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民謠収集旅行記録 1957.2〜 No.3 1.§85 参候まつりのツゞキ 21.§86 三重県鈴鹿郡関町 25.§87 岐阜県吉城郡国府村 27.§88 高山市(祭) 36.§89 中津川市の下見 36.§90 高山市(労作) 39.§91 愛知県愛知郡東郷村 44.§92 岐阜県山岡町 44.§93 高山市(童唄) 53.§94 岐阜県吉城郡神岡町下見 53.§95 三重県一志郡三雲村 63.§96 岐阜県郡上郡第一次収録 63.美並村刈安 64.八幡町口明方 67.奥明方村 70.高鷲村 76.白鳥町長滝 1 前冊より ネ.かゝる貴き神座へことすさまじきなりをしておいでたるは何者にて候 ジ.さん候、某は七福神の内、寿老人にて候 ネ.寿老人様には何として御出でなされ候 ジ.先達て七福神皆これへ御出でなされ候によって、惣氏子無難長久のために諸社の盃を致さんとて来候 (こゝで釜を三度廻ると福禄寿が出) ネ.かゝる貴き神座へことすさまじきなりをして御出でたるは何者にて候 フ.さん候、七福神の内、福禄寿にて候 ネ.福禄寿様には何としてお出でなされ候 フ.さん候、惣氏子息災延命、五穀成就、万民繁昌の為に、福徳長久の神酒を持参仕って候 (次に布袋・寿老人に向って) フ.先達って布袋・寿老人御出で成され候が、とかく氏子繁昌の為に、何れもシヨサの福を授けて参らん ホ.さればシヨサイは揃うたけれども、まずこれにまします牛頭天王、八王子白山、妙理大権現、十一面観世音菩薩、惣て日本大小の神祗に、御湯を献上致し、何れもショサを致しましょう (と持参の神酒と湯を献じて入る。老・福も湯を献じて入る) 八、駒 (弥■がヨイ駒ヨイ駒と言いつゝ引いて出て共に拝をする。そして) ネ.この駒は昔、唐天竺より天降りし駒にて候 竜頭の山のぐそ葉をたべるか (駒は首を横にふる) ネ.笹の頭の山の笹をたべるか ( 〃 ) ネ.観音様のべらべら餅をたべるか (駒は喜んで首を縦にふる) 2 ネ.食べる食べると申します (ヨイ駒〈といい、馬も拝して入る) 九、殿面 (釜を三度廻って、五方に米を蒔く、これを米打★ヨナウチ★と言う、その時下の文句あり) ト.さんくう次第 東…謹請東方 南…ちくりさんぐ 西…たいさんぐ 北…たいさんぐ たねまき次第 悪のたねをそとへまく 福のたねをば惣氏子へまく 中ふうへ神づとう そらへまく (三度釜を廻って入る) 十、さい払面と獅子 (右手に日の丸扇、背に榊をさして出て来て釜を三度廻り、獅子を呼出す。その時榊を扇をもみ合わせる。獅子が出ると共に釜を三度廻り、鯉の滝上りのハタに向って獅子に滝上りをさせ、釜を三度廻って湯を献ず。こゝで獅子はあばれだす。さい払はそれを追つゝ釜を三度廻ると獅子は入る。そこで) サ.シンラン清く (ととなえ、釜を三度廻って入) 榊上次第 ミサキや〈そこのけミサキ、弓では射ようず、刀★タチ★では切ろうぞ (かくて夜は白々とあけて) 3 註 現地のさん候祭りの記録より ◎舞子 栗島、折立、筒井、小滝、四ヶ村にて相勤め候 此譯 千子、八四ヶ村追番ニテ勤 (栗島)獅子、さいはらい、四人、大平楽(つるぎとも申す)三人 (折立)不動、弁天、寿老人 (小滝)福禄寿、蛭子、駒 (筒井)毘沙門、大黒天、布袋 ◎御祢理番附 一番 榊 松井弥■ 二番 獅子・ほろんはた 一本 三番 ほ路 一人 四番 はた(雲に竜・竹に虎)三ツ 五番 笛に太鼓 (小滝)二人 六番 戸拍子(二つ) (栗島)二人(折立)一人(筒井)一人 七番 ひしゃく 八番 御千子 四ヶ村から四人 庄屋 一人 九番 はた 一人一本 十番 御へい 栗島弥■ 十一番 御みこし 四ヶ村四人 十二番 御刀 折立弥■ 十三番 庄屋 一本 十四番 はた 一人一本 ◎御料理 人足割 (栗島)はたさし 二人 御千子 一人 4 御こし役 一人 笛・太鼓 二人 庄屋 一人 計七人 (折立)はたさし 一人 御こし役 一人 御千子 一人 笛・太鼓 二人 庄屋 一人 計六人 (筒井)はたさし 一人 御こし役 一人 御千子 一人 笛・太鼓 二人 庄屋 一人 計六人 (小滝)はたさし 一人 御こし役 一人 御千子 一人 庄屋 一人 計四人 尚小滝と言う地名は現存せず、行戸★ギョード★・峯坂の二部藩に分かれている ◎寄進 明治22年11月16日笠井島、一、面 七神七表 笠井島 松井彦右ヱ門 明治27年11月16日 一、獅子 一頭 小滝 松井廉太郎 一、面 一ツ 五領村 原田紋之助 一、 〃 原田忠右ヱ門 一、 〃 牧野八郎次 一、 〃 寄田和伝兵ヱ 一、 〃 斉藤国太郎 一、 〃 神谷又四郎 5 一、 〃 梶野久右ヱ門 一、 〃 笠井島 原田廉右ヱ門 一、 〃 筒井弥右ヱ門 一、 〃 儀 光中 一、 〃 羽谷源兵ヱ 一、土拍子 原田平兵ヱ 一、 〃 須山 夏目民右ヱ門 ◎御祭礼牛王 一、二十五軒、他三軒、古田、程野、きびゅう 栗島村 一、十五軒 松戸村 一、二十八軒 ○○村(判読出来ず) 一、九軒 折立村 一、八軒 小滝村 一、三十六軒 田峯村 一、十五軒 笠井島村 一、二十三軒 小田村 一、七軒 五領村 一、十八軒 儀光村 一、三十六軒 下菅沼村 一、二十五軒 上菅沼村 一、二十二軒 善夫 小畑ヶ 一、九軒 須山村 一、四軒 海老村 計二百六十軒 延享四年卯11月16日写之 北設楽郡段嶺村大字三都橋 持主 氏子惣代 原田平八 印 明治三十年酉吉日 写之 6 上原本は原田家蔵す、当主、原田平八郎 ◎さん候参りについての文献 一、田口十ヶ村由来記(延享年間記)に「折立田楽祭」として記 原本は設楽町田口伊藤隆氏所蔵 一、愛知の教育 一、郷土文化 昭27.1号 鬼頭素朗記 ◎花祭 12.7〜8にかけて北設楽郡東栄町月にて花祭りを下見 一、設楽と花まつりについて 花まつりは日本に於ける古い舞楽が伝わり残ったものだといわれるが、それが上代に於ける設楽地方(今の北設楽郡東部)を中心として遠江・信濃の山地に及び、現在も二十三ヶ所にわたり天竜川域に行われている。 花まつりの語源としては、年の初★ハナ★の祭とか、穀物のハナを豊かに咲かせる祈りの祭の意とも思われる。又、大入川なる名は昔は王入と記したそうで、花山天皇が十九才で法皇となり四十一才で崩御なされたことになっているが、実は此地に入られたので、王入と言う名がつき、その子孫が盛え、今の花山家にいたるという。この花山家に最も古いと思われる元禄年間の写本になる歌ぐら集がある 昭和27年3月29日無形文化財指定 二、祭りの概要 ○花宿★ハナヤド★(祭場)…(民家交替・指定民家・神社) 舞戸★マイド★(舞の行われる土間)…(お庭・屋内) ○花太夫(又は花弥■)…(司会の神主)(天災地変・悪疫・病虫などすべての悪魔を退ける) 舞子(舞をする人) ○準備 花宿清掃・奉仕者潔斉 舞戸中央に釜戸を作り大釜をすえる 湯ぶた(紙製の笠のようなもの)を釜の上に下げる 7 天井に白開★ビャッケ★・切り紙・神道★カミミチ★(すべて色紙)を作り下げる A神部屋B神座(楽座)C舞戸D会所(事ム)Eせんじ(賄所)Fせいと 21 86.三重県鈴鹿郡関町(1958.10.9〜10) 本田善郎・佐野哲志・堀田重雄 1)同町加太★カブト★支所にて収録 a.木挽唄 3'44" 岡田・青 ■木挽さん達ゃ お国は何処ぢゃ 国は勢州加太郷 ハーコレワイコレワイ ■うまい事言うて わしをつれだして これが都か山の中 〃 ■加太城山の古井戸の中で 刻を告げるよ鶏が鳴く 〃 ■何が因果で木びきになった 花の三月山の中 〃 ■娘島田に蝶々がとまる とまる筈だよ花ぢゃもの 〃 ■声はすれども姿はみせぬ 奥山住いの時鳥 〃 ■心からとて我土地離れ、知らぬ他国で苦労する 〃 ■年はよれども江戸吉原の 女郎の手枕思い出す 〃 ■まさかちがえば二足のワラジ 共にはいたりはかせたり 〃 ■岩に松さえ生えるぢやないか 添うてそわれぬ■はない 〃 b.石搗唄 5'08" 岡田・青 ■朝のかゝりは錫杖(1)向いて ボンレイ(2)倒すは戌の隅★スマ★ 面白や コラヨイヨイ アノイヨノヒョータンヤー アーエッサモッサ ■めでためでたの若松様は 枝も栄ゆりゃ 葉も茂る面白や 〃 ■歌の先生おそばにおいて、下手な私が脇に立つ 〃 〃 ■こちの家はめでたいお家、鶴が御門に巣をかけた 〃 〃 ■朝のかゝりにこれはナーと思うた。千秋楽とはお目出たい 〃 〃 ■お前百迄わしゃ九十九迄、共に白髪の生える迄 〃 〃 ■抱いて寝てさえすき間の風が、さぞや寒かろー一人寝は 〃 〃 ■わしの若い時ゃおかめと言うたが、今は七村(3)の庄屋のかゝ 〃 〃 (1)加太郷に接する錫杖岳 (2)石搗の棒 (3)部落名 22 C.唐臼ひき唄 4'03" 岡田・青 ■臼よ廻れよ、どんどと落ちよ お手の揃ろたは今宵ばか ■今年ゃ豊年 穂に穂が咲いた 道の小草に米がなる ■臼よ廻れよ今宵のすり手 若い兄さん娘さん ■臼すりゃすりゃこそ唄でも唄い 若い姉さんの手にさわる ■辛棒しおうて稼ごうぢゃないか 稼ぐに追いつく貧乏なし ■わしはお前さんに あなたはわしに、情かけたりかけ合うたり ■お前さんとなりゃわしゃ何処迄も長い刀の先までも d.