赤鬼と天狗のからかい
鬼祭2日目の午後1時より、小太鼓を聞いて赤鬼が多数の警固の若者を従えて広前へ走って来る。続いて天狗を先頭に司天師と笹良児が繰り込んで、参道の中程に控えている。
まず、赤鬼は儀調場(八角)の中に入って、跪いて神前に祈念してから、撞木を打振り、高足取にて電光型に天狗へ向かって進み、それから「からかい」が始まるのである。
赤鬼が手を上げてさし招くと、天狗もこれに答えて、同じく手を上げて招き、天狗は薙刀を構えて大地を踏みしめながら進みより、跳び上がって赤鬼に迫れば、赤鬼は儀調場の前まで退き、日の丸の扇を上に掲げてたたかいを挑めば、天狗も日の丸の扇で応え、それより広前をあるいは退き、あるいは進み、相合った時、赤鬼はここで神秘のからかいの所作を行う。天狗は怒って薙刀を持ち直して赤鬼に向かう。
かくて、赤鬼は再三挑戦するが叶わず、だんだん追いつめられ、八角のところまで来て、遂に支えきれずに遁れ出る。この時、茶色の裃を着けた警固の若者は、赤鬼を取り囲みながら「アーカイ」と口々に叫びつつ二の鳥居まで逃げる。
やがて引返して社務所に来て、供え物のタンキリ飴の土産を置いて境内に走り出て、氏子の町々を駈け廻るのである。
この時、茶色の裃を着け、赤足袋をはき、タンキリ飴の入った袋を持った赤組の大勢の若衆が「アーカイ」と呼びつつ、タンキリ飴をまき散らすので、群衆は争ってこれを拾うのである。
(鬼祭保存委員会他発行の冊子より)
勝利の天狗 「まいりましたぁ〜」