技法[かけ声]


棒の手の演技には、さまざまなかけ声(気合)が使われる。

「イー」「ヤー」「トー」「ドコイ」「ヤッコリャ」「ヤッコーレハ」「ナーン」「ナーント」「ナントー」「ハーッ」「エイ」が、

その主なものである。

ほとんどの流派では、演技の開始にあたって、「イーヤー」を用いる。

時には「ヤッコリヤ・ドコイ」で始める場合もある。

検藤流の場合は、「ドコイ」は演技の終了を意味し、最後に使う。

無二流の場合は一丸爾と称する作法を伴わない花棒の場合、最初に1回だけ「ドコイ」を用いる。

印場地区では「ヤッコリャ」とともに、「ドコイ」は演技の途中にも使われる。

検藤流以外は、「ナーント」「ナントー」が演技の終了の場合のかけ声である。

無二流では、「ナーント」は勝敗が決まる形が決まる形に振りつけられた場合にのみ用い、

その前に「ヤッコレハ」をつける。

「ヤッコーレハ・ナーント」は勝敗の決まる振り付けの場合で、

そうでない場合は「イーヤ・イヤ・ナーン」で終わる。

このように、各流派とともに、それぞれの演技進行上の約束を含んで、気合を使いわけている。

また検藤流のように「ハーッ」を棒太刀に、「エイ」をキレモノに主として用いるなど、演技の種類によって、

区別される場合もある。

本来、どの流派でも、かけ声に意味を持たせていたと思われるが、無二流以外は伝承が絶えている。