田草取唄 2'40" 岡田 ■ようも生えたよ この田の草は、なぎゃそろえや おもだかや ショーガイナ ■しょうがいな婆さんを袋に入れて、高い山からコロ〈と 〃 ■盆は来い来いな正月は来るな 若い姉さんの年が寄る 〃 e.麦打ち唄 1'16" 青 ■麦はおひげの荒ひげなれど、かゝりゃさ程の事もない ■一生添うのにわれのような奴と、わしもお前さんの様な人と ■可愛いけりゃこそ 一つも叩く、憎くて二つも叩かりょか ■あーその裏返せ、返しゃ受取る親の役 ■親の彼なら受取りもしように、もとのしまだにして返せ f.伊勢音頭 10'00" 岡田・青 ■伊勢の豊愛★トヨク★の銭かけ松は 松は枯れても名は■る ■今年ゃ豊年穂に穂が咲いた 扇子の要に苗植えた 十本植えたら千株で、百本植えたら万株で とれるお米は、どれ程とれたか数知れず その米おマンマに炊いたなら 冨士の山よりまだ高く その米お酒に造れば 今宵いたゞく この御酒よ この御酒上る方々は 命長かれ末繁昌 ■奈良のきく酒千両しょうとまゝよ、殿の寝酒は断やしゃせぬ 23 殿の寝酒の肴には いそ海老なんぞをとり出し さても珍らし この海老は ひげが長うて尾が高うて 背には長命のしわをよせ 腹には四海の波をうたせ こわや扇の形なり 扇というは元を正せば 肝心要の末でバラリコンと開くもの、扇めでたや末繁昌 ■ちょいとこゝらでさしものずくしと出かけましょう さしものずくしのことなら 餌差しは鳥刺す、さむらい二本差す 餅屋のおかかはみたらし串にさす 十七八のお娘は櫛や箸 頭にさす 雨降りや唐傘さしまする、 夏向きゃ日傘もさしまする そこで好いたお方には、本気にさしまする 嫌なお方にゃよいとこ うろうろさします 本当のこっちゃ ■こちの座敷はめでたい座敷、白きねずみが三つ連れで また三つ連れで六つ連れで、お椀くわえちゃ舞をまう、本当のこっちゃ g.茶つみ唄 1'30" 岡田 ■宇治は茶どころ 茶は政所 娘やりたや婿ほしや ■お茶をつむなら芽茶からつみゃれ 芽茶は目もきく歯もたまる ■お茶つみ番頭さんが盲ならよかろ お茶の叱言が無うてよか■ h.粉ひき唄 1'10" 岡田 ■粉をひく時 いねぶりかわく 団子喰らう時ゃ猿まなこ ■恋し恋しと鳴く蝉よりも、鳴かぬ蛍が身を焦す ■心よくもて熱田の宮の 弥■の娘が蛇になった ■弥■の娘が何故蛇になった 心邪剣で蛇になった i.子守唄 3'40" 岡田 ■ねんね〈とねる子は可愛い、起きて泣く子は面憎い ■坊やのねんねをするひまに 赤いまんまも炊いとくし おきたら含めてみな喰わそ 24 ■ねんね ころ市 竹ばの与市 竹葉揃えて舟につむ ■舟につんだら何処迄行きゃる 大阪天満の橋の下 ■橋の下には蛇がおるぢゃげな こわい蛇ぢゃげな 嘘ぢゃげな j.鈴鹿馬子唄 3'45" 佐野 ■坂は照る照る鈴鹿はくもる あいの土山雨が降る ハイハイ ■馬がもの言うた鈴鹿の坂で、おさん女郎なら楽しよというた 〃 ■関の小万が米かす音は お客寄れよれ、寄れとかす 〃 ■関の地藏さんに振袖きせて、奈良の大仏婿にとる 〃 k.関地蔵祭礼唄 2'25" 佐野 ■関の地藏さんに振袖きせて 奈良の大仏婿にとる ヨイヨイヨイヤナー ■坂は照る照る鈴鹿はくもる あいの土山雨が降る 〃 ■めでためでたの若松さまは 枝も栄ゆる葉もしげる 〃 ■高い山から谷底みれば 瓜や茄子の花盛り 〃 l.鈴鹿馬子唄 2'07" 加藤 j.と同様 m.収録していない馬子唄(祭礼唄にも唄う) ■関の小万が亀山通い 月に関から廿五日 月に足駄が廿五足 ■関は千軒、女郎屋が五軒 女郎屋なくては関はたゝぬ 協力者 関町役場 藤岡義男氏 〃 加太支所 杉野芳松氏 唄手 関町大字向井 岡田五郎吉氏 65才 〃青 百太郎氏 63才 関町木崎町 佐野武市氏 68才 関町大字坂下 加藤 茂氏47才 尚、加太では8/15〜16 盆踊りあり(カンコ) 25 87.岐阜縣吉城郡國府村(1960.1.26〜27) 高山放送局にて収録 1.金藏獅子 ・その沿革 同村大字広瀬町氏神祭典(9/20頃)(加茂神社・諏訪神社合祀祭)の際行われる金藏獅子は、往■同神社に奉仕した僧侶が例祭当日田楽舞を挙行した道風を採り、後世此の獅子舞を演ずるに至ったという。 この獅子舞は伊勢神楽や越後の獅子と異なり、太古飛騨の住民が狩猟を主として生活をたてた道風を伝えると共に、武にも秀でて獅子を退治し、国土安隠を期する勇気溌■たる男神の活動と、婿客嬌態ゆたかな女神の舞で悲劇・活劇を演ずる。 現在、広瀬町・金桶・上広瀬の三ヶ所で行う ・構成人員14名 世話係 1 囃子方 7 (笛4、大太鼓1、摺鉦2) 舞 6 (男神(金藏)1、女神(おかめ)1、獅子2、予備2) ・概況 天狗面をつけ、鶏毛冠をいたゞき手甲短衣に身を固め、タツキをはいた男神は、両手に紅白段々巻の短棒(剣?)を持ち、終始獅子の前に立って、左右に獲物をふりつゝ獅子の進路を遮り、獅子が衰える所でその背に騎乗する。 獅子は奮然として数尺の高所より男神を振りおとし、地上の男神を逆襲す。 お福面をつけ■手な女衣をきて、サゝラを持った女神は常に獅子 26 の後にあって、サゝらをすりつゝ男神の挙動をまねする。男神が獅子に振落されると手足を撫でようとする。男神は怒るが憤せず介抱に努める。 やがて獅子が疲れはて休む所を男神は躍りかゝり、囃子は急速になり観衆は「やるわいやるわい」のカン声を上げる中、男神は獅子頭をめがけて短棒を投げるが命中せず、遂にこれを生けどりにせんと組みつき払い除けられ、三度目にやっと地上に組敷き、短棒を拾って後頭部を刺し、四肢をしばったのち、躰に打ちまたがり、天を仰いで凱歌を上げる。 この間中、女神はサゝラを鳴らしつゝコッケイな身振りで男神の周囲を舞う。一通り20分程を要す。 ・収録 1.道行 30" 一行の宮入り道中 2.おばこ 36" 安置した獅子を追い立てる 3.囃子 3'14" 獅子舞 4.道行 18" 帰途の道中 演者(笛)船坂利昭、清水藤夫、大林 繁 (摺鉦)川田多喜雄、釜森一夫 (太鼓)横田忠道 2.仕事唄 同村宇津江★ウツエ★ 落伏★オチブセ★長二郎(77) ・臼ひき唄 1'00" 泣くな嘆くなわりゃ泣けゃおらも、ついて泪が出るわいな 思い込んだかわりゃそれほどに、あとは言わでも知れたこと ・桑もり唄 1'45" 桑を盛りゃるか お蚕がよいか 又は糸とりなさるるか おらがとこでは爺婆年寄り 仕事なすのもわし一人 ・田植歌 54" 急いで植えて来んと 代のかいたのは ねぐさるぞ(悪くなる) 植えてい植えてい 代のかいたのは いくらでも 27 88.岐阜県高山市(1960.4.13〜14) 高山市日枝神社大祭録音 ○祭礼に就いて 日枝神社(高山市城山156番地)祭神大山咋神(一名 山末之大神) 天正末年金■長近が高山城築営の際、祭祀したもの。安川以南の鎮守神、祭礼を山王祭と称す。(享保元年頃よりの称) 祭礼行事 イ.神賑行事稽古 彼岸がすぎると、斗鶏衆(片野町青年団)、神楽囃子(■下町青年団)、屋体囃子(各屋体組)の練習が始まる ロ.例祭会議 4月1日10時 日枝神社にて ○祭典式次 ○屋台ひき順路 ○氏子中の装飾 ○その他につき協議 ハ.旗立て及屋体装飾 4月11日、町内各所に幟飾を立て、各屋台組では倉庫から屋台を出して装飾し、当番飾をかざる ニ.町内飾り 氏子町内は、簾をかけ、水引幕をはり、献灯を掲げ、門口に浄砂をして、御神輿の通路の用意とする。 ホ.屋台曳順抽選 4月13日午前6時、各屋体から責任者一名出て行列順を定め捺印。 28 又神明町及旅所に於ける屋台の位置もきめる ヘ.祭典式次 14日奉幣祭(小憩) 御神幸祭、御分霊を神輿二基に奉安し、出御。夜は御旅所で夜祭 15日氏子祭 九時神輿御旅所発、町内巡幸後、本社で還幸祭、千秋楽 ト.斗鶏衆(片野のカンカコ) 建久四年右近将監、多好方、飛騨国荒城の地頭に任じられ在任中に考案した囃子 チ.神楽獅子 獅子舞二頭、行列の前駆をする 神楽台より笛太鼓をはやす リ.小分祀列 せまい途に巡幸するため、小榊に神符を奉載して奉持し、神官護衛等一小分隊で巡る。 ヌ.警護員 神幸行列の警備員(麻裃・一文字笠・紙緒草履・竹杖) 攝社神明宮から奉仕するのは神明講と言う(革羽織の消防姿) 屋台曳き行事 14日午前中に神明町に集合、神幸行列を奉迎ののち、各屋台は旅行前に入り、所定の位置でからくりを奉納 15日安川通りに集まり神幸を見送り、各町へ帰る イ.当番飾り 当番宅を座敷を開け、道路から青竹柵の橋をかけ、榊を立て浄砂をしき、瑞幕をはり、座敷に毛せんをしき祭壇を設けてかざる。各町により趣がことなる。 29 ロ.昔の屋台曳順 子卯午酉 一之町 丑辰未戌 二之町 寅巳申亥 三之町 その年のエトの町を下り、翌年のエトの町を上る ハ.順道場 川原町御旅所附近にあり、屋台通過を確認する所 ニ.からくり 昔は各屋台にあって、屋台名はそのからくりの名で呼ばれた ホ.引分れ 各屋内に数多の丸子提灯をかざり、各自は高張・馬上の提灯を持って引分れの唄を各台の囃子にあわせて唄い分れてゆく。こののち各屋台の責任者一名は順道場に集り、御祭無事終了の挨拶をして千秋楽を謠い納める。 