8 類話を調べるとき
文学作品の場合、ひとつの作品がヒットすると、それに似た話が続々と作られる場合があります。テレビドラマでも、数年前にはひとつ不倫を題材にしたドラマがヒットしたらそれと似たような話が次々放映されましたし、あるいは「私の彼は、実は生き別れた兄弟だった」などというドラマがヒットするとやはりそういう筋の作品がいくつも作られたりしました。もしドラマが「現実」の社会そのものならば、私の周りにも生き別れた兄弟と恋に落ちたのがいそうですが、聞いたことがありません。文学作品は、先行する文学作品から筋や設定を借りることが非常に多いのです。この説話と似た話はないだろうか。そういったことを調べるときには、「類書」と言われる物が便利です。これは色々な書物から用例を抜書きしてきた、いわば「類例集」です。ただし、これらの本を調べるときには、必ず「原典」にあたりましょう。
以下の2冊は「類書」の代表的なもので、便利です。『古事類苑』は「総索引」で引きます。『廣文庫』は50音順です。
『古事類苑』 古事類苑刊行会 全60冊 昭和11年4月発行(2階参考 031)
『廣文庫』 物集高見著 廣文庫刊行会 大正5年9月発行 (2階参考 031)