本田善郎氏 民謠収集旅行記録No.1 1957.2〜8

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民謠収集旅行記録No.1
1957.2〜8

はがき1
名古屋市中区新栄町
中部日本放送ラジオ制作部音楽課
本田善郎様
北牟婁郡長島町長島観光協会長
大内才五郎
2.23

扨後■者先日は当地長井氏まで御申入の件の古民謡録音の件廿七日当日は長井氏宅近くの佛光寺に施てりうべく午后■時頃より吹込のメンバーを揃えておまち申して居りますから左様御承知御願申上げます 尚当日録音予定は次の通りです。
一、大踊り唄 メンバー五人
一、地曳唄 〃 二、三人
以上


はがき2
名古屋市中区新栄町四丁目一五・中部日本放送株式会社 ラジオ制作部音楽課
本田善郎様
三重縣北牟婁郡
海山町役場内
東一郎
二月十九日
電話引本局一四番

拝復、民謠等録音の御日程二月二十七日夜との趣き御通知拝見しました。当方の都合は別に差支えありません。なお先日御来庁の節申しましたように、当地では「権兵衛が種まきやー」「草取唄」「木挽唄」「ぞめき唄」「盆踊音頭」など唄い手を頼んでおきます。(太鼓・笛も)。関船歌は録音したのものがあります。この外、調べてみました処、鯨船行事(大白神社の神事)の船歌と祷渡★トウワタ★し(宮座神事)のサンゴクウタというのがあるそうです。私もまだ見聞したこともありませんが、極めて古風なものらしいです。これらをも網羅するかどうか、貴社の採集分量の御予定に制限があるのかどうか、わかりかねますのでどの程度に準備しておいてよいか迷ってをります。一応貴意おきかせ下されば倖です。敬白


A
省冠 古謠民謠集録のため僻遠の当地まで御いで下さいまして感激にたえません。
当日録音の歌詞を書きとめておきましたので同封お目にかけます。
島勝での御採集にはお供できなかったので申しわけありません。只今予算編成の主管課として忙殺されてをりますので、何かと不行とゞきの次第でした。不悪お赦し下さい。
白浦の鯨船神事は一昨年ラヂオ三重が録音したとのこと聞きましたが放送は聴いていませんし、私もかかわらなかったので内容はどんなものであったか存じません。
祭礼は旧の六月十四日(つまりギオン祭)ですから今年は太陽暦の七月十一日に当ります。船唄は私の推察(若干聞いた話を綜合して)では、相■、引本の八幡祭の関★セキ★船の唄と同系のものかとおもわれます。此処には「熊野諸手★もろて★船」と云うのでしょうか、キレイに彩色した漁船(無動力)がありますが、それは鯨船神事に必要だからと云うのも理由の一つです。
此処の捕鯨は徳川中期に盛大をきわめましたが、伝説によると、伊勢参宮に上る牝鯨の「はらみ鯨」を捕ったところ、この村に悪疫が流行して村は惨情をきわめました。母鯨のたゝりによるものとして菩提をとむろうたと云うのです。
「宝暦八戊寅十二月十八日、腹子持鯨菩提之塔」というのが当時の網元植松清助、突羽指六良太夫(註・捕鯨の職名)によって建立されています。
鯨船神事はその伝説とは直接の関係はありえませんが、此の地の大白★おおじろ★神社の行事として原始的な沿岸捕鯨のさまを演ずる(海辺で)わけです。
もし御採集なされるのでしたら七月十日(宵宮)のうちに御いで下されば好機かと存じます。
三月一日 東 一郎
CBC 本田善郎様



B
海山町大字島勝浦 神社の神事のうた、
第一にうたう
三国★さんごく★歌、島勝神社九月例祭 冬
三国一大鰤とりすました
三国一ワラサとりすました
三国一サゴシとりすました
あしやん しやん しやん
おしや しやんのしやん

取りをさめ

同じく 正月祭 夏とるもの
三国一大鮪とりすました
三国一ツバスとりすました
三国一大鰺とりすました
あしやん しやん しやん
おしや しやんのしやん

1 ■び芸■■
2 小児
3 三国



第二
よいころ節
(一)ア ヨイサナ、ヨイサナ、ヨイサマカセ
祝い目出度の(コラショ)若松様は(エーゾーエーエ)枝も栄へて(コラショ)葉も繁ると申します

第二と第三の間は自由に小唄等を入れる。
(二)あーよいよいさえ 今年もよかろ 白鷺が 今年初めて 初参宮
日に行き暮れて宿はなし、それより浜辺に あら飛んで出て
浜のこかけに小松あり 落葉を咥えて あら巣をかけて
十二の卵を生みそろへ 十二を一度に目をあかし 親子もろとも
たつ時にや 金の盃 七★ナナ★銚子 飲めや大黒 あらうたへや恵美須
中で酌とる福の神と申します

第三 最後にうたう
四 よいころ取おさめ
祝い目出度で始めた祝 祝い目出度で とりおさめ



C
1.紀東地方下見(紀伊長島−尾鷲) P.1
2.紀東地方収録 P.8
3〜6 各地報告 P.18
7.岐阜県本巣郡根尾村の民謠 〃
8.愛知県南設楽郡作手村の民謠 P.19
9〜15 各地報告 P.19〜
16.一宮・尾西方面下見 P.20
17〜20 各地報告 〃
21.三重県員弁郡梅戸井町の民謠 P.21
22〜25 各地報告 P.22
26.三重県南牟婁郡市木尾呂志村の民謠 P.23
27.愛知県知多郡師崎町の民謠 〃
28.三重県飯南郡飯高町の民謠 〃
29.愛知県丹羽郡岩倉町の民謠 〃
30. 各地報告 P.24
31.三重県度会郡玉城町 〃
32. 〃 南牟婁郡紀宝町 〃
33.愛知県碧海郡六ツ美町 〃
34. 〃 宝飯郡小坂井町 〃
35. 〃 愛知郡東郷村 P.25
36.松阪市 〃
37.美濃市 〃
38.愛知県碧海郡上郷市 〃
39. 〃 西春日井郡師勝村 P.26
40.一宮・尾西市地方収録 〃〜
41. 各地報告 P.33
42.中津川市 〜
43.三重県一志郡一志町 P.34


001
1.紀東地方(1957.2.8〜9)下見
資料提供者 尾鷲市立中央公民館長 伊藤 良
 〃 商工水産課観光係 浜田博一
 〃 尾鷲小学校長 若葉 治
尾鷲高校 馬場久勝
三重縣北牟婁郡海山町役場 東 一郎
 〃 〃   長島町 長井愛爾

a)尾鷲市
尾鷲節(ハイヤ系)
ナショマゝ節(尾鷲節の元唄たるもの)
よいこの節(よしこの系?)
長浜節(酒盛唄)
盆の唄(祭文型式のもの)
木挽唄
田植唄
地どり唄
以上が現存する古謠の主なるものである。演奏編成は15名
尚、尾鷲高校 馬場氏の生徒調査の結果中、古謠に関するものを整理の上3月中に報告ある予定

b)北牟婁郡海山★ミヤマ★町
関舟祭り(四日市の鯨舟系)ホラ・太鼓・笛
毎年2月10日が祭礼でこれ以外の日の収録は難かしい
但、この関舟唄は、海山町教委会に録音あり

権兵衛唄 この唄は、東京近郊、岡山にもその発生地を唱える所があるが海山町相賀★アイガ★(古くはオーカ)の便の山(ビンノヤマ)に、種蒔権兵衛が居た事が立記されていて、ズンベラ石が残されている。
盆唄(祭文系の音頭型式)



002
草取唄
木挽唄
須賀利★スガリ★節(下田から移ったと伝えられるハイヤ節系のもの)
但し、土地の島勝浦★シマカヅラ★の名を織込んだ詞あり
ぞめき唄(酒盛唄)
神楽唄(四日市阿倉川の系をふむもの)
演奏は5名程度

c)北牟婁郡長島町
おおどり 旧盆三日間仏光寺で催される盆踊り
念仏踊・愛宕詣・中踊・干支踊−いづれも音頭型式のもの
この他、山と海との労作唄もある模様、調査依頼
其他、今回入手した資料
三重県安濃郡長野村……津新町よりバス……羯鼓おどり
 〃 阿山郡河合村……祭り唄
又、尾鷲市内に日本一を誇る熊野目白を飼育している人あり