屋台の囃子と人形 (次頁以下表をcf.) 竹田出雲■の操人形を主体とし、謠曲及び長唄を各時代相に応じてとり入れている。 30-35は別ファイル 36 §89.中津川市役所 間良平氏より 同地の民謠 安保薫石氏 中津川節 近松じょう、佐藤三絵、山口勝子氏を紹介される §90.高山市(1961.4.4〜5) 本田善郎、山本 高山局にて収録 出演者 槇本末吉(高山市森下町1の116・明治42生) 1.石場かち唄(地搗唄)1'44" ヤットコセ ヨイヤナ アリワリヤンノコリワイセ サーナンデモセイ ■鯉の滝上りゃ さーえ、何と言うて登るよ 山を川ねしょとナンデモいうて登るよ ■此処やかたは目出度いやかた 鶴が御門に巣をかけた (ハヤシ) ここ迄収録 ■鶴が御門に巣をかけおけば 亀がお庭で舞い遊ぶ (ハヤシ) 2.田植唄 56" ヤレ ヤレヤレ ■お十六七田植の姿 鷺が沼田を越すような 返し■越すような鷺゛が、沼田を越すような ■こゝは途端★ミチバタ★さらりと植えて、通る殿さにお目にかけよう ヤレ ヤレヤレ こゝ迄収録 ■やれ〈〈番じゃやら お城太鼓の音がよさよ 返し■音がよい筈よ おらが殿さの番ぢゃもの ■ちゃぼ〈〈と植えた田圃に米が成る 返し■定じゃわいな 植えた田ねこそ米が成る ヤレ ヤレ ヤレ 37 ■切れた〈は世間の手前 水に浮草 根が切れぬ ■苗もようとる 田もよう植える 乞わばやるぞえ野休みに ■海上番場のばん持石も、おりん思えば軽るござる 註(海上番場は御母衣の近くの地名、こゝの祭りには青年たちの重い石の挙げくらべがある) 3.田植唄(テンポの早いもの) 53" ドッコイ〈〈 ■早乙女 植えぬか どうぢゃ 植えにゃ追水あてかける ■お唄いなさりょ 歌で器量が下りゃせぬ 返■下るようね思うて、唄わなんだよ 今迄は ■はりこんで頼む、仕事ぁ元気についたもの ドッコイ〈〈 【■どっこいどっこい、どこへもやらぬ おやま買いには尚やらぬ ■おらが殿さまは代かき上手 代に御難はござらまい】(これは未収録) 4.田ノ草取・苗取・桑つみの唄 1'52" ヤレ ヤレナー ■たいた松明 さし上げて見りゃれ 少しはお顔も見とうござる 返し■見とうござる 少しはお顔も 見とうござる ■今年始めて田ノ草とれば、あとに小草がそよそよと ヤレ ヤレナー こゝ迄収録 ■わしは唄好き 唄わにゃおれぬ 御免なさりょう 夏三ヶ月 ■向い小山に天道様うづく おらが苗代 おらが苗代 なおうづく 返■何というてうづく 咲いて実れと咲いて実れというてうづく ヤレヤレナー 註(この唄は御岳おどりと似たふし、諏訪によく似たヨイトソレ節がある由) 5.草刈唄 1'50" ナンジャヨノー〈 ■草を刈りゃるか刈乾かるか 鎌が切れぬかおいとしや 38 ■馬に乗るのが大名というなら、夏の草刈りゃみな大名 ■雨が降ろうやら夕立来★コ★やら、山の木の葉が裏返す ナンジャヨ ノウノウ (以上収録) ■鎌が切れねばといでもやるが、おらがといだとはいわしゃるな ■おらが唄えで向いでつけた、昔なじみか友達か ■思い出しては来られた方の、山をみてさえ なつかしや ナンジャヨ ノーノー 6.唐臼ひき唄 1'00" ザイザイ コメヨー コラショ ■俺とお前は こう仲ようては 妻を仲間に持たまいか 返■挺妻を仲間に持つのはよいが、お前きりょうよし、おら悪い ■今夜臼ひきゃ よう舞う臼ぢゃ 切子とうろうのまうようね コラショ ザイザイ コメヨー コラショ (以上収録) ■岩に松さえ生えるでないか、添うて添われぬ事もない ■今年豊年穂に穂が咲いて、升はとりおき箕で計る コラショ 7.木やり唄 1'50" ヤットー ■綱手の衆よ ■オイオイ ソリャ ■たのんだぞ ■オイ ソリャ ■追■子 どうじゃ ■おいきりどりしょ ■今度はずらしゃ ■おい長じゃそよ ヤンサノエンヤラショー ■その熱さますな エンヤラショー ヤンサノエンヤラショー (以上収録) ■大持ちゃ都へ出るぞえ エンヤラショー ヤンサノエンヤラショー 39 §91.愛知県愛知郡東郷村(1961.4.26) 4.18 下見にゆき野々山佃村長と会い依頼 習慣(村史より)関係分 ○ウンカ送り…土用三日前 昭和10年頃迄 ○お鍬祭…陰暦六月十一日 殆んど廃絶 ○左義長…正月十四日 ○山の神(山の講)…十一月十七日迄の一週間〜二週間 現在裕福寺部田白土・部田山にあり ○村芝居・獅子舞…廃 ○盆踊り…明治中ばに廃 ○雨乞い…廃 ○尾張万才…一部存 1.田ノ草取唄 石川よき(70)石川隆久(76)野々山千代松(56) 1'54" ■暑つや悲しゃ六月土用は、水が湯にわく田の水が ■浮いたかヘヨータン軽そうに流れる 妾もあの身になりたいよ 「お暑うございます」 ■いとし主さんナ 五反田に一人 涼し風吹け空くもれ ■あなたとこうせりゃこうよいものかい 三千世界が平だよ ■娘島田に蝶々が止る。止る筈じゃよ 花じゃもの ■お平やおつぼでよばれたこたない この田の田の草ばかりだよ (以上収録) ■面白いぞえ田ノ草とりは、水が湯に沸く肥になる ■様と二人で田ノ草とれば、笠がすれ合う面白さ ■うちへ行きたやあの山こえて、親に来たかといわれたや ■嬉し涙を茶わんにうけて、親に酒だと呑ましたや ■二度とゆけといわれた時にゃ、レール枕に汽車をまつ ■わしが死んだら箱根の山へ、いけておくれよ路傍へ ■人が通れば南無阿弥陀仏、親が通れば血の泪 ■わしが死んでも誰泣きゃせんが、山の鴉と親ばかり ■暑さ悲しや六月の土用にゃ 水が湯にわく田の水が ■歌いなされよ どなたも様も、歌で御器量が下りゃせぬ ■田の草とれどもこの米くわぬ、やがて穂が出りゃわしも出る ■雨も苦にせず巣をくう燕、末の栄を楽しみに ■暑さ悲しや六月の土用に、二番田の茸かきならし 2.土臼ひき唄 野々山千代松、石川よき 1'22" 臼ひき唄 野々山みな(80)、石川よき 1'05" 40 ABC土臼ひき唄、abc臼ひき唄として収録 ■土臼は篭だよ遣り木は樫だよ、三角ないように円まえよ C■今年ゃ豊年穂に穂が咲いて、桝は面倒箕で計れ ■土臼ひく時ゃねむっていても、お団子たべる時ゃ猿まなて ■ギッコ〈となくなよ土臼、今に■さする休まする B■菊に桐とは禁裏様の御紋、葵御紋は尾張様 ■様と山しょの木は枯れても匂う、枯れて匂わぬ千日草 ■様と三夜の三日月様は宵にチラリと出たばかり ■花は枯木に二度咲かねども、鳥は枯木に二度とまる c■ひいておくれよ一番びきを、二番びきからわしがひく ■松という字は木へんにきみよ、君に気がなきゃまつぢゃない ■今夜のこの臼忠臣蔵よ、勘平女房でお軽だよ ■楽は苦の種、苦は楽のたね、角心棒は金のたね ■土臼ひくなら骨身を入れて、かけたたすきの切れる程 ■めでた〈の若松様よ、枝も栄えて葉もしげる ■めでた〈をいうその様は、受けて喜ぶ両親が ■めでた〈が三つ重なりて、鶴が御門に巣をかけた a.A■臼のひき役二番鶏唄う、天の川原は西東、スットコドッコイ ドッコイショ b.■派手に染めたい大工さんの浴衣、肩には道具箱かたに鉋にこじょなに 定もんすみつぼ腰にはさしがね スットコドッコイ スットコドッコイ 裾にはかんなの吹きちらし 3.米つき唄 ■トントンつきゃ又お米がくだける 砕けたお米は味がない ■註(明治大正頃迄 ダイガラでついた) 4.水かえ唄 野々山松郎(68)野々山■★キュー★一(67) ■天の七夕おいとしござる 川をへだてて恋をする ■雨が降りゃよィしパラパラと ■竹に雀は品よくとまる とめてとまらぬ色の道 1'35"(以上収録) 41 5.綿つぎ唄 野々山つる(69) 1'12" ■わしが綿つぎゃ車の向うで、お箱枕でねてござる ■お箱枕でねてならよいが、糸が太いかみてござる ブンブンブン ■綿をつぐなら左を向いて、も早や立つように篭まきして ■わしのつむ木ゃ小さて丸い。新地小畑の芋のような ブンブンブンブン(以上収録) ■糸も出よやれ車も廻れ、あまるつものき夜がふける ■明石御前がおたちの時節にゃ 稲葉で休んで清洲がお昼で 名古屋下って宮詣り ■木びきひくひく段戸の山で、様のお寝間の縁板を ■馬糞だとてやしやましゃんすな以前はヨ ほととぎす泊めて鳴かしたこともある ■すり鉢を伏せて眺めりゃこりゃ冨士の山、味噌をするがの裏じゃもの 6.機織唄 今井きん(72) 36" ■トント〈と上る梯子のまん中でお客こちィと手を叩く ■姉さどこ行くクダ箱下げて晩にゃ早よこい犬が出る ■機がおりようて糸さえ切れにゃこんな気楽な仕事ァない チャンコ〈(以上収録) ■機がおれたらはたずねおくれ 綿が高いでようあげん 木綿おくれといやせんに 7.木遣唄 a)花將棋(クドキ) ■も早やかくなる身となりぬれば、仇なりふるつめられて、たといいかなる山の奥迄も 花の枝々迄も、ふみわけふみわけて、雲にまたがれ霞にかくれ、尋ね出さで おくべきか、桧原々々とよしのみたのむ b)阿波鳴戸親子別(クドキ) 略 c)日吉丸(クドキ) 略 d)上棟式 略 e)ちょうな始め 略 f)棟木納 略 g)笠くどき(クドキ) 略 8.子守唄 a)ねんねしなされ朝起きなされ、ねんねのお守りは何処へいた 一山こえて二の山へ、父さんの使いに行ったげな、もうやの土産に何貰うた 42 太鼓にお笛でぴいどんどん b)ねんねんねんねんよ、ねんねのお守りは何処へいた、あの山こえて里へいた 里の土産に何貰うた。