9 天に帰る

さるほどに、時移って、天の羽衣、浦風に棚引き棚引く、三保の松原、浮島が雲の、愛鷹山や、富士の高嶺、幽かになりて、天つみ空の、霞に紛れて、失せにけり

場面の説明 天女は、東遊の舞を終えて、月宮殿に帰るため空に上って行きます。
演出1 舞込〔喜多流〕 天女が舞いながら上って行く姿を、橋掛かりを廻りながら消えて行くことで表現します。これは喜多流の小書で「舞込」と言います。
演出2 霞留〔喜多流〕 最後の一句の「霞にまぎれて失せにけり」。は「霞にまぎれて」でとめて、後は唄わず、余韻を残します。これも「霞留」という喜多流の小書演出です。