津市、倉内正邦氏の著書によれば(但文献に依るもの故、一部は歌詞のみ残る)
水輪内…童唄(亥ノ子唄)
三木島… 〃( 〃 )
新鹿… 〃 ( 〃 )
紀伊一帯… 〃 (お月さんいくつ)
南牟婁−熊野川… 〃 (蛍来い)
長島… 〃 (わしの影するものは…)
 〃 …子守唄(ねんねころりと寝る子でさえも…)
南輪内… 〃 (桜三月・あやめは五月……)


0003
御舟 子守唄…(泣いてくれるな泣かいでさえも)
新鹿  〃 (この子守るのに三度の食も)
有井  〃 (ねんね ねぶたい ねぶたい小夜は…)
相野谷  〃 (夏は木の蔭 冬間はこたつ)
阿田和  〃 (私と行かんかお寺の芝へ…)
尾呂志  〃 (舟に積んだらどこ迄とゞく)
神川  〃 (この子泣くので照る日もくもる)
飛島  〃 (泣くな なげくな今日は二十五日)
北輪内  〃 (この子寝た間に餅ついて…)
 〃   〃 (おいらの子守は何処へ行た)
長島  〃 (盆は来い来い 正月は来るな)
北輪内 数え唄(恵比須講の唄)
五郷 いろは唄(いやな事でもいやな顔せず…)
荒坂 手まり唄(向う通るは何処舟や…)
新鹿  〃 (しんたく升籔)
相野谷  〃 (伊勢のせのせの千太郎どのは)
神川  〃 (かわいい子をうけとって…)
 〃   〃 (お千代様の紋形みれば…)
 〃   〃 (とうとうお寺の道成寺…)
 〃   〃 (ひでふでみでよでこよりでしめて)
 〃   〃 (一で水仙 二で燕子花…)
紀伊一帯  〃 (ひにふにみよの姉さん…)
阿田和 子守唄(島かあかあ、かのものかしせ…)
木の本  〃 (姉と妹の そろいの蛇の目)
北輪内 田唄(五月田植に泣く子をほしや)
有井  〃 (腰のいたさよ この田の長さ)
神志山  〃 (米をつきおく門田をうえろ)
市木  〃 (嫁に呼ばれて浅葱きるな)





0004
南輪内 田唄 この頃はきやつも骨折り
泊村  〃 わがとのは沖へ釣を
相野谷 〃 どんど◆となるとこは どこや
上川 〃 苗を貰うたら木登り苗で
上川 〃 日をみれば西の山端に
西山 〃 この苗を押し上げたら
神川 〃 向いなるぜんまいわらびは
阿田和 〃 面白や いわさの つり舟
市木 〃 私ゃ備前の岡山育ち
 〃 〃 お前は川上 わしゃ川下で
 〃 〃 只やすけれどぬれて…
御舟 〃 苗で三尺 穂が出て五尺
相野谷 〃 新宮川のような音無川か
相賀 〃 お昼前やら 背中はこげる…
南輪内 〃 すいた男と 田の草とれば…
相野谷 〃 五月すぎて六月に取らじゃ
上川 〃 一人とるかよ此の田の草を
新鹿 〃 祝い目出度し初めた仕事
市木 〃 あつや苦しや、いつ夏もからだ
 〃 〃 草の種とて蒔きゃせんが、
飛島 〃 五月三十日は泣く子をほしや
阿田和 〃 新宮節聞きゃ女郎衆は走る
五郷 草取唄 祝い目出度の若松様
有井 〃 歌は理でつむなゝをさでつむ
御舟 〃 腰も痛かろ この田の長さ
南輪内 〃 お日は山端に すばるは西に
五郷 〃 この田を殿がかいたならば
新鹿 〃 おらも若いときや井戸迄通うた


0005
上川 苗取唄 さまよさーと笠打上げてかぶれ
西山 〃 畑の中の六兵衛 咲いたる蕾
五郷 粉摺唄 娘は髪を結うて 花の木にゃもたれ
神川 〃 引け々々廻れよ 茶臼にゃ霧の様に
南輪内 〃 庭で米つく 次の間ではかる
神志山 〃 秋が来たとて 鹿さえ鳴くが
荒坂 〃 唐きび三合ひきゃ二十一できる
有井 〃 ひかひとて又 そーめん屋を出たら
南輪内 〃 秋は夜長し 来る身はおそし
 〃 〃 槌の頭を揃えて叩け
新鹿 〃 新高川原で昼寝をしたら
泊 〃 咲いた桜の枝折る風は
南輪内 〃 例へ手鑑に味噌こしさげて
有馬 〃 急げ早や漕げ成川の渡
市木 〃 ひけよ ひし臼よ 廻れよと臼
相野谷 〃 ひけよ ひき木や 〃
尾呂志 臼すり唄 なんで若衆 腕よりかけて
南輪内 米つき唄 米つきでめしょたいのはじめ
五郷 〃 家のお背戸へ 井戸掘りすえて
南輪内 〃 つけ◆二斗五升入れて
泊 〃 こゝの米つきゃ 皆めんどりか
有井 〃 大阪天王寺の亀井の水よ
神志山 〃 米つきしめ 世帯のはじめ
相野谷・上川 〃 つけたつけたよ この米つけた
南輪内 〃 月の満崎 港に汐が
荒坂 麦刈唄 親に孝行な蛍の虫
神川 木挽唄 木挽や深山の山小屋にすめど
北輪内 〃 流れ谷とは申しゃ あのなつかしい


0006
南輪内 木挽唄 木挽駒鳥山上の山で
神川 〃 木挽様とは名はよいけれど
尾呂志 〃 木挽と鼠はひかねばならん
神川 〃 鋸と鑪は流れて来たが
飛島 〃 木挽ひかすな手が悪くなる
上川 〃 木挽いとしや千丈の山で
神川 〃 木挽 米のめし ぬかみそそえて
入鹿 〃 七里御渡の灘こすときは
神川 茶摘唄 お茶をつむなら 芽茶からつまれ
尾鷲・長島 〃 お茶が若いのか もみ手が
新鹿 〃 宇治は新茶と 寺田の小茶と
神川 〃 お茶をもめ◆ 大葉も小葉も
新鹿 〃 お茶はつみきる 小唄は残る
泊 〃 宇治は茶どころ 茶は縁どころ
神志山 〃 顔は声かよ 身は根性から
神川 筏唄 なろて来たぞや、よーい川上節を
錦 船唄 〃 せきぶね唄
桂城 〃 親子船かえ 金なしぶねか
島勝・九鬼 〃 日和東風気ぢゃ 沖しゃろ浪ぢゃ
須賀利 〃 須賀利ゃ よいとこ 行なとこばかり
相賀 〃 行こか引本へ帰ろか家へ
九鬼 〃 素見は止めない押売りゃせない
尾鷲 〃 大島浦から御座浦みれば
南輪内 〃 さいれ とれとれ神島沖で
尾鷲 〃 精神ぢゃ◆と何が精神か
二木島 〃 今年来るやら来年ぢゃやら
 〃 櫓こぎ唄 但馬押送り 乞食よりおとり
尾鷲 〃 もっと押せ◆ 下の関までも



0007
南輪内 〃 櫓こぎ唄 沖の鴎に汐どき とえば
 〃 〃 舟下し唄 松前殿さん 志摩の守
 〃 〃 まず今晩の御祝いして
 〃 〃 木更ぎ山の楠の木の船に作りて
御船 舟子唄(よいこの) まづで月の初夢に
南輪内 〃 大島原からよせくるツチ(鯨)を
 〃 大漁唄 鮪まんまんや しゃちおこや
二木島 はしりがね(舟女郎)の唄 鳥羽で三十日、的矢で二十日
有井 地搗唄 松になりたや 有馬の松に
南輪内   機織唄 歌は理でつむ 機織おさでつむ

§費用 旅費 名古屋−尾鷲 名古屋−相可口 U
相可口−尾鷲 V 2,300
宿費 尾鷲市 一泊 1,600
日当 二日 800
車代 1,300
計 6,000