でんでん太鼓に笙の笛、ねんねんよ、ねんねんよ 9.手毬唄 a)大黒様という人は 一に俵をふんまえて、二ににっこり笑って 三に盃手にうけて、四つ世の中よいように 五ついつもの如くに、六つ無病息災に 七つ何事ないように、八つ屋敷を広めたて 九つ小倉を打ちたてて、十でとんとん治った b)一にたちばな、二にかきつばた、三に下り藤、四に獅子牡丹 五つ伊吹の千本桜、六つ紫桔梗にそめて、七つ南天、八つ山吹や 九つ小梅を白茶に染めて、十で殿様葵の御紋、竹に雀は仙台さんの御紋 c)つかさ〈一ちょうめのつかさ 一こまか ほい つかさ〈二ちょうめのつかさ 二こまか ほいほい ……… つかさ〈十ちょうめのつかさ 十こまか ほいほい d)山王のお猿さは赤いおべべが大層好きで テテシャレ〈 ゆんべ夷講で呼ばれていたら、鯛の吸物、さゞえの浜焼、一杯おすゝりなされ 二杯おすゝりなされ、三杯目には流しのかみさん魚がないとて、お腹を立てて はてはてはてな、お父さんのお帰り、お母さんのお帰り、厄払うとてすゝ払い、すゝ払い e)今日は元日都もひなも、軒にひらひら日の丸み旗、朝日うら〈かすみもはれて やぶで雀がちゅうちゅうなけば、森で烏がこうこう唄う。忠孝大事に勉強すれば、君は万才万々才で、日本の威光がトントン昇る。あがる手んまり面白や 10.おじゃめの唄 a)おひろい〈おふた〈、おひとおみつおよつそろうたそろうたよ つんまみつゝき出せ、おへそがとび出す。とんやれ、さわらず、おなぐりしょ 43 b)おじゃめおひとつ、おふたつ、およつ、ひとよせ、ふたよせ、みよせ、のってきな、とっちんきりゃ、おなぐりごっちょ c)おっさらい(略) d)手毬唄の(d)、山王のお猿と同じ 11.嫁入り唄 1'32" 近藤信一(56)野々山松郎 ■めでた〈の若松様ョ 枝もナ栄えりゃヨ 葉もしゅげるワエー ホイホイ ■めでた〈の三つ盃をうけて喜ぶ両親が ■めでた〈の三つかさなりて鶴が御門に巣をかける 12.豊年唄(木遣唄) 2'14" 野々山鉦一、近藤信一 ■ヨーイサーアカセーヨイサ(ホーラ) ■今年ゃ世がようて(チョイト) 穂に穂が下る(ソコセーソコセー) 桝はさておき(ソーレ)箕で量る(サーエー…) 44 §92.岐阜県恵那郡山岡町 水谷清一プロが山岡町にて調査の寒天つくりの唄 1.さらし唄 ■さまは難波へ寒天焚きに、わしも行きたや草ざらし ■寒い言うた(っ)て冷たい言うても、これが天屋の草ざらし ■冬の寒中に凍て草乾しも、冷と(う)ござらんさま思や 2.しぼり唄 ■唄いなされよ 山川野でも さまの声ならきゝ分けよ ■一夜でも行く二夜でも通う、三夜でも行く妻ぢゃもの 3.天屋ぶし ■大きな声して日高の川で、船頭呼ぶのが清姫か(よ) ■器量のよいさま無器量なわたし、添うてやろとは縁かいな(よ) ■冬は寒天 夏はところ天 わたしゃあなたに宇頂天(よ) ■見ては見んふり逢うてはよそ見、他人顔すりゃ尚可愛い(よ) §93.高山市(61.6.16〜6.17) 同地に伝わる童唄を、市立東小学校青山綾子氏が復元し、同校生徒が唄ったものを収録 1.正月のわらべ唄(36/1 高山局にて収録) イ)正月の歌 ■正月はえー、盆よりえー ぶくり(1)の歯のようなあっぽ(2)たべて、雪のようなまんまたべて 頭の毛のようなコブ(3)たべて、赤いベッペ(4)きて羽根ついて 正月はえー、盆よりえー (1)高下駄 (2)餅 (3)昆布 (4)晴着 ○飛騨では旧で月を祝う地方が多い 45 ロ)お手突数え唄 ■一つ ひよこは米の飯 てんこ〈 二つ船橋 船頭さんが てんこてんこ 三つ皆さん子供衆が 〃 四つ横浜異人さんで 〃 五つ医者さま薬箱 〃 六つ昔は鎧で 〃 七つ泣きびそに蜂がさいて 〃 八つ焼芋うまいで 〃 九つ乞食はお椀もって 〃 十で殿さま馬にのって 〃 ○二〜四人何人でも輪になって遊べるが、合わない子供は負けとなる ハ)手まり唄 ■いづいづのいづこめの番頭さん、木綿は一反いくらかね 三百三十三匁 もちっと まからか ちゃからかほい 一★ヒー★や 二★フ★や 三や 四や 四★ヨン★四桜に千代桜に雀が三羽とまって 一羽の雀は嫁入りなされ 二羽の雀は婿入りなさる 三羽の雀は鳩に追われて ちょいと泣き ちょいとなき あれや ぽん〈〈、これやぽん〈〈、ぽんと上ったてんまりは 二階へ上ってお正月、小正月、親かくし ■おらが大事な お手まりさまを 紙につゝんでこよりでしめて 締めたところに いろはとかいて 赤紙づくしか 白紙づくしか 隣近所の○○さんから××さままでお渡し申します 確かに確かに受取り申します ○ゴムまり以前の糸手まりの当時からの唄 ○お金持の子供は○○さま 中流家庭 〃 ○○さん 下流 〃 ○○ま というのが飛騨の慣わし 46 ニ)凧あげ唄 ■とうじん(1)、とうじん風いこせ(2) 風をいこさにゃ 山とめる お神酒一杯 あげますに 風をどんどと おくれんさい (1)東神…風の神 (2)下さい ホ)縄とび唄 ■お嬢様 お入りな 今晩は頼母子講でジャンケンポ(1) 勝ったらさっさとお逃げんさい おつむ三よろし、お嬢様お入りな 今晩は頼母子講で ジャンケンポ 負けたらさっさとお逃げんさい かわりましょう (1)飛騨方言では「チッチッポ」という ヘ)同 ■一で鳥がカァとなく、二で鶏コケコッコ 三で魚がおどり出す 四で嫁さましゃらりんこ 五で御坊様(1)へ参ろうか 一月二月三月……十一月十二月 おにげなさい ○これは戦後の唄 ○(1)は高山別院 ト)大川小川の唄 A■大川小川どの子をほしや B■春さまをほしい 何くれて(1)養う まんじゅうくれて養う まんじゅうぢゃむし(2)に大毒ぢゃ 鯛に骨なしいかとってくれる 何商売させよ 三味線ひかせて(3)いこせ (Aの春子は) 「ツン〈〈トテシャン〈ツン〈〈」(と唄ってBへ行く) 47 B大川小川どの子をほしや Aお冬さんをほしい 何くれて養う まんじゅうくれて養う まんじゅうぢゃむしに大毒ぢゃ 鯛に骨なしいかとってくれる 何商売させよ 笛吹かせていこせ (冬子) 「ピイピイ ピャララ ピー〈〈〈」 ○(1)たべさせて ○(2)胃 ○(3)この他「おどり習わせて」「お琴ひかせて」「赤いベベ縫わせて」「お嫁さんのまねして」「唄を唄って」などがある。 ○この遊びは子供がA・B二列に向い合ってする チ)鬼きめ唄 ■でんちく どんちく どんがさいて なも はもはんがり 男衆 あわれな事ぢゃが 誰か一人 抜けんぼのぼのぼ ○めいめいが親指と人指しゆびで輪を作る。きめる子は人さし指を次々にこの輪に入れてゆき、唄が止った所で鬼がきまる リ)鬼まつくの唄、今年のぼたんの唄 ■今年のぼたんは よいぼたん 耳を澄ませて すっぺらぽん も一つ澄ませて すっぺらぽん ヌ)遊び言葉 「仲間してくれ」(仲間へ入れて下さいな) 「おいたも」(いやだよ) 「どうしてえな」(どうして?) 48 「おまいの着物に血がついとるでえな」 「そんなら洗ってくるでえな」 「洗ってきたら仲間にしてくれるさ」(洗ってきたら仲間にして上げよう) 「洗ってきたで仲間にしてくれな」 「ふーん、入れてくれるさ」(はい、入れて上げましょう) ■歌 「夕はんたべてくるさ」 「今夜のおかずは何えな」 「蛇のおかず」 「死んだ蛇かいな、生きた蛇かいな」 「生きた蛇ぢゃ」 「そうかいな、あそこ迄送ってくれるさ」 「かんにんな」(済みませんね) ■あなたの姿は蛇姿 おりかいな(私ですか) そんないもなあ(そうぢゃない) (二三回くり返す) ■あなたの姿は蛇姿 おりかいな そうじゃ 「つかまえるよ」 「うわー」 「つかまえた」 ル)おじゃみ唄 ■おじゃみ お一つ〈〈〈おろして おっさらい お二つ〈 おろして おっさらい お三つ〈 おろして おっさらい 49 おみんな おっさらい お手じゃみ〈〈 おろして おっさらい おはさみ 〈〈 〃 〃 おちりんこ〈〈 〃 〃 おひだり〈〈 だり〈 だりひだり 中切って つまよせ おっさらい 大吉 小吉 しぶ〈〈豆切って 〃 おてんぶし〈〈 きりしょ お手またき 〈〈 〈 屋根して〈きりしょ おっさらい 小橋★チイハシ★くゞれ〈〈 きりしょ おっさらい 大橋くゞれ〈〈 〃 〃 どいつ くれた こいつ くれた どっこいしょ きりしょ おっさらい お一つやのお娘 お二つやのお娘 お三つやのお娘 どっこいしょ おっさらい ○親王一つとお手玉四つで始めて次第に数をふやす 2.