。このような表を「校合表」といいます。

 各自担当する曲についての校合表をまず連休明けまでに作っていただきたい。。

これが最初の課題になります。校合に用いる本はこれから説明します。

古典の作品は、当然のことですが、もとは筆で書かれたものです。それを活字化することを「翻刻」と言います。その本をそのまま写真に撮って版にしたものを「影印」と言います。古文書から読むのが本式ですが、とりあえず、「翻刻」されたテキストの比較からはじめます。

謡曲の「翻刻」があるものを『謡曲百番』〔岩波書店・新日本古典文学大系〕によって挙げます。

凡例

翻刻または影印されている曲は、その所在がわかるよう、曲名の下に所収書目を略号を用い、團車1のような形で示し、検索に便ならしめた。書目の略号は以下の通りである。なお、原本にある上・中・下などの表記は便宜上1.2.3に置き換えた。

『謡曲評釈』〔評l19〕(大和田建樹校注博文館一九〇七年)

『四流対照謡曲二百番』〔対1-3〕(芳賀矢一校訂金港堂一九〇八-九年)

学『学生文庫新訂謡曲全集』〔学1-3〕(大町桂月・丸岡桂校訂至誠堂一九一一-一二年)

『新謡曲百番』(佐佐木信綱校訂博文館一九一四年)

叢『校註謡曲叢書』〔叢l-3〕(芳賀矢一・佐佐木信綱校訂博文館一九一四年)

拾拾「古曲拾遺四十番」『校注日本文学大系謡曲下』(西村紫明校注国民図書一九二七年)

*名『日本名著全集謡曲三百五十番集』(野々村戒三校訂日本名著全集刊行会一九二八年)

*観『謡曲大観』〔観l-5(佐成謙太郎校注明治書院一九三〇-)

解『解註謡曲全集』〔解1-6(野上豊一郎校注中央公論社一九三六年)

* 車屋本。〔車l-3〕『日本古典全書謡曲集』(野上豊一郎解説・田中允校注朝日新聞社一九四九-五七年)

国『新註国文学叢書謡曲名作集』〔国1-3(川瀬一馬校注講談社一九五〇一五一年)

番『番外謡曲』(角淵本。田中允校訂古典文庫一九五〇年)

番続『番外謡曲続』(角淵本。田中允校訂古典文庫一九五七年)

*大『日本古典文学大系謡曲集』〔大1-2〕(横道萬里雄・表章校注岩波書店一九六0―六一年)

『未刊謡曲集』〔未1-31〕(田中允校訂古典文庫一九六一二-八○年)

未続『未刊謡曲集続』〔未続1-(田中允校訂古典文庫一九八七年-)

*潮 光悦本。『新潮日本古典集成謡曲集』〔潮1-3(伊藤正義校注新潮社一九八三-八八年)

*集『新編日本古典文学全集謡曲集』〔集1-2〕(小山弘志・佐藤健一郎校注小学館一九九七-九八年)

世影印 『世阿弥自筆能本集影印篇校訂篇』(表章監修月曜会編岩波書店一九九七年)

以上の本のうち*のついているものと観世流現行曲、金春流現行曲にあるものはそれを比較・校合して校合表を作成してください。。