2/21受信 海山町 東一郎氏
大白神社 鯨舟行事の船歌
宮座神事 の サンゴク唄 がある由

2/25受信 長島町観光協会 大内方五郎氏
27日、仏光寺にて大踊り唄(5人)、地曳き唄(3人)録音の準備しておいてくれる由



D-1
三重県北牟婁郡海山★みやま★町民謠 昭和三二・二・二七録音
○木挽うた(唄ひ手、玉津太一)
●行こか引本へ 帰ろか家へ、ここは思案の相賀★ありが★橋
挽いても借金ひかいでも借金
●大台風ョ受け松島こえて、逢いにゃ来たのも帰★かや★されぬ
●木挽さん達★たちゃ★ お国はどこよ、わしは熊野の流れ谷
負んだ子も抱いた子もお前さんの子ぢゃもの可愛がっておくれ

○田の草とり唄(唄ひ手、五味★ごみ★しま、明治十二年八月生、満七十七才六ヵ月)
●わしもいや(厭)どれ この田の草は、なぎやくわえやおもだかや
●今年ゃ世は好★よ★て穂に穂が咲いて、百に三升の米喰★く★わそ。
●もうし親方しまをじゃないか、ここは西山日や(は)かげる。

D-2
○権兵衛が種まく(唄・五味★ごみ★ふさえ、三味同人)
●権兵衛が種まきゃ烏がほぜくる、三度に一度は追はずばなるまい、ズンベラ ズンベラ
●向うの小山の小松の小蔭で、十六島田が出て来て小招く、なにをか捨ておけ行かずばなるまい、ズンベラ◆。

○海山町盆踊りうた(音頭・畦地●★ゆづる★、笛・海上一務★かじょうかずむ★、太鼓・海上周★しゅう★五郎)
●今夜★こいさ★初めて梯子★はしご★へのぼる。合唱ヨンヨイ(繰り返し)ヤーアトセ、ヨーイヤナ、ヨンヨイ
合うか合はぬかわしゃ知らねども(〃)合唱以下同じ
合はぬところは御容赦なされ(〃)
笛も太鼓も踊子★おどりこ★も揃ろた(〃)
盆にゃ踊ろし正月には●べ(〃)
さればこれから文句にかかる(〃)
国は大和で吉野の里で(〃)

D-3
松屋娘においそと云うて(〃)
○熊野地方の子守唄(唄ひ手、松村よしの)
●ねんね、ねと云★ゆ★うてなョー、ねる子は可愛★かわ★い
起きて泣く子は面★つら★にくい
●面★つら★憎★に★くても叩★たた★きはできぬ
たたきゃ世間でわらわれる。

○ヨソの餅こね唄(唄い手、畦地●★ゆづる★)
●ここの座敷は目出たい座敷よ、めでたい屋敷よ
鶴と亀とが舞★まい★をまう。
イヨノーヘョータンヤ


0008
2.紀東地方収録(1957.2.27〜3.1)
上野千秋、本田善郎
技術 谷久彦、佐野哲志

イ.北牟婁郡 長島町にて(仏光寺)
(一)大踊りの歌 8'00"
宝永年間(750年前)此の地方をおそった大津波で沢山の死者を出した。その霊をなぐさめる為、土地の人が仏光寺境内に集まりこの唄で踊って供養した。それ以来年々の盆踊りてなって伝わっている。

(念仏踊り)そら(こりゃ)又ごきさく申す(そ)なら、今宵よるは七月で
あすの夜は八月
沖で何やら光るぞ、月か星かホータル(蛍)か
そら南無阿弥陀仏

(精霊踊り)愛宕まえり(参り)に袖をひかれて
これも誠のできしょう(本当か)

(中踊り)中踊りこそ お笠にさいて お笠にさいて
なおよかろ
三津の浦 どんどとなる
江戸船方は下りたそうな
江戸船方は下りはせんけど
三津の浦の年くせぢゃ

今年の盆に踊らんものは
精霊の柵へほりあげておいて
ビシャシャゲ花で水向けよ
向いの山でなくヒヨ鳥は
朝 草刈りの目をさます

(註 愛知県西春日井郡に下の如き唄あり
向いの山に何やら光る、月か星か蛍か
月でもないが星でもないが大納言様のお江戸へお立ち
その早船の櫓が光る、櫓が光る
石川県能美郡白峰村の神迎★カンコ★踊の歌詞にもあり)



0009
尊い寺は門から知れる
清水寺の尊さよ
(干支踊り)尊い寺は門から知れる
清水寺の尊とさよ

又、別に下の歌詞もあり




(二)地曳唄(船上の綱曳)32.3.18放送済
文化年間より伝わるもので、各季節の漁で曳く網の種類の異なるところから
夏…小網の唄、冬…大網の唄の二種がある
(大網の唄)1'08"
浅間の鶯はホケキョと鳴いた ヨーホーサー
お前百までわしゃ九十九まで ヨーホーサー
イヤサーノーエー サーホイ
共に白髪の生える迄
めでためでたの三つ重なりて…略
(小網の唄)3'45" 
恋してーがわに せらほが せーあるよ
思い切るせとなー
それは切らぬせとなー
沖の暗いのによー



0010
白帆が見える
あれは紀ノ国 密柑ぶねナー…略
以上(CBC本社 B1253)リールにあり

ロ、北牟婁郡海山町相賀にて
(一)熊野地方の木挽唄(1'28")唄玉津太一32.3.18放送済
行こか引本へ 帰ろか家へ こゝこは思案の相賀橋
挽いても借金、挽かいでも借金
大台風ョ受け 松島こえて あゝこりゃ来たもの帰★カヤ★されぬ
木挽さんたちゃ お玉はどこよ わしは熊野の流れ谷
負★オ★んだ子も抱いた子もお前さんの子ぢゃもの可愛がっておくれ
註…引本は漁港であり遊郭のある町
(二)田の草取り唄(3'30")唄五味しま(77才)32.3.18放送済
わしも嫌どれ この田の草は なぎや、くわえや、おもだかや
今年ゃ世の好★ヨ★て穂に穂が咲いて、百に三升の米くわそ
もうし親方仕舞おじゃないか、こゝは西山日ゃかげる
(三)種蒔権兵衛(1'05")唄五味ふさえ


0011
権兵衛が種まきゃ 烏がほぜくる
三度に一度は追はずばなるまい ズンベラ ズンベラ
向うの小山の小松の小蔭で
十六島田が出て来て小招く
何をか捨ておけ行かずばなるまい ズンベラ ズンベラ

(四)海山町盆踊りの唄(5'12")
音頭 畦地譲
笛 海上一務★カイジョーカズム★
太鼓 海上周五郎
●今夜★コイサ★始めて 梯子ヘ上ル ヨンヨイ
(今夜始めて 梯子ヘ上る ヤーアトセ、ヨーイヤナ、ヨンヨイ)
合うか合はねかわしゃ知らねども
合はぬ所は御容赦なされ
笛も太鼓も踊子も揃ろた
盆にゃ踊ろし正月には遊べ
さればこれから文句にかゝる
●国は大和で吉野の里で
松屋娘においそと言うて
註 大人が二人梯子を持つ、その中程に音頭が、から傘さして立つ、又梯子の中に童が入り「ヨイヨイ」と囃す

(五)熊野地方の子守唄(50")松村よしの
ねんね、ねと云うてなョー、ねる子は可愛い
起きて泣く子は面憎い
面は憎ても叩きは出来ぬ
叩きゃ世間で笑われる
註 節廻し、演奏とも可

(六)よその餅こね唄(35") 畦地譲



0012
こゝの座敷はめでたい座敷よ めでたい屋敷よ
鶴と亀とが舞を舞う
イヨノーヘョータンヤ
註 船津にある曹洞宗、永泉寺は永平寺の末寺として代表的なものであるが、旧正月五日にこの寺で餅(餅米とうるちと折半しそれに塩味の小豆をまぶす、それを三重ねにして檀家へ配る)をつく時、土地の若者が山に入り、樫の五尺棒をとって来て之でこねる(約250〜260年昔から)
よその餅と云ういわれは不明、一説に満散(マンサ)の餅とも云う
尚永泉寺には河童の駒ひき伝説があり、これが同日供養されるが関係はない