初夏のわらべ唄 イ)花の唄 ■いざや子供衆 々々々 花折んに行かまいか ■どんな花折んに 菊やぼたんやてんまりの花を 一本折って腰にさし、二本折って肩にさし 三本折って手に持って、四本目に日が暮れて 50 鴉の宿に泊ろうか 鴉の宿にゃ しらみがおる 雀の宿に泊ろうか 雀の宿にゃ のみがおる 鳶の宿に泊ろうか 鳶の宿に泊って朝おきてみたら 向いの山に 猿が三匹下った 下るにや下ったが、さかさに下ったとさ ロ)花売りの唄 ■花は 花は 花いらんかいな 花は 花は 花いらんかいな ○野山に咲き出た花をつんで子供たちは町へ売りにゆく ハ)大ばこ こばこの唄 ■大ばここばこ 破れんようにたのむ ○大ばこをほうづきのようにならす遊び ニ)雀の唄 ■ちゅうこい があこい ばた〈〈とたってこい ホ)鳶を呼ぶ唄 ■とんび〈 まいまいしょ あさっての市に 赤いべを買ってやる ヘ)とんぼの唄 ■とんぼ〈 尻切って逃がせ とんぼ〈 命くれるに たっていけ ト)蜂の唄 女■翁★ヂイ★さいの、婆★バア★さいの蜂がブンとさいたいの わりや何で逃げなんだ 男■おりもよっぽど逃げたれど 51 とびつき はねつき さいたいの 一がさいた 二がさいた… 八がさいた ブーン〈〈… 4)愛宕様の唄 ■あたま様へ参って、眉坂おりて、目屋へ寄って はな一本盗んで、ほおぼおで叱られて あれ口惜しや、むねんな事ぢゃ お臍が笑う ハ… リ)石屋の唄 ■石やカイカイ まんまくって カイカイ 何かくれんとくづかいて(1)しまうぞ 石やカイカイ まんまくって カイカイ ○石を打ち合わせ粉にするときこの唄を唄う (1)こわして ヌ)芋屋の唄 ■芋々の芋屋さん お芋は一升いくらかね ■三百三十三匁 ■もちっとまからか ちゃからかほい ■一や ■二や ■三や ■四や ■四番目にはお断り申します ○石を砕いた粉を砂糖に見たて、石を芋にみたてて商売でごっこをする ル)おりも仲間への唄 ■おりも仲間へ松泰寺★ショータイジ★ ■お前悪いで千光寺★センコージ★ ■家★ウチ★へ行って母★カゝマ★に宗猷寺★ソーユージ★ ■せったってだしゃない(1)、大雄寺★ダイオージ★ ■頭の三つも国分寺★コクボンジ★(2) 52 ○寺の名はいづれも高山市に実在のもの (1)いゝつけたって平気だ (2)頭をこく…頭を叩く オ)鬼きめの唄 ■あわれなことじゃが 誰か一人 抜けんぼのぼのぼ ワ)こんもんそ(虚無僧)の唄 ■中の中のこんもんそ、何故背が低い 鯛や海老くった そんで背が低い 頭に五皿、六皿……十皿、十皿の上に あつつ(1)をすえて あつや悲しや なんまいだぶつ (1)お灸 カ) お手つき唄 ■家の娘は ほんとに困るね 困るね 台所にするにも 涙がポロポロ ポロポロ その涙を袂でふいてね ふいてね ふいた袂を川へ持ってって 洗ってね 〈 洗った袂を芋にかけて ほしてね 〈 ほせた袂をしわをのばして たゝんでね 〈 たゝんだ袂をたんすへ 片づけて 〈 片づけた袂をねずみが カジガジ 〈 かじった袂を屑屋へ うります 〈 売ったお金でまんじゅうかって くいましょ 〈 くったか くわんか チッチッポ あいこでしょ ○一人の鬼が上の文句につれてジェスチュアをすると、他の子もそのまねをしなければならない。 ヨ)蛍の唄 53 ■蛍こい 乳くれる 山ぼこい 宿かせる あっちの水は苦いぞ こっちの水は甘いぞ 蛍こい 山伏こい こっちの水は甘いぞ 蛍々たってこい タ)相撲の唄 ■大相撲 小相撲 始りゃ 早いや 早ようみにきて おくれんさい ○夏の宵 飛騨では町毎・部落毎の草相撲がさかん §94.岐阜県吉城郡神岡町(61.6.17) 同市東小学校 大庭利夫先生に逢い、地方の古謠収録を8月に行いたい由、お願いする §95.三重県一志郡三雲村(61.7.13〜14) 本田 阿部正 協力者 同村教育委員会 長谷川貞雄 〃 大字星合 野田精一 〃 〃 久米 中村源兵衛 出演者 〃 〃 笠松 滝本滝右衛門(69) 〃 〃 上之庄 田中芳松(48) 〃 〃 〃 田中一男(49) ◎盆踊りについて ○川崎音頭 寛文年間伊勢に起った相の山節を享保年間に伊勢吹上町の(収録5'17"田中一男・田中芳松)奥山桃露が当世風に改めて、流行させようと、川崎に住む伊藤梅路に作詞、鍛冶屋長左衛門に作曲させて作った音頭、これが一端廃れていたものを、山田の畑嘉門が考証、正調伊勢音頭 54 として流行させた。 従って 相の山節−川崎音頭……正調伊勢音頭 −伊勢音頭−−道中伊勢音頭 また川崎音頭には下記の唄がある。その唄の一つを「一くさり」と呼び、その歌唱節を「一のぼり」という 四度の寿 ■神風や伊勢の名所、深長のおんわの神を 祝います泉ヶ森の石清水 ■春は桜の下蔭に、花をあやどる眺めこそ 絵にある様をうつすなり ■夏のけしきは一汐や、千代古松に風薫る これと見ゆる眺めには、人の暑さも捨て所 ■秋は千草の花咲きて、森かげてらす入梅の 小鳥もわたる大空の、月もことさらさやかなる ■やがて冬至も近よれば、この神垣に湧きうずる なゝこし水みて泉屋が造る千寿の不老水 ■その名も高き泉川、泉きとてか恋しくば 尋ねてござれよぞ共に、曇とも更に夜も月路★くめどもさらによもつきじ★ ■よろず夜明けの竹の葉の、酒は変らじ色も香も 月さの★つきせぬ★宿と祝います。寿くようのえん くるわい(くるわどうしん)■鳥の羽はきえに遊ばす葉の如し 魚の鱗は涙に似て、親に似ぬ子は鬼子かよ ■衣着ればぼうだいの、昨年そうたわ種福べ 昨日そうたわ青福べ ■ぼだいの種は盆の様に、乱れ心や乱れ髪 柳は緑 花は紅の、色香に勝る人はたゞ 55 いとぞやんわい、ぞおしゃんわい、暗き夜の ■烏に似たる黒衣、二人つれたるどうしんが 相合傘で出るからにゃ 二人★タンリ★とも連れしゃんせの 二人共連れしゃんせんの、残る家々浮きぞうす くるわいおかよあるずる、りはひょうたんなりとも おいていけんや、どうしたるひょうしの ひょうたんぞ そんれがやじゅんろ セットセ やすきまの事なれば、わしが大事の小娘を 人にとられてよいものが、そこに如才がないわいな 茶千で婦夫で行んでの、よもや しゅうとは思わんせ 夕べも今宵も橋たたき どうでもこうでもいにゃしゃんせ ■何ぼその夜がとびやったとて、今宵一夜は三階の 家と走り出て橋たゝき このひょうたんも 月夜も暗もまてば添わるゝ約束の ■ちがわぬ心みて頼む、人は雨夜の星なれや 曇はれねども西へ行く ■西の門★もんも★へ来てみれば、蔭穂の中にひょっこりと 叩かれもせぬひょうたんの ■時計にめぐる橋叩き、暁は又とりかえぬ 声を別れににこまれて、足早やにこそ帰りける いんや 修業したる寺の縁 乗合■乗る人乗せたる人も順に行く道とは知らで行くことの心にのらぬ人ばかり ■それにはあらでこれは又、乗合船に浮きぞうす 浮かれて遊ぶ盆心 ■面白の花の都や 祇園清水地主の桜が 真盛にさんのうの、桜の花の盛りに 56 えてが三百三十三匹、下った大猿めでたや 小さるめでたや、後姿をみて貰え 日和みているえて廻し ■やんら めでたや やんら楽しや 千は両や 万は両や、身受やって参りてこの 大黒舞をみさいな、徳若に御万才 ポンポン 年たち返るあしたより、君も若やぎ 我等も若やぎ 誠にめでとう候ける、はやす後にことふれ 後からはげるえて廻し ■向い通るは清十郎ぢゃないか 笠が笠がよく似たそ ううけ笠がさゝやく人の顔と顔 ■そこなたそうはやせたと見えた。都にはやるしのぶ売り しのぶ買わせんかいな しのぶ売れども色に出にけり道の奥 しのぶなわてで火をともす ■旭さすてふ波の花 心々の乗合はこれからどちへ下りてゆく 言葉の花と世のならい、あいたしょうの縁ともろともに おさまる御代のえん おかげ参り■抜けまして 今年や世がよておかげで参る 神のおかげで手をひかれ日本国中皆おかげ ■六十一年結構な年で 抜けたわな 廻る銭金世に下るいや おかげで万作豊年じゃ 三條大橋日の岡峠を 抜けたわな みふるしやく 振る 奴茶屋 ■やがて大津や石ばみ矢わせ、越えて抜けたわな 瀬田に廻れば三里半 良い道草津や梅川村こえて 梅の木わおゆうさん こゝにおじゃれと 皆口々に降るは土山、鈴鹿はくもる空ははれたか坂の下 57 ■こゝは楠原椋本こえて 抜けたわな さても尊き津のあみだ 通る雲出に松阪を こえて抜けたわな 照らす明星暁は 清き宮川 山田に着いて 外宮内宮は天照らす ■神のおかげで笠をぬいだわいな 外宮が四十に内宮が八十 めぐりくるくる福の神 えびす大黒 いなり様 ■音頭 木遣りに皆はやされて、浮いたわいな 手振り袖振り古市の相の山ではお杉やお玉 あちらの縞さん こちらなさん 赤前垂のはなたれさん 浅黄ばっちの膝抜けさん もうこいばかりぢゃ投げしゃんせ やがて宇治橋どんどというて投げたわな 下に網受け銭が山ありゃ、一生に一度ぢゃ有難や 朝熊山では比丘ヶ浦 はやし立てられカンザシの ■二見ヶ浦で島ならべ 明けてみたさの深心 おかげ参りに ナーエ〈 おかげ参りにこの子が出来て 名をばお伊勢のナーエ〈 名おばお伊勢のな伊勢松とインヤ 早生が八石 中生が九石 とれたわな どんと晩生は箕で計る よいことばかりえ この他 松風村雨(十一くさり)、玉手箱、行列狐(七)、伊勢路の松(十一)、将棋、赤ものぞろい(九) 翼相撲、旅衣、愛宕町浮かれ姿 etc ○しょんがい(収録17'07)宝の入船 田中芳松・田中一男 部落北と南で節付けが異る(北は素朴なフシ、南は変化にとみ且つ年代と共に変貌している) 形は前文(マクラ)−本文−結 本文には「石童丸」「お里沢市」「山科閑居」「天野屋理兵エ」「村上喜剣」などの段物あり 58 ○さいもん 形式はしょんがいと同じ (収録4'24")田中芳松・田中一男 これらの盆踊りは組んだ櫓上で太鼓を叩いて唄う、その周囲を二列にも三列にもなった踊の輪が夜を徹して踊る、尚所によって踊と櫓の間に酒食を持ちこんだ見物が音頭をきゝつゝ酒を汲む ◎その他の唄 1.