ハ.北牟婁郡海山町島勝(島勝神社にて)
こゝにて収録の唄は、凡て島勝神社の神事の唄で、収録の日(2/28)も、丁度部落民が社務所に集合し、神酒を汲んでの祭の打合せの最中であった
唄を順序に述べると
(一)三国歌 これには二つある(1'00")
(1)正月祭礼の歌…夏の漁獲の感謝と祈り
三国一大鮪★シビ★とりすました
三国一ツバスとりすました
三国一大鰺とりすました
あ しゃん しゃん しゃん お しゃしゃん の しゃん
(島勝の唄は、本文の前にハヤシが入る
「正月よいこら今年もよかろ」で本唄となる。但、以上は正月のもので、他のシーズンには、「…よ、こら年がよかろ」とハヤス)

(2)九月例祭の歌…冬の漁獲の感謝と祈り
三国一大鰤とりすました
三国一ワラサとりすました
三国一サゴシとりすました
あ しゃん しゃん しゃん お しゃしゃん の しゃん



0013
註 各〃魚は必ずしも定っていない

(二)よいころ節(1'10")
ア ヨイサナ ヨイサナ ヨイサ マカセ
祝い目出度のコラショ 若松様はエーゾエーエ
枝も栄えてコラショ 葉もしげると申します

(三)は必ずしも定っていない。以下は一例であって、曽我物語(P.17参照)(4'00"収録分)寺子屋などがある。
(小唄)あーよいよいさえ今年もよかろ
白鷺が今年初めて初参宮、日にゆきくれて宿はなし、それより浜辺にあらとんで来て、浜の木蔭に小松あり
落葉を咥えて あら巣をかけて 十二の卵を生み揃え
十二を一度に目を あかし 親子もろ共 たつ時にゃ 金の盃 七銚子 飲めや大黒 あら唄えや恵美須
中で酌とる福の神と申します
註 尾鷲市収録のよいこの節と比較


(四)おさめ唄 1'10"
祝い目出度ではじめた祝
祝い目出度でとりおさめと申します

(尾鷲地方の特色がこの語尾にある。「…と申します」「…と御酒上ってションガイ」等である)

二、尾鷲市(念仏寺にて)
(一)尾鷲★オワセ★節(8'12")32.3.11放送済
尾鷲よいとこ 朝日を受けて ヨイショレ
浦で五丈の網を曳く ノンノコ サイサイ
ヤサホラエー ヤサホラエー

まゝになるなら あの八鬼山を 鍬でならして通わせる
●中村山のお灯明あげ国市の国市様の夜でもり
紀州熊野灘 八百八鳥、佐波留 ちょいと出りゃ 神だのみ
まゝになる身がなしよ まゝならぬ まゝになる身を持ち乍ら
●お前とならば どこ迄も、奥山の猿かけ いばらの中迄も



0014
八幡山を超え汐鼻こえて 逢いに来たもの帰えされうか
誰と別れか長浜辺り、夜明け鴉が泣いてゆく
●あの娘に貰うたテンテン手拭を
カンカン川端の柳のコンコン小枝に引かけおいて来た
註…大阪夏の陣に遺え去った真田の臣がこの地に流れて来て住みついた。今も市内に真田井戸、真田堤の遺跡があり、これ等が悲憤の思いを託して唄ったものとも云われる。又戦国時代の兵の出陣の譜とも■地に名を残す熊野海賊の出陣の譜とも。又歌詞は七七七五の都々逸形であるため、徳川以降のものとも云う。演奏には寄せ太鼓(太コと笛)をハヤし、その後、唄になる。又囃言葉は全く意味が判らないがイスラエル語によれば「ノンノコクワイエクワイエ イヤサ ホラエー オーシュルマンコノケー」は「汝の敵は■滅せられたり、我が行く手にさえぎるものなし」となりカンナ征服に唄った勝ちどき唄と言う。
尾鷲市内では(尾鷲よいとこ朝日を…)を「アサーヒ」と唄うが他地方では「アーサヒ」と唄う

(二)ナショマゝ節(1'20")32.3.11放送済
ハナーよ なしょまゝならぬ なしょになる身を持たせたい
まゝになるならあの八鬼山を鍬でならして通わせる
いつも月夜で世も八月で殿も二十五でおればよい
ヤッサホラエー オッチョコマンコノケー
註…尾鷲節の元唄である「なしょ」は「何故」

(三)長浜節(1'25")32.3.11放送済
矢ノ浜越ゆれば太鼓の音よ あれは常盤棲の寄せ太鼓
長町通いに早緒が切れて 帯を早緒にして通う(延え緒★はエオ★)
天満長浜浮島なれば たぐり寄せたや膝元へ


0015
註…長浜は尾鷲地方の花街のある地方 早緒は櫓にかける緒

(四)海山町盆踊り唄(尾鷲で唄うもの)(2'50")
今の先生のちょいと息をつぐ◆
今年や豊年ぢゃ穂に穂がさいた
こちらあちらに稲穂が招く
何と皆様嬉しぢゃないか
嬉しところで朝まで踊れ
註…11ペーヂ参照 風俗も同じ 江州音頭系

(五)矢ノ浜地方の子守唄(1'00")
ねんね ころいち(一番よい)寝る子は可愛い越きて泣く子は面憎い
面の憎い子はマナイタのせて、青葉きざむようにザク◆と
守りは辛いと破れ傘きせて、可愛い我が子に雨かゝる
註…11ペーヂと対照的

(六)よいころ節(3'32")
田舎育ちの籔鶯は今年始めて伊勢参宮
伊勢ほど広い町はない、一夜の宿もようとらず
それより浜辺にすんと(すぐに)出て、浜の小松のこの枝に
紫かきよせて巣を作り、十二卵を生み揃え
十二 一度に目をあけて、親子もろとも発つときは
金の盃、黄金の銚子、飲めよ大黒、唄えよエビス
●飲んでおさめる福の神 と御酒あがって ションガイ
註…13ペーヂ参照

(七)矢ノ浜地方の田草取唄(1'20")32.3.18放送済
ハアー草をとるなら身をなげおいて 人のものぢゃと(ヨー)思わずに
草の種とて蒔き置きせねど、ようも生えたもんぢゃなー 年々に
肩もかいなも四十四の骨も、たんとしもた(こわした)ぢゃなー この草に


0016
(八)
尾鷲盆踊り唄(7'00")
一にゃ水仙 二にゃ杜若 三にゃ下り藤 四にゃ獅子牡丹
五つ梅の花 六つぁ百合の花 七つ南天 八つぁ八重桜
九つ小梅にちらしをつけて
十で殿御の喜ぶように
下手で長いは皆様にゃ失礼
さらば之にておひま貰う
註…数え唄風で二つづつくり返し

(九)木挽唄(1'10")32.3.18放送済
アー谷の水 岩にせがれて 二つに分れ
末で一つに(ヨー)なるであろう(アー借金借金)
こうものろけて若し添われねば
髪を下ろして尼となって
尼となったら櫛や こうがい、びんつけ、元結 いらんけど
買うておくれよ テツハツ(鉄鉢) サク杖に袈さ衣
(アー鼠と木挽は ひかねば喰えない あー借金借金)
註…10ペーヂ参照

(十)寄せ太■(2'57")32.3.11放送済
長浜節の詞にある様に之は遊里のハヤシの一種である
転用して尾鷲節の前奏に用いている
本調子から二上り再び本調子となって終る


0017
§費用 録音謝礼 シガレットケース(上)5ヶ 3,000
 〃 (並)48ヶ 11,500
ブローチ 2ヶ 650
録音会場費 3,000
社員出張費 26,250
本田他二名各−交通費 2,300 宿泊費 3,200 日当 1,200−計6,700
総計20,100
上野 6,150
雑費(車代etc)3,080
総計\47,430

§連絡先 尾鷲市 尾鷲公民館長 伊藤良 Tel尾ワセ1
尾鷲市役所 浜田博一
海山町 海山町役場 東 一郎
長島町 長島町 長井愛爾 Tel長島240
  〃 大内才五郎 〃123