追分(滝本 2'20") ■いやな追分 なしがたの茶屋で呑んで別れた事もある ■鳥も通わぬ八丈ヶ島で、曳かれる貴方はよけれども 後に残りし妻や子は どうして月日を送るやら 2.唐臼ひき唄(滝本41') ■臼の軽さよ 入れ手がどんやよ 臼は廻れどから臼がヨー ■臼は廻れど相手がどんやよ 臼は廻るぞ から臼がヨー 3.石搗き唄(滝本1'13") ■ハエー扨今日はどなたにもヨイヨイ いかい御苦労でございますヨイヨイ 数ならぬ我々も 〃招きに与りこんな有難いことはなし 〃 魚と水とにしておくれ 〃 魚と水とになるなれば 〃 おびもといての物語 ヨイヨイ ヨイヤナー ヤーサノヨイヨイヨイ サリトハ ソータ サラバ この綱ひけよ ソーラ ヨーイヤ エーイヤ エーイヤートセー アーヤッサ ヤッサ 4.伊勢音頭(田中芳 2'56") ■紀勢・参宮線の驛名づくし ◎以下は歌詞のみ伝わっているもの 1.麦叩き唄 ■いくら叩いてもこの麦落ちぬ 誰がしめりを打ったやら 麦を叩いて手に豆七つ 晩に主さんと寝て直す 唄の出所は笠松曽原 唄うて流す■須川 59 嫁になるなら鍛冶屋の嫁に 足で飯炊く 手で金★カネ★延す 2.田植唄 ■妾の殿御は田畑に一人 涼し風吹け空くもれ この他うえてもこの米喰えぬ 何れ世に出てまゝにする 面白いぞえ五月の田植、みのや笠さて後じさり 五月田植に泣く子がほしや、畦に腰かけ乳のます 3.田草とり唄 ■夏の田の草ざんざととられ、とれたその米くうぢゃなし さても生えたぞこの田の草は、水葱★ナギ★や ごあえや沢■や 生えも生えたよこの田の草は、誰が憎さに生えたやら 好いてはまれば泥田の水も、飲めば甘草★カンゾ★の味がする 嫁と姑はあざみの花よ、見れば見目よし寄れば刺す 4.臼ひき唄 ■臼の軽さよ相手のよさよ、相手変るな何時迄も 今年ゃ豊年穂に穂が咲いて、桝はとりおけ箕で計れ ひきゃれ廻しゃれひかねば落ちぬ、いかな大名の小娘も 雉も鳴かねばうたれもすまい、父は長良の人柱 臼よ廻れよどんどと落ちよ、殿の夜業はこよいばか 5.粉ひき唄 ■うちのおさんどんはひきもの上手、小麦三合で夜があけた 粉をひくときゃ居眠りまなこ、団子くう時ゃ猿まなこ お昼前には四日市祭、桑名(喰わな)おもしろないわいな 6.糸のべ唄 ■せんど延べやれのべたら着せよ、盆の浴衣も染めて着しょ 七つ八つから糸たて習て、今に糸屋の嫁となる 細く細くと旦那の仰せ、糸は細らず目は細る 60 7.機おり唄 ■此所は機部屋遊人ごめん、早く行きない邪魔になる 話やめやされ歌なら出しゃれ 話ゃ仕事の邪魔になる 嫁が憎いか姑婆さん 可愛い我子とそう嫁が わしもこれから朝早ようおきて、親と金とは使うます 8.石搗唄 ■めでためでたの若松様は 枝も栄ゆる葉もしげる こちの屋敷はめでたい屋敷 鶴と亀とが舞をする うちの裏屋に茗荷と蕗と、冥加めでたい富貴はんじょう 9.正月唄 ■正月さんはよいもんぢゃ 赤いべゞきてジョジョはいて 雪より白いマゝたべて、こっぱのようなトトそえて 正月さんはよいもんぢゃ 10.羽子つき唄 ■ひとめー ふためー みやこし よめごは いつやら むかし 七夜は 薬師 九夜は塔婆 11.手毬唄 ■一おれ 二おれ 三折れ桜 五葉の松柳 柳の元に とんびの首と鳥の首とねじあげあって 候にみせて 候はかしく 家の嬶槍持(やきもち)よう槍持つか持いでなろか 一文で飴しょ 二文で飴しょ 宮のおのぶさん四子もうけて一人の子はお師匠の前で いろはをかいて、もう一人の子は茶屋へやって 茶の着物きて、もう一人の子は 紙屋へやって紙半帖貰うて、もう一人の子は漆屋へやって漆にかぶれて ホギャー ホギャー 泣いたげな ■大黒さんという人は 一に俵ふんまえて、二ににっこり笑うて 三に盃さしょうて 四つ世の中よいように 五ついつもの如くに 六つ無病息災に 七つ何事ないように、八つ屋敷を広めて 九つ小倉を建て初めて 61 十でとうとうめでたし 12.子守唄 ■ねんねころいち 天満の夜市、大根揃えて舟につむ ■守りは守りづれ子供は子づれ、若い姉さん男づれ ■天に輝く娘をもたば、入日輝くむこほしや ■この子可愛いや布引山の こぼれ松葉の数程に ■向う山見りゃ跛が通る 笠がみえたり かくれたり ■私が死んだら朝田の地蔵にあげておくれよ振袖を ■この子可愛いやぼたもち顔や、黄粉つけたら尚よかろ ■山の鴉が巾着下げて、銭もないのに かうかうと ■ねんねしなされおやすみなされ、朝もとうからおきなされ ■可愛い坊さんブブくれいうたら 金の茶釜で黄金の杓で、やるぞお寺の水晶水 ■この子ねてたらふとんをきせて、廻り叩いて針仕事 ■守りよ子守よ日のくれ守よ 家をのぞくと子が泣くぞ ■泣いて泪をこぼさぬ者は、芝居役者か鶏か ■ねんねしなされようかんくわそ、ようかんどころかネジ餅を ■ねんねころりよおころりよ、坊やはよい子だねんねしな 坊やのお守りは何所へ行った、あの山こえて里へ行った、里の土産に何貰うた、でんでん太鼓に笙の笛、なるかならんか吹いてみよ 坊やが吹いたらなりました、妾が吹いたらならなんだ 13.わらべ唄 ■山焼誰や、西の方のお竹さん、お粥がにえる杓子がこげる 納戸で子が泣くやれ春が痒いや ■お月さんいくつ、十三 七つ、そりゃまだ若い、若やの縁で 白との犬と黒との犬と油一升こぼして ねぶり〈たべちゃった 62 ■雀ちゅう〈忠三郎、烏かあ〈勘三郎 とんびは外山の鐘叩き、一日叩いて米一升 ■田螺がら日がら 日がら参りしようまいか ひっくり返ったら罰金や 罰金どころか懲役や ■こうもり来いぞうりやるぞ 雨が降ったら下駄やるぞ ■寒や〈大寒や、狼の皮なと被りたや ■でん〈゛虫々かたつむり、角出せ槍出せ目玉出せ ■蛙釣る〈親の乳よりうまいものくわそ ■一つ星みつけた、明日の晩に銭拾う ■つばな〈 笹つばな耳にまいて すっこんこん(つばなをたべる唄) ■風の神さん風おくれ、余ったら返すでもっとくれ(凧上げの唄) ■先、酒屋のでっち、まん中殿さん、後天神さん ■わしの蔭するものは焙烙山へつれていって、松葉三本でやいてくりょ ■どっちんかっちん 鍛冶屋の子、風呂から飛出す風呂屋の子 ■中の中の小仏は何故背が低い、親の日の(エンマの)餅たべて それで背が低い ■子供と子供とけんかして、親さん〈 腹立てて、人さん〈 より合って 仲々すまんと仰有って、弁天さんのお断り (両手の指と指で 小・親・人・中・薬の順にけんかのまねをする) ■子買、子買う ■子に何くわす 砂とうにまんじゅう それは虫の毒よ 魚の葉にまゝよ 大骨が立つよ 大骨も小骨もむしってくわす どんとどの子がほしござる ■福徳貧乏 幸 金持ち 鐘叩き (冬着衣の数を数える詞) ■天から鏡おとした ■拾うた 〈 拾うたらみせよ 見せると とるわ とれせんにみせよ それでもとるわ 63 しちくどい奴や はちくどい奴や くどい奴や これか〈 それや〈 (甲は一人で、乙は帯を持って縦に並んだ多勢、乙が甲を追う) ■ほう〈蛍来い、あっちの水はにがいぞ、こっちの水は甘いぞ 一杯のまそにとんでこい 蛍来い じょうれんぼ じょうは丹波の橋の下 山道越えて とんでこい ■お茶ごと 茶ごと 茶に吹く風は 大津の馬で もう一帰り 帰りましょう (数人が両手をつないで最後にくるりと後向きになる) §96.岐阜県郡上郡 第一次収録(1961.8.1〜3) 本田、阿部 正、岡本常守、川角和夫 協力者 八幡町教委 社会教育主事 千葉 稔氏 八幡今町 寺田敬藏氏 T美並村 苅安 林広院にて 1.茶つみ唄 1'00" 水★ミズ★口六之助(60) ■お茶がつみたや お寺のお茶が 朝も早よからお経の声 歌で感心なされよ殿ま、歌は口外の理を分ける 頭やめます芯ときときと 昔なじみが恨むそで 2.田植唄 2'07" 小酒井一左衛門(75)他 ■今日の田植えは春三月の 桜(桔梗)花かよ ちらほらと ■チョンボチョンボと植えてはおけど、喰わぬてはないこの米を ■苗もよう立ち植え手も揃ろた ヤレチョンボー まんば(縦横)揃えて植えとくれ 植えとくれ ヨーイヤレ まんば揃えて植えとくれ 64 3.唐臼ひき唄 小酒井一左衛門他 1'10" ■寺へ参るより臼ひきなさりょ 二升と三升ひきゃ五升になる 臼ひきなさりょ 二升と三升ひきゃ五升になる ■臼は谷石 目とりは殿ま(彼・主・男の意) 臼の舞う音ゴマ(独楽)の舞 収録二つ ■妾ゃお前にほれそぢゃないか 早くお嫁にしておくれ 4.たゝら踏唄 三田村金衛(61)1'05" ■鐘のわたる時や 鋳物師★イモジ★がさわぐ(急ぐ)チョイサ〈 心得てふめよ、たゝらふめ えてふめ心 心得てふめよ たゝらふめ 5.草刈唄 小酒井一左衛門・一柳亙三(64)他 1'05" ■アヨーイヨーイ 草を刈りゃるか 刈干しょさるか アー切れぬか ヨーイヨーイ 鎌が切れぬか おいとしや ■鎌が切れねばといでもあげる(もやるが)わしがとぎしと(といだと)御有るんよ ■高い山でも登らにゃならぬ、そら(上)で殿まの声がする 6.猫の子(盆踊唄) 林 寛逸(58) 1'11" ヤーヨーイ ヨーイトコリャ 誰もどなたも猫の子にしょまいか サードージャイカ 猫はよいぞなねずみとる ねずみとるよいぞな猫は 猫はよいぞなねずみとる ■猫がねずみとりゃいたちが笑う、いたち笑うなわれもとる ■高い山にはかすみがかゝる 若い娘にゃ気がかゝる 註.