§島勝のよこら節の小唄「曽我物語」
冨士の裾野に曽我兄弟が父の仇を討たんがために、松明とぼしてそこかしこ「ヤアヤア遠からんものは音にも聞け、近くば寄って目にも見よ、我こそは河津三郎祐康が忘れがたみの曽我十郎祐成、同じく五郎時致、日頃仇とつけねらう工藤左衛門尉討取ったり、我と思わん方々は 出でて功名致されよ 兄弟相手になり申さん」出合え々々と又呼ぶ声は冨士の高嶺に伝わりて太将一太刀恨みんと、奥の間さしてぞ駆り行く、どっこいやらじと後へかゝる五郎丸と申します


0018
3.十四山音頭に就いて(1957.4.6)
愛知県海部郡十四山村にある十四山音頭及び此地の古謠をしらべる為、同地に行き、十四山村役場、子宝新田、馬ヶ池、西蜆、亀ヶ池を訪ね歩いたが残っているものは何もなく、又、役場の人々も同地の人も古謠について関心を持つ人は全くなく、何等得る所なく帰って来た。尚、現在十四山音頭を唄う人は南陽町(港区)にある由。
旅費 50、車代 340、日当 200−計 590

4.岐阜県本巣郡根尾村の民謠(1957.4.13)
大字能郷の猿楽見学に行った序に、部落の古老にきいた処によれば、根尾村一帯にて唄う盆唄があり、之が各種労作唄に転用されているとの由

5.愛知県設楽町方面について、夏目新太郎氏より返信
設楽町三つ橋方面に童唄、又設楽さんさ系の唄がある由
愛知県南設楽郡鳳来町副川 夏目新太郎

6.三重県桑名郡多度町役場 小林氏より電話あり(1957.4.17)
多度小唄(昭18年作)の地主だったものなし 調査中

7.岐阜県本巣郡根尾村の民謠(1957.4.19)
同村教育委員会より左記の如く返事あり
盆唄 さんより やっちく しまだ 草刈り etc. 十数種 長嶺 所甚逸代
大須踊り唄 牛若 ほっちょせ他 三十余種
臼ひき唄 大河原 袖しぼる 他十余種 天神堂 佐藤宮内
雨乞い唄



0019
8.愛知県南設楽郡作手村の民謠(1957.4.22)
同村教育委員会西山辰男氏より下の如き通知あり
大字田代の盆踊念仏唄
〃 黒瀬の 〃
〃 里(長者平★ヒラ★)の神楽
但し、5/5〜6.25は収録不可

9.岐阜県揖斐郡徳山村(1957.4.23)
本社文芸にて調査済との返信あり 追而記述

10.愛知県知多郡有松町(1957.4.25)
とり取てて古いものはない由、教育委員会から返事あり

11.愛知県知多郡東浦町(1957.4.25)
東浦音頭・東浦小唄の他 古いものなき旨返信あり

12.愛知県知多郡豊浜町(19574.26)
豊浜地方の盆唄が8/10に盆踊りで唄われる由返事あり
豊浜地方の古謠研究家は豊浜町、高浜 斉藤駒吉氏
豊浜町観光協会(Tel 150)より

13.三重県三重郡朝日町(1957.4.27)
之と言う唄が無い由、返信あり

14.愛知県知多郡武豊町役場より(1957.4.27)
冨貴音頭、冨貴小唄などの他なし



0020
15.愛知県宝飯郡御津町(1957.4.27)
御津音頭を芸者が唄っているのみとの返事あり

16.愛知県一宮市・尾西市方面
名大上田年夫氏の紹介にて、一宮市に「あいつき唄」他、尾西市に「機織唄」他5/4収録致したく申出る
準備 謝礼品関係
上田年夫氏 車代 1,000
一宮 場所 1 ハンカチ 1
〃 関係者 1 シガケース 上 1
〃 出演者 5 〃 並 5
尾西 関係者 1 〃 上 1
〃 出演者 2 〃 並 2
場所代 2,000
出張費 3人(280×3) 840
雑費   500
計 4,340+謝品

17.愛知県宝飯郡西浦町(1957.5.1)
古くから盆唄はあるとの事、但し詳述がなし(教委への紹介の要あり)

18.三重県一志郡香良洲町(1957.5.1)
新作の小唄の他は特にすぐれたものはない由(現地下見要す)

19.愛知県知多郡内海町(1957.5.1)
特に記すものなし 研究家に 梅原昇一氏あり

20.愛知県知多郡横須賀町(1957.5.1)
尾張万才が多少残っている。但し知多町の方が有名(教育長 佐野鐐造)



0021
21.三重県員弁郡梅戸井町(1957.5.1)
教育長 小川謹三郎氏より
(一、)子供の唄
イ)正月六日どんど祭のとき子供が家々の門松や(塀に籔から竹を切って来て、二三本子供のために立ててある)竹を集めに歩く、竹のない家はお金を二銭か三銭わたすが、そのとき子供がハヤス唄
●山の神の竹集め くうれん者 しわんぼ
あしたの朝から しょうかんぼ
(今はこのしきたりは残っていない)

ロ)字毎に子供が集まって学校や役場の門松をとり合い喧嘩をした、そのときのはやし詞
大字大井田に対し●大井田の奴、どうやって大井田の大めしくらい
〃 金井 〃 ●金井かんつぼ落したらわれた
〃 門前 〃 ●門前 門なし 光蓮寺
〃 梅戸 〃 ●梅戸 梅干 茶漬 しゃぶ◆

ハ)子守唄
●此の子良い子ぢゃ ボタモチ顔ぢゃ
きな粉つけたらおいしかろ よいよ、よいよいよ
●ねんね しやれませ、まだ夜は明けぬ
あけや、お寺の鐘なる ………
●ねんねする子は よく見りゃ可愛い
起きて泣く子は面憎い ………
●鐘がなりゃましゃ いこいことおしゃる
此所は寿町 何時もなる ………

ニ)童唄
●きんかんよ どこ行く せんち(雪隠)行く
はまった(落ちた)それみよ親の言う事 きんかんで
●かあかあ烏 烏は神戸★カンベ★の鐘叩き、あとの奴 先になれ◆
註、伊勢神戸は沢山寺があり、いつも鐘がなっているところから


0022
もう日が暮れる

ホ)毬つき唄
●わしの隣りの長太郎さんは…
●西新田の久兵衛の娘、年は十六機織上手
機は織るけど手許がくらい

(二)酒屋の米とぎ唄(米かしの唄)
初●はあー ドッコイナ 来るわいな◆お初さんが来るわいな
下駄はいてくるわいなサイ◆◆
中●……お仲さん…
后●……おしゃげが…

(三)酒屋の山卸唄(山摺り)
●やれ、酒は酒屋に よい茶は茶屋に
女郎は桑名の七つ屋に…
以上歌詞はあっても曲のないものもあり、子供に教えれば可(?)
酒屋唄は二三人唄う人あり

22.愛知県宝飯郡御油町(1957.5.1)
全く古謠は残っていない模様、新作の音頭一曲のみ紹介あり

23.高山市(1957.5.2)
教育主事 梶田誠氏から返信
民謠保存会長 小坂利三 本町三
唄手 保浅太郎 八軒町
民謠童唄研究家 山田白馬 天性寺町

24.愛知県本春日井郡高蔵寺町(1957.5.2)
何もない由、町長より返信あり


0023
25.三重県三重郡川越村(1957.5.6)
愛知県東春日井郡品野町
愛知県海部郡美和町
以上何もない由、返信あり

26.三重県南牟婁郡市木尾呂志村(1957.5.6)
盆踊唄(赤崎義太郎他)詞・節共に大変変ったもの
よいころ節( 〃 知金藏他)祝唄、結婚式の時など
教育長 更家諦造氏より返信

27.愛知県知多郡師崎町(1957.5.6)
役場よりの返信
盆踊唄(音頭)山下由一、坂本林太郎、川本重夫
太鼓 前浪繁三郎
その他にも古謠あり
研究家 山岡藤市(大字師崎)
石黒鐘三(大字大井)

28.三重県飯南郡飯高町(1957.5.6)(旧宮前)
研究家 雀部竹風
何時でも古謠の紹介の労をとってくれる由、役場内長野利一氏より返信

29.愛知県丹羽郡岩倉町(1957.5.6)
盆踊唄に「テキリコ唄」がある
之は女子が両手に竹■を持ち、それを打ち合いつゝ唄ったもの
唄手は同町大字石仏 中山竹三郎
童唄について研究家は、大字下市場 伊藤正之助(教委より)


0024
30.愛知県愛知郡鳴海町(1957.5.8)
 〃 海部郡立田村
 〃 〃十四山村
 〃 西春日井郡西枇杷島町
以上、何もないとの返事

31.三重県度会郡玉城町(1957.5.8)
しゃぐま踊唄(原、蚊野、宮古 各部落)
盆踊唄(〃、〃、〃、羽根、〃)
同町教委より返信

32.三重県南牟婁郡紀宝町(1957.5.8)
盆踊唄(紀宝町平尾井、山戸兵藏、内田得寿、松平利男他囃子)
同町教委より返信

33.愛知県碧海郡六ツ美村(1957.5.8)
田植唄(大正四年、即位式悠紀斎田)
田草取唄( 〃 )
同町教委より返信

34.愛知県宝飯郡小坂井町(1957.5.8)
同町庶務課より別紙解説と共に
木やり唄 大字小坂井 原田保、今泉二郎他
みたぐり唄  〃
みたぐり唄 大字 宿(曲が変る)岡田清次郎他
笹踊り唄 大字 平井 神谷政衛、竹本三作


0025
35.愛知県愛知郡東郷村(1957.5.8)
教育次長 塚本六七八氏来社
機織唄
唐臼ひき唄
田草取唄
木やり唄(天白の唄と同系)
稲苅唄
糸紡ぎ唄
盆唄(ヒワイなもの多く、文献としてのみあり)
子守唄
があり、7〜8月村史発刊を記念して収録する由

36.松阪市
社会教育課よりの返信
羯鼓踊 阿坂支所管内小阿坂
松ヶ崎 〃 松ヶ崎
松尾 〃 西野
他に作業唄が大河内村にあり

37.岐阜県美濃市
教委事務局 大前丈英氏より返信
紙漉音頭が同市 上牧・下牧にあり

38.愛知県碧海郡上郷村
教委長 近藤鎮雄氏から返信
上郷音頭 男達と田舎娘との唄
上郷婦人会長 長谷川かね 青年団長 前田行由 他


0026
39.愛知県西春日井郡師勝村(1957.5.9)
大字久地野の住吉おどりにつき、余吾謙宗氏が来社、報告あり
住吉おどり
一、伊勢音頭 一、新念仏おどり
一、あねさん 一、旧念仏おどり(法界坊)
一、東海道五十三次 一、安珍清姫日高川の段
一、豊年おどり 一、同じく道成寺の場
一、かっぽれ 以上
歌詞を記した資料一部あり

40.一宮・尾西地方収録(1957.5.4)
上田年夫氏 上野千秋
本田善郎 佐野哲志 角谷
イ.一宮市久古見★クゴミ★郵便局にて
1.機織唄
(一)手織り唄 2'10"
機がおりたやチャンコロコロと キイコギイコと音させて
機屋旦那様儲かるえもし(大阪商人風の挨拶) 儲かるどころか足し(損になる)が行く
足しが行くなら機屋を止めて、元のトーフ屋にならしゃんせ
瀬部の篭屋さん、又来ておくれ 篭も買ます顔みせね
いやぢゃ◆と畠の芋は頭ふりふり 子が出来た
十九 廿は嫁入ざかり 仕事ざかりか 色ざかり

(二)網ひき手織唄 40"
きりょー二の次、こしらえ(嫁入り支度)よりも 機の音色で嫁にとる
腹がへっては、かまち(機おり機の横糸を打ちこむ横木)が打てぬ、しまが薄うてもわしゃ知らぬ
私ゃ毎日管巻き(糸巻きに糸をまく)ばかり 早う機屋へ上りたい
私の在所は真清田神社 毎月三八市が立つ


0027
2.酒屋、米かし唄 1'07"(熊本の祝勝唄に●前の山椒の木に…と云うものあり)
イエ・エ・ヘ・ヘー
裏の山椒の木に百舌が巣をかけた。今朝も殿さと立寄ってきけば
君にはきんきん、くるくるまいてはりんと鳴く
ちんがら、ひんがら、しょんがらりんと云うて囀るよ(すべて百舌の鳴声)

3.田草取ぶし 5'20"
たわけ(田草とりのような辛い仕事は馬鹿にならせる、馬鹿者の方言)、田ん甫へ 田の草とりに、どれが草やら稲ぢゃやら
ドッコイ、ドジョー汁、ウナギの蒲焼キ
焼ケタラ 殿サヘ モテコイヨー
暑い最中 田の草とりて、秋の稔りを楽しむ私
津島天皇の神★タカガミ★様は、後で御利生の雨が降る(津島祭りの翌日は必ず雨降りと云う。それは大勢の見物人の立小便を清める雨と云う「津島の大くそ流し」と云う言葉さえある)
新田小★コ★畑の茶の木ハ枯レテモ
殿サニ 濃イ茶ヲ飲マスルヨー

4.唐臼(もみを入れて固めた土の臼で樫板の刃がはめ込んである。重量は約20●ある)曳き唄 1'17"
唐臼曳きなら 若い衆たのめ、臼は宙で舞う、ヤー宙で舞う
唄い出いたぞお寺のチャボがねぶた寝声でコカコーと、酒は酒屋に、えゝ茶は茶屋に 女郎は清洲の浦町★マチ★に ヨー
(唐臼はもみをはがすため、ふつう朝の一時頃からひきはじめる。そのゴーゴーと云う音で鳥が目をさます)

5.石臼曳き唄 1'45"
せっせと廻して入れ手を迷わしょ、入れても貸しまで迷わぬヨー ソリャソリャ
どんな事にも事にも殿さ、心変えてはおくれるな
臼をひきやこそ手と手がさわる 間★アイ★は(側で)見る馬鹿、想う馬鹿

6.子守唄 2'05"
ねんねんよ、おこらいよ、ねんねの守りは何処へ行た あっちの◆
木曽川へ、ムツキやシメシを洗いに 洗い川で洗って、いすぎ川でいすいで
しぼり川でしぼって、お寺の茶の木にかけちょいた。かれた(乾いた)か見てこいおばせるに、かれた事ァかれたが一つ足らん
何をしようとて とってかれた、ふきの(ふきん)にするとて とってかれた、ふきのになるまい巾着に一文入れてはチンコロリ、二文入れてはチンコロリ、三文入れて


0028
口しめて、泣く子に持たして、黙らしてネンネンヨー◆

7.数え唄(お半長右衛門)3'55"(お手玉唄)(此の種の唄は旅芸人が持ち込んだもの)
一つとせーえ 人も通らぬ山中を、お半と長衛が通らんす この● 通らんす
二つ 〃 双見ヶ浦では網を曳く、お半と長衛は袖をひく 〃
三つ 〃 三日月様は雲のかげ、お半と長衛は籔のかげ 〃
四つ 〃 用もない街道を二度三度、之もお半に会いたさに 〃
五つ 〃 何時来てみても井戸端に、駒下駄はいてコチコチと 〃
六つ 〃 無理か無態かきいとくれ、鼻紙半帖もくれもせず 〃
七つ 〃 何でも今夜は呼び出いて、お半を此処で喜ばしょ 〃
八つ 〃 屋敷広めて家たてて、お半を此処に据えおいて 〃
九つ 〃 此処に居ろうか腹切ろか、お半をつれて走ろうか 〃
十 〃 とんと腹に子が出来て、腹帯おくれ長衛さま 〃

8.手毬唄 2'43"
(一)げんげん花と相撲とり花と、結び合わして襷にかけて、お稲荷様は何処らにござる。一の門こえて、二の門こえて、三の門をさらりとこえて、さら竹やぶの門の内◆
門の内には林がござる。林について小池へ行けば小池の子供は賢い子供、朝早うおきて、朝髪といて、おしょく(机)にもたけてお手習◆
せい出いて習え、紙買ってやるに、精出いて習え筆買ってやるに
十九になったら嫁らかしょ◆
十九の嫁入はまだ早い◆
廿になったら嫁らかしょ◆