この猫の子については八幡町盆踊唄で詳述 U.八幡町口明方★クチメヨーガタ★中学にて 協力者 同校 吉田良民先生 1.田植唄 2'03" 青木岩太郎(64)他 ■この田の広さはヨー 太田のわたし ヤレ畦の高さが稲葉山 ヨー太田のわたし ヤレ蛙の高さが稲葉山 ■山は焼けても山鳥ゃ立たぬ、子ほどかわよいものはない 65 ■向い小山に早や日はたてど 嫁の朝寝は起さまえ 収録こゝまで ■酒を呑んだが岩山つゝじ そばの青木が酌をした 2.伊勢音頭(2'00")吉田斉次郎(65)他 ■アーイセェー伊勢は津でもつヨイヨイ 津は伊勢でもつ アーヨーイセートーコセー 尾張名古屋はソレサ城でもつ サーサヤートコセー ヨーイヤナー アリャリャノコレワイセ ササナンデモセー ■娘島田ネ蝶々がとまる とまるはずぢゃも 花ぢゃもの 3.桑もり唄3'03" 吉田他(茶つみにも兼用) ■イエーンヨーヨーヨイコラ 若いヨー うちぢゃ 一度や二度は イエー親さま 親さまよしくじりは ヨーしくじりはエー ヨー 親さましくじりは ■桑も咲けよ お蚕もよかれ、若い娘をたのまずに 4.ヨイヨイ 1'40" 吉田他(苗とり唄も兼用) ■ヤーレヨーイヨーイ 色で身を売る西瓜でさいも ヤー苦労のヨー 中にゃ苦労の種がある ■郡上の八幡出てゆく時は、雨もふらねど袖しぼる 5.千本搗2'10" 吉田他 (地づき唄) ■西行が西行がヨイヨイ 熱田の森に休まれた、ヨー ヤーこれ程涼しい宮さまをヨー ヤー誰が熱田と名をつけた ■あねまの股倉今朝みたら 槍で突いたか深傷よ 長刀傷か巾広で、やーとなるそで毛が生えた ■弁慶が千人斬りをなさるとて、九百九十九人迄 斬って捨てたはよかったが、千人目のその人に でんじゃく(1)斬られて★デンジャクキライテ★恥かいた ヨーイソリャ〈〈〈 収録こゝ迄 (1)鎧の袖の糸 ■弁慶が〈紙は書いた弁慶が 風に浮かれて ふわ〈と 66 6.手毬唄 22" 高垣けい(71) ■オンサノサー お城のサー 天下くゞればおさむらい衆を お竹を打つとて おねぶり転んで お茶碗けっからかいて 京にいちょうか いつさまどん さえだかどん しのぶかどん どんどの神さま どの神様よ (こゝで忘失) 7.甚句 1'10"高垣 ■今度東京演習についてね 数多士官のある中で 私の好いたは唯一人 色白からず黒からず 口もとじんじょうで歯が白で、ポッポと吹出す シガレット 確かにしやっぽは金の筋、これほど細やか見たなれど 肝心かなめのお名前を、聞かないばかりが苦になりて 名古屋の城へと赴いて、尾張の城を枕とし、もう一度逢わなきゃ ヨーオ ホホイ エー 焦れ死ぬエー 8.手毬唄 1'54" 青木ひさ(63) ■一つとせ 人の通らぬ山奥を お半と長衛が通わす ハーソーカイナー 深い笠きて笛吹いて 青竹つかせて伊勢参り 〃 三日月様は雲のかげ お半と長衛は袖のかげ 〃 用のない街道二度三度 お半に会うとて又一度 〃 何時も裏からおいでるが 今日に限って表かい 〃 無問地獄で鐘がなる お半に来いとの鐘かいな 〃 長い刀をふり上げて お半を斬るとは胴慾な 〃 やぶの中で鶯が ホケキョと鳴いたらあけとくれ 〃 此所で死のうか腹切ろか 極楽浄土へ走ろうか 〃 とんとの間に子が出来て 腹帯おくれよ長衛さん 〃 9.たゝら踏唄 36" 青木岩 ■鐘のわたる時ゃナー 鋳物師屋★イモジヤ★がさわぐ(急がしい) 67 心得てふめや ナー たゝら ■酒を呑んだら酔います程に 何を申そと御免なさりょ V奥明方村役場にて 協力者 教委社会教育主事 名畑 昶 1.字寒水★カンスイ★の田植唄 1'03" 和田朝造(56)他 ■この田の広さは太田の渡し 畦の高さは稲葉山 稲葉山ヨーヤレ 畦の高さは稲葉山 ■わしとあなたはお倉の米よ いつか世に出て飯★マゝ★(夫婦)となる ここ迄収録 ■植えておくれよ畦にも田にも 秋にゃごこくの米となる 2.寒水掛踊 3'00" 和田・鷲見桝太郎(74) ■鎮まれ おしづまれ ■ホー ■東西鎮まれ おしづまれ ■東西鎮まれ おしづまれ ■ホー ■東西鎮まれ おしづまれ ■オーハンリワー コンリワー ドッコイサ ドッコイサ という形で ■さて今日★コンニチ★は今日は ■氏子の御祭礼と ■当社氏子の御祭礼と ◎当り鉦・笛・太鼓が入る 9/8・9 寒水白山神社の祭礼 北設神田の念仏踊・一宮のばしょう踊によく似ている 3.掛踊り鎮め唄 1'36" 同上 ■めでたヨー めでたの ノヤーレ ソリャ めでたのヨー 若松は 若松は ■枝も栄ゆりゃ 葉もしゅげる ◎上記2つの掛け踊りのしづめ唄である 68 4.臼ひき唄 45" 佐藤慶一(74) ■臼が重けりゃ相手の顔を 妻ぢゃなけれど眺めます ■山家なりゃこそすゝきが育つ みんな飼わんせ馬や牛 5.馬子唄 55" 佐藤 ■馬は三才ヨー 四才が盛りヨー 人は廿一ヨー 二がさかりヨー ■馬は三才ヨー馬方は廿ヨー つけたらつゞらのナー 品の良さヨー アイアイ 6.木挽唄 43" 佐藤 ■引けよ手操れよ 小川の木びき 引かで妻子が養わりょか ■引いたばかりじゃ祖先へすまぬ 植えてかえしゃれ小山越え 7.草刈唄 1'17" 鈴木相次郎(80) ■草わ刈りゃるか 刈チョ かるか エ 鎌が切れぬかヨ おいとしやエ ■くり返し 8.桑もり唄 2'41" 鈴木・佐藤 ■アーエーエーヨーヨーヨイ 前の アーヨイヨイ 前の桑の木や 元こそ木なれ アーホントジャヨー アーごふくの エヨーイ うらはごふくの糸屋とは エー(先端)は、絹糸の束を五福にかける 糸屋とエヨーイ うらはごふくの糸屋とはエー ■思い出します あなたの事を、昼は七くら夜にゃ三度 9.草取り節 57" 和田 ■歌し唄うても 咄はおきゃれ 咄ゃ仕事のじゃまになる ■わしとあなたは十円札よ 五円切れてもまだ御縁 ■呼ばりゃ聞える竿さしゃとゞく 近うて嬉しや親元へ ■盆が来たなら爲★セ★るぞえ かゝま 箱の宝のしゅすの帯 10.酒もり唄(ヨイヨイ) 1'10" 和田 ■めでた〈の若松様は ヨイ 69 ■ソリャ〈枝も栄ゆれ葉もしげるヨー ハリワ ヨイヨイヨイ ■此所のお庭にゃ よい木が育つよ 金判はなさく銭がなる ■今年ゃうれしや思いがかのうてよ、鶴が御門に巣をかけた 11.糸ひき唄 34" 佐藤 ■妾ゃあなたのお側で側で、長い年月が送りたい コリャコリャ ■天のお月様つん円こてまるて 円て角のうてそいよかろ 之迄収録 ■思い出しますあなたの事を、昼は七度★クラ★夜にゃ三度 12.輪島 54" 鈴木・佐藤(鈴木…大谷・佐藤…気良) ■ハー輪島の出る時ゃヨー 泪でナー出たが ヤーレ 今は輪島のヨー 風もいやよー ■アラ 浮いたか へようたん 軽そに流れる 行く先ゃ知らねど あの身となりたい オイソレオイソレ 13.輪島踊り 1'00" 和田・鷲見(寒水) カケ踊りのあとで踊る ■輪島出る時ゃ いそいそと出たが ヤーハーノヘー 今は輪島のかげもいやヨー ■輪島おどりはせわしいおどり 腹の七月★ナゝツキ★ もみ殺す ■わしがだいてもあわまいけれど、あわぬ所をごめんなさりよ 14.猫の子 47" 鷲見 ■猫の子でせまいか 猫はよいものネズミョとる ネズミョとる猫は 猫はよいものネズミョとる ■猫がネズミョとりゃ いたちが笑う いたち笑うなわれもとる 15.どじょう 32" 佐藤・鈴木 ■ヤレヤレ村の若い衆が どじょう掬いて来たに おかゝ茄子のホゾとりゃれ ヨレソレとりゃれ おかゝ茄子のホゾとりゃれ ■何と若い衆がどじょうふままいか(出だしの踊り) どじょうの四五升もふままいか 70 16.とやま(ヨサンサ) 1'01" 佐藤・鈴木 ■アーヨイヨイヨイ どなたも とやまに せまいか ヨサンサ〈 ジンゾでなー とやまジンゾで面白い 面白い ヤーエ とやまジンゾで面白い ■村の若い衆よう来てくれた すそがぬれつら豆の葉で (Recなし) ■他所の若い衆が来ておくれたで、唄でなりとも御礼を 17.木やり唄 35" 佐藤 ■アー申そうか申そうか ホイ ど長い事でも申そうか ホイ ど長い事で申すなら ホイ 天から細引下げたよ ナー 18.木やり唄 1'45" 鷲見 ■ヨーこゝろむかいで廉がなく ホイ 寒さでなくのか妻ごいか、寒むもないが妻もいらんが 七十五人の狩人が、七十五匹の犬をつれ 七十五すりの槍をむかえ ヤレヤレそれが細そのうて なくのやわいえー ヤートエー ヨイショ〈 ■猿をみた猿をみた となりのかゝまのさる事をみた ふんどしょ はずいて はだかにて… W高鷲★タカス★村役場にて 協力者 教委社会教育主事 山下勝井 1.輪島 2'22" 清水淳三(54)(三、杉本定九(47)太、和田新二郎(51)) ■輪島出る時ゃヨー 泪でヨー ヤーソレ 出たがナー ヤレナー 今は輪島のエナー ヤーソレ 風もいやヨー ■めでためでたの若松様は 枝も栄えて葉もしげる 71 ■ 2.