(二)小夜の中山通り越いてみれば、菊や牡丹やお手まり花や
きけばおりきく上れと仰有る。上れ言葉が●いが、奥でしょうぎさす、中の間で碁打つ、お台所で三味線習う
庭で餅つく、二階から招く、ストンと落いてオンサノサ
お城のサ、オンサの酒屋の虎猫が鰹節咥えて逃げ出す
何処から何処まで逃げ出す。吉原田浦へ逃げ出す



0029
吉原田浦が丸焼けぢゃ、お寺のお鐘のなるときは
学校子供の昼上り、八つ上り、一い二う三い四う何時何時も
さが天から落ちて供がないとて さんすな供は   の
助太郎さまよ、おつきの土産に何々もろうた、一でコウガイ、二で又、カンザシ、三でサシグシしのぎの枕、五番あげます。六番上げます
せめて七番小夜の帯

9.お手玉唄 57"
おらの船頭衆にさらし三尺貰うて、何にしようとてコー屋(染屋)にきけば
一で朝顔、二に杜若、三で下り藤、四で獅子牡丹、五つィ山の千本桜、六つ柴
鹿の子に染めて、七つ南天、八つ八重桜、九つ小梅をばらりと咲かしょ、十は殿さの定紋つけて、お江戸通いの手拭いに◆、丁度一かん渡いた。

10.子守唄 30"
こうも泣く子は、よう守せんに、お暇おくれよ旦那さま ホイ
お暇上げたに何処へ行きゃれ、わしは機屋の管まきに ホイ
ねんねねちょくれ、朝おきちょくれ、朝のまわし(仕度)をしておくれ ホイ
以上Tp No.1に収録分

11.機おり唄 1'15"
(之は人にきかせるため、白やソレ◆とarrangeしたものである)
どんな事にも事にも殿さ 心変えてはおくれるな
心変えては下さいますな 逢うは五年に一夜でも
  が立たんと これ管巻くさ
ぶつけ給うぞ 崩れ管
「アッ、糸が切れました? 一寸オサを入れますよ」
南無阿弥陀仏と言いたいけれど、殿さが法華で言わせんよー ソレソレ

12.網曳き手織り唄 33"
之程思うに添わせておくれ、神も仏も親様も ダチャカン(○方ダメダ(●地))◆◆◆◆◆
之程思うに添われぬなれば出雲の神様へだゞれ込む(○方だだをこねる(大阪・京都))



0030
13.機織り唄(ソレソレ節) 10"
起の川原の長い川原の真ん中で
姉さんどうぢやと ひんまきつかれて
その時ぁ どうしようと思うたわョー ソレソレ
(互に仕事をはげまし合う唄?ソレ◆と言うのはその意のハヤシ言葉、テンポも早い)

14.お手突唄 2'05"
エーヨのコーノ わしの御兄弟 三人ござる 一人下の町は
ヒーヒヨコーノ 一人下の町で一人は上に、まんだ(もう)一人は
 〃 まんだ一人はお江戸にござる お江戸一番
 〃 お江戸一番 伊達そうじゃないか、伊達も伊達ぢゃが
 〃 伊達も伊達ぢゃが 一番伊達ぢゃ、五両で帯買って五両で帯買って三両でくけて(仕立てる) くけた縫目に くけた縫目に 八つ房さげて 花の八月
花の八月 花火に出たら 知らぬ若衆に しらぬ若衆にひきとめられて、帯が切れるに
帯が切れるに はないて(はなして(音便))おくれ 帯が切れたが 帯が切れたは つなぎもなるが 御縁切れたは 御縁切れたは つながらぬ トコドッコイドッコイショ

15.機織り唄 33"
恥かしいぞえ女と言う字、文字の真ん中に穴がある
女という字を分析すれば、やはり此の世の苦の一つ

16.伊勢音頭 12'00"
当地では「酒迎え」と云う。しきたりがある。つまり伊勢参宮を終えて帰る人を酒の用意をして迎えると云う意味で、この時唄うのが、この伊勢音頭で歌は通常のものであるが、節調には多分に、源氏節等雑曲の影響がみられる。
名大上田年夫氏の節によれば「坂迎え」で輿入れ途次の荷を出迎える時唄うとの事である。

17.インターヴュー 6'25"
伊勢音頭について、一宮文化財保護委員長 森徳一郎氏
 上野千秋

18.俚謠のんのこさいさい 1'12"
之は当地のものでなく、鎌倉節(三浦三崎の一月十五日の神事舞)・三島追分の流れである
箱根八里は馬でもこすではないかい ノンノコサイサイ
●箱根八里は馬でもこすが(この一節は馬子唄をアンコ)
こすにこされぬ大井川とは エー、誰が云うたか ノンノコサイサイ
以上Tape No.2に収録



0031
ロ、尾西市起幼稚園分園にて
1.手織り唄 1'00"
何を言うても 起は名所、西に大川(木曽川)、東に小川
後生所か寺二軒
貴方川上、わしゃ川下よ 流し下され 板文で
東京、西京は針金だより(電信開通直後の唄ゆえ)、私しゃあなたの文だより
烏(この一節は、三重県の桑名地方にも同系がある)何故鳴く女郎屋の屋根で銭も持たずにカオ◆と

2.網引き手織り唄(小巾の唄) 2'10"(オサを左右に動かすのが手で網をひく事でなされる)
お守り気狂い泣く子を叩く、叩きゃよく泣く よく叩く
七つ八つから子守りはしたが、こんな泣く子は負わなんだ
親も親なら子も子でござる 烏見なされ子も黒い
わしの殿さは霧島つゝじ、おせは引く手も綺れうがよい
姉もさしたに妹もさゝれ、同じ蛇の目から傘を(以下略)

3.ソレソレ節 1'20" cfP.30
おいでた(いらっしゃった)◆皆さんおいでた。わしらの殿さは何故来んよーソレソレ
お前さの殿さはひぜん(皮膚病)かいてかさ(性病)かいて 笠松街道で破れたゴザ着て、赤碗枕で寝てじゃぞナーソレソレ
赤碗枕で三年もねても、三日の介抱もヨーせんよー ソレソレ
今夜の暗いして裏門叩くは、何所村どなたのおせがれ様ぢゃと
お言葉かけてもお返事ござらん、やれ盗賊ぢゃに縄かけよ、ソレソレ
殿さの声ききゃ味噌する間もない、摺木腰にさいて、摺鉢かゝえて、
門までショコ◆出る気ぢゃよー ソレソレ
御門の外にと待ってぢゃ立ってぢゃ 滑ってぢゃ転んでぢゃ
濡れしょぼたれてぢゃ お前さの殿さに間違いござらん
やれ行かしやんせよ それ 抱き起こしやんせと
云うのぢゃよー ソレソレ

4.子守唄 1'18"
こうも泣く子の守りせるよりも、私しゃ機屋の管巻きに



0032
こうも泣く子はよう守りせぬに、お暇おくれよ旦那様
お暇上げたに何処なと行きゃれ 私ぁ機屋の管巻に
守りときめても子守もさせず 厭な木綿をよれよれと
お守り何処行く、油つぼ下げて、今日は起の油市
(この歌詞より知れる如くこの地方での子守り唄は機おり唄(大巾のテンポ)と共通である。それは、機おりの仕事が子守りと并せていたからであり、機おり子をやとうより、子守りととしてやとった方が低賃金でやとえた事による)

5.小巾の機おり唄 1'02"
機屋始めて儲るかえもし、何のもかるぢゃ足しが行く(cfP.26)
足しの行く様な商売止めて、元の米屋か呉服屋に
機屋、御商売止めされ殿さ、他所の大事の子を●りて、仕事しやよし、若しせぬときは、厭な世辞をせにゃならぬ
機屋、旦那様かぼちゃのつるぢゃ、夜さりはいづる、どこまでも

6.茶染唄(糸染) 1'25"
云うてきかして得心さして、暇ちょうせやとるわいな
様に逢う夜は霧島川の小砂まじりの小石を拾い、様のお部屋の三尺窓へ、ちらりばらりとまくわいな、やれ◆うれしやもう家★ウチ★へついた 親もやるとぢゃ君様 貰いうけると受け答え
浮気止めたと様おしゃるけど様の持たんすその手拭は、未だ浮気の豆絞