ばしょ 1'52" 杉沢初右衛門(65)美濃島国太郎(79) ■アー墨をすり習う 一つで墨をすり習う ■墨をすり習う 一つで墨をすり習う ■二つで筆を持ち習う ■三つでいろはを習われる こゝ迄収録 ■四つで大小さし習う ■五つで馬に召し習う ■六つでかぶとの緒をしめる ■七つで長刀習われる ■八つで槍の手習われる ■九つで小刀を習われる ■十では十才の年から十三まで中年三年休まれよ 3.木挽唄 1'32" 同上 ■めでためでたのヨー若松様の 枝も栄えるヨー葉もしげる ■おらが若い時ゃ五尺の袖で、道の小草をなびかせた ■わしが抱いてもあわまいけれど、一つ出したがごめんなさりょ 4.田植唄 1'15" 美濃島きう(82)山下とり(55) ■植えておくれよ 小株ネでしごく(繁茂、まびく前の状態 ex.(しごいからすごけ))く ヤレ こゝは新田 子が咲かぬエー アー 子がさかね ヤレ こゝは新田 子が咲かぬエー ■こゝは且那の見付けの田ぢゃで、苗把といて植えとくりょ 5.草刈唄 3'15" 同上 ■アーアーハーヨーイヨイ わしが若い時ゃ五尺のそでで 小草をヨイ 道の小草をなびかせたィ アーなびかせた アーホーイ、道の小草をなびかせたィ(これはRecナシ) ■めでためでたの若松様の、枝も栄ゆる葉もしげる 72 ■松が栄えて書院★エン★が暗い 下ろせ小松の一の枝 ■器量がよいとて気がよいものか、いばら牡丹の花を見よ 6.しょっしょ踊り 1'45" 杉本定九 (三、和田新二郎、太、清水淳三) ■アー しょっしょ どころか 今日こ(日)の頃は、人の知らない苦労するィ ■山は焼けても山鳥ゃ立ゝぬ 子程かわいゝものはない ■めでた〈の若松様は 枝も栄ゆる葉もしげる 7.木遣唄(石場かち唄) 1'38" 杉沢初右衛門 ■アー扨西行が西行が アーいく世の旅もしてみたが 平々にこしき(1)(シキワ) 今が初★ハツ★ (1)せいろう ■アー 弁慶が弁慶が 紙にかいたる弁慶が 風に吹かれてぶわ〈と ■アー人足衆ョ人足衆よ、何ぞかけるがとくかいな こなた お庭の下駄とかけて何ととく 旦那の財布ととくわいな ようとかんしたその心 おあしが沢山入るぢゃないかいのー 8.臼ひき唄 2'05" 香島誠一(56)山下とり ■今年ゃ豊年 穂に穂がさいて アヨイサヨイサ 村の人達みな笑顔 ヤレみな笑顔、村の人達みな笑顔 ■ゴリン〈と臼ひく音に、家内揃うて面白や ■唄いましたよ臼ひき節を夜の更けるのも知らずして 9.とやま 2'01" 美濃島国太郎、杉沢初右衛門 ■アーヨーイヨーイ 誰もどなたもとやまにせまいか アーヨーイサヨイサ じんじょで ヨーホイ とやまじんじょ(1)で面白や (1)大人しいの意 面白や とやまじんじょで面白や ■めでためでたの若松様の 枝も栄ゆる葉もしげる 枝も栄えて葉もしげりゃこそ、人が若松様とゆ(言)え 10.千本搗 2'50" 杉本定九 山下とり、山下光直(37)(三、和田新二郎 太、清水淳三) 73 ■アーめでた ヨーホイ めでたいが ハーヨー 高鷲の村はヨー アーヨーイヨーイ アー今日も楽しくナー それさナー 朗らかにヨー アーヨーイヤーナー アーヤートコセー アリャリャノコレワイセーノナンデモセー ■花が咲いても実のなる迄は、わしもお前さも一苦労 ■器量がよいとて気のよいものか いばら牡丹の花をみよ 11.同 1'10" 唄ぬきで 一くさり 伊勢音頭に似ている 12.伊勢音頭 ・美濃島きう・山下とり 3'09" ■ハーヨイセー 三味の調子ね アーヨーイヨーイ アー乗るなよ殿ま アーヨーイセー ソーコセー 三味はヨーイ 二上る ソーレサ 三下る ヨイ サーサヨーイヤナー ヤートコセー アリャリャノコレワイセ サーサナンデモセー ■めでためでたの若松様は 枝も栄える葉もしげる ■松の緑は芯から立つが 様の心も芯からか ・清水淳三・杉沢初右衛門 2'49" ■伊勢へ参らば笠きて参れ、伊勢はひのもと熱うござる ■こゝのお庭によい木が育つ、金判花咲く銭がなる ■お伊勢様ほどごはんじょうな人が、あれみよ宮川 橋がない 13.盆踊唄 クドキ 山下光直、清水、杉沢 2'43" ■ヤレサ どれも誰方も踊り子様よ ヨイヤナ ソリャアレ踊り子様ョ エッサ エッサ エッサッサ イコサンデドッコイショ ■わたしゃちょいと出てベンコー(生意気)そうなけれど ■何時に変らぬよせ(寄せる)ことばかり ■これはすぎにし その物語、■花のお江戸のそのかたわらで ■さても珍し心中の話 ■所四谷の新宿町の 74 ■紺のノレンにききょうの紋は ■おとにきこえた橋本屋とて(一名「エッサッサ」という) ■数多女郎衆のあるその中で ■お職女郎の白糸こそは ■年は十九で当世育ち ■愛きょうよければ皆人様が ■われもわれもと名指して上る ■以下略 (こゝまで収録) 14.米搗き甚句 山下とり 3'33" ■アー男が良うて金持で、それで女が惚れるなら アードッコイショ 奥州仙台陸奥守、陸奥守の若殿に 何故に高尾が惚れなんだ イヤマカサッサィ ヤットコセ ■可愛いらしやの蛍虫、生れは何処よと問うたなら 川の流の砂の中、宿は何処よと尋ねたら 昼の木の下草のかげ 川端柳の露の宿 夜の七つが来たなれば、黒チリメンの羽織きて あかねの鉢巻しゃんとして、小田原提灯腰に下げ いとし殿御の道照らす (1'40") ■郡上高鷲はよい所、大日ヶ岳に抱かれて 長良の川の川上で、水が清うて人も良うて 山から松杉槙に炭、川にゃウグイに鮎アマゴ 春はヒルガの水芭蕉、切立明野のワラビ刈り 夏は長良の涼風や、緑したゝる天王社 秋は紅葉の西洞よ 釜ヶ洞なる女夫滝 冬また清い白妙の、見事に開くは雪の花 アーこれぞ誠にうるわしき 平和の里ぢゃよ何時迄も 共に守らん村人よ 共に栄えん村人よ ■穂に穂が咲いて豊年ぢゃ 道の小草に米が成る アーヨーイヨイ ヨーイトサ ◎収録なしのハヤシ(■一人娘にゃ妹がない、空家のお倉にゃ米がない、アーヨーイヨイ ヨーイトサ ■雨の降る日は天気が悪い、妹姉より年が下 アーヨーイヨイ ヨーイトサ) 75 15.糸ひき唄 山下とり 35" 23" ■まゆはよう立つ 糸目はとれる まわる見番さんは色男 製糸工場は言わでもわかる ムツゴ(さなぎ)臭いで犬がつく ■どんな事でも主さでなけりゃ 東切れても夜が明けぬ 野暮で切るなら切れてもやろが、糸と切れない義理がある 16.古大盡 稲葉さと子(19)他 (三、杉本定丸、太、和田新二郎) 2'45" ■殿まサハーヨー 行きゃるなら ためらいなさりよ おらがお背戸のショボショボ川に、昔蛇が住む今亀が住む 亀も亀ぢゃが人とる亀よ、昨日は四人とった今日は五人とりやった 合せ申せば九人の家内 そんなにくってくりゃるな 人の種たえる サハヨー ■器量がサハーヨー 良いとて けんたいぶり おきゃれ 深山奥山 その奥山の、岩に咲いたる千重のつゝじ 何ぼ器量よく咲いたがとても、人が手出さにゃ その身 そのまゝで果てる サハヨー ■略 17.源助 中谷さと子(21) 伴奏 16と同 1'00" ■源助さん々々というてなく鳥は ア源助さんでこらしょ 鳥は鳥でもちょいと色鳥よ 鳥は鳥でもちょいと色鳥よ ヨーイヤ ヨーイトマタ 源助さんでコラショ ■様と別れて松原ゆけじ、松の露やら泪やら ■月の明りにチョイトだまされて 様を帰して気にかゝる 76 X白鳥町長滝 白山神社にて ◎白山神社大裏★オーウチ★舞のうち 上村寛★カミムラカン★(58)、市村雄太郎★イチムラユータロー★(57) 1.梅の申立て 34" ■それ梅は百木★モゝキ★の先に開いて、におい千秋の嵐をふくむ めでたかりける この時かな かゝる時しょうの石切候間 これは梅と申すものなり 2.竹の申立て 34" ■され竹は 万歳の世々ょ重ねて 一天に収まれる めでたかりける この時かな かゝる時しょうの石切候間 これは竹と申すものなり 3.新玉の 4'03" 法灯て■新玉の〈年立ち返る且★アシタ★より そよの 地■旦より〈またるるものは鶯の声 そよの ■我山の〈障子の御連注幾重引そよの ■幾重引★ヒクヨヒク★〈七重も八重も重ねてひく そよの ■収まれる〈世に逢坂の関の戸よ そよの ■関の戸よ〈月かげならでさすよならまじそよの ■大黒の〈さしがえの土はなみづちよ そよの ■なみづちよ〈廿四の作りもの打出の小槌 そよの 4.大裏や 26" ■大裏やついなの夜半の椙障子 あくればやがて春のこそすれ 5.梅の一 1'10" 法■桜狩 雨は降りきぬ同じくは ぬるとも 花の 地■影に宿らん ぬるとも 花の ■雪しばし おもりなく ぬるとも 花の ■かげは宿らん ぬるとも 花の 77 6.竹の一 1'08" ■情あり散るも散らぬも山里の 桜がもとの 花の下風 桜がもとの ■花がらに雪ぞふる 桜がもとの 花の下風 桜がもとの ◎白山神社田踊(田植唄) 1'27" 上村、市村 ■花が見たくば吉野へござれ 吉野は名勝花所 ■紅葉がみたくば竜田へござれ 竜田は名勝もみじどこ ■月がみたくば武蔵へござれ、武蔵は名勝月所 ◎雑歌 1.高い山(酒盛) 39" 市村 ■めでた〈の若松様はヨー 枝も栄えりゃ葉もしゅげるョ ハルマ ヨイ〈〈 ■高い山から谷底みれば 瓜や茄子の花ざかり 2.高山音頭 35" 上村 ■飛騨の高山 高いとはゆえど 山は高うない名が高い アーチョコ〈チョイ ■若い時には一度や二度は親も目長にしておくれ |