7.雲助唄(一様の長持の唄) 1'40"
天気ナーエ 良ければヨー 大垣様のエー
城の 太鼓の 音の良さ
お前百まで わしゃ九十九まで 共に白髪の生えるまで アー、ホイカゴ◆◆ホイ
云うてきかして得心さして 暇ちょうせやとるわいな
めでた◆の若松様よ 江戸で御知行がますわいな
アーホイカゴ◆◆ホイ 舞坂三里か 起のかごやか
(註 土地の人は、道中の雲助唄と信じているが名大上田助教授の研究によれば之は嫁入などの長持唄らしいとの事)


0033
§連絡先 一宮市大字浅野 森徳一郎 Tel B-3632
尾西市 起保育園 林 曜生
§費用 13,200
§附記 起の機おり唄で収録せざるものに下記のものあり
●起東の中島西に人のとぼさん火がとぼる
木曽川堤の人柱となったヨリベエの人魂が夜な夜な出たと云う伝説
今は観音堂あり
●起はたやの色羽二重は、江戸の問屋の名取り縞
●昔なじみとおうかん松は、両に本がある別れても
●起上★カミ★町鬼由様は年期子供を三人ころし、今は牢屋で苦労せる
●昼は機おり、夜さボンボラで儲りますかよ二途で
ボンボラとは、○方 ボウブラ…南瓜(熊本)
ボンボラ…竹筒(石川)
であるが売春婦の意らしい

41.愛知県海部郡大治村(教電)
 〃 西春日井郡春日村(〃)
 〃 丹羽郡大口村(〃)
以上特に残っているものなき由、返信あり

42.中津川市(教委事務局)
1.ホッチョセ節 田柄町弥生旅館 伊藤いし氏が紹介
2.苗取唄 苗木山ノ田 永井こう(70才)が唄う
3.お城●掃き唄
別紙歌詞送付あり


0034
43.三重県一志郡一志町(教委)
イ.同町波瀬地区 山本友三郎 中川清志氏が唄う
1.子守唄
2.手毬唄
3.石搗唄 家屋建築のとき
4.臼すり唄
5.かんこ踊(室之口区)林庫次郎・斉藤一美
6.手踊(岩垣内)古田吉之助・西谷作造
ロ.同町八太地区
1.かんこ踊 山口一雄、新家義一

44.愛知県西春日井郡北里村(教電)
イ.残っている歌
1.わらべ唄 お天気に関する唄、動物を唄ったもの、人を唄ったもの、手まり唄
2.田草取り唄
3.唐臼ひき唄
4.粉ひき唄
5.機おり唄
6.酒屋米かし唄
歌詞は別紙
ロ.研究家 同村藤島 加藤鍬三郎氏
経済課丹羽氏より報告

45.岐阜県恵那郡蛭川村(公民館Tel蛭川26)
イ.1.杵振りおどり 同はやし
2.盆唄
ロ.研究家 同村助役 小川壮二


0035
46.愛知県愛知郡豊明町
1.研究家 同町下高根 塚本守男
2.同町大脇に梯子獅子あり 浜島鍬一郎氏

47.四日市市水沢公民館
主事 須藤勝見氏より報告
茶唄
茶摘唄があり 別紙歌詞あり

48.愛知県海部郡七宝村
同村遠島部落に太コ打の名人あり 教委・鷲尾氏より返事

49.愛知県東加茂郡足助町
足助節(他は新曲)のみ

50.梅戸井町 追加
同町 南金井
1.酒屋 米かし唄(1)、仕込み唄、あうぢがい(櫂)(3)、かい入れ(4)、山おろしがい(2)
2.ポンポコ節(地搗き唄)木●川系、忠臣蔵十二段踊りに
3.もみすり 粉ひき唄など
連絡先 南金井 徳善寺 細井顕教 清水宗代
小学校 岸本先生

51.三重県一志郡三雲村 教委
研究家 野田精一
唄手 田中由松 西出藤兵衛、瀧本滝右衛門
1.子守唄
2.臼すり唄



0036
3.麦たゝき唄
4.田草取唄
5.粉ひき唄
6.糸延唄
7.石搗唄
8.田植唄
以上別紙に歌詞あり

52.三重県三重郡菰野町
唄 嘉例踊の唄 田植唄他
人 池田末吉(83才) 杉谷●(音頭)田光地区

53.四日市市
秘書室長 市川善雄氏来社
日永つんつく踊り
四郷大念仏
冨田鯨舟
大入道

54.三重県度会郡南勢町 教委
1.民謠 南海相賀浦…かま 平家祭唄
田曽浦…よいころ節
五所・神原…さんさ踊唄
別紙歌詞
2.研究家 同町神津佐 名古健也氏

55.三重県南牟婁郡神志山村 教委
同村 志原 崎木豊次郎、輪野作治、後呂茂、垣内五六
神ノ木、辻敏夫
金山 島田楢十の唄手六人紹介あり くわしくは現地調査



0037
56.三重県三重郡楠町
公民館 川出重●氏より
氏神の祭ばやしに鯨舟ねり込みの唄があり 9月末収録可能

57.愛知県愛知郡長久手村
盆唄(ザイ踊)尺二寸の竹の両端に色紙をつけて両手で打合って踊った同村大字岩作の安昌寺(天正元年建立)の十日のおはな(旧暦の七月十日、九万九千日)の夜盛大に行われた。
田草取唄
臼ひき唄
籾すり唄
但し、村誌に記録あるのみ節は残っていない

58.愛知県丹羽郡扶桑町(教委)
1.子守唄
2.手毬唄
3.お手玉唄
4.手拍子唄
5.あそび唄
6.お月様いくつ
7.おらんが様
歌詞別紙、但、節は残っていない

59.三重県度会郡小俣町(教委)
羯鼓踊(カンコおどり)音頭
種類
1.入端★イレハ★、場所★バヅケ★、お寺、薩摩、天竺、陣立、燕★ツバ★、正月、姫子、守屋、豊后、引踊(以上12)
2.庭入、番附、大踊、お寺、長良、中踊、こち鎌倉、●江、入倉、宝踊、銭太鼓、中踊一本、姫子、綾踊、中踊、蒔田、引踊(以上18)


0038
60.三重県四日市市立保々公民館
何もない由返信あり

61.三重県鈴鹿郡関町
同町長伊藤茂氏より返信
一、鈴鹿馬子唄 大字坂下諸岡なか
〃木崎 佐野武市

一、石搗唄
木挽唄
茶摘唄
茶もみ唄
田草取唄
盆踊唄(8/15〜8/17)
加太地区、加太支所(加太1番)に録音あり

62.三重県員弁郡梅戸井町下見(1957.5.24)
資料提供者 同町教委長 小川謹二郎氏(シガーセット)1
1.わらべ唄
指導教官 岸本氏他2名 計3名(シガーケース)3
出演生徒 13名 計13名(パス入れ)13

2.民謠
盆踊り唄(松阪音頭)演目・先代萩・寺子屋・太十
地搗唄(ポンポコ節)忠臣蔵十二段
酒屋唄、米かし唄、山卸し梶、あうち櫂、櫂入れ
もみすり唄
粉ひき唄
以上世話人、細井顕教氏 (シガーセット)1
出演者 男6、女1 計7名(タオル)7



0039
謝礼品 シガーセット 2…1,600
シガーケース 3…720
タオル 7…1,680
パス入れ 15…750
計 4,750

63.伊勢市公民館
久保倉利彦館長より返信
研究家 杉本暁雲
唄手 大仲義一
1.伊勢音頭
2.麦打唄(三拍子)
3.臼すり唄
4.田草取唄
5.その他盆唄、音頭etc.
歌詩別紙

64.三重県飯南郡飯高町
唄手 山本よし81(同村小学校長の母)大字森
野木久兵衛77 大字青田
鬼頭弥四郎74 〃
盆唄など
同町大字森支所より返信

65.愛知県愛知郡日進村
唄 田ノ草とり唄 唄手 大字本郷小塚つる他5名
臼ひき唄
網ひき唄



0040
66.一宮市収録(1957.6.1)第二次
上田年夫氏 本田善郎
佐野哲志 角谷
所、同市浅野 森徳二郎氏宅内 六恩堂

1.藍突唄 2'40"
どんどどんどと突いてはおくれ、晩の上り(終業)が遅くなるよー(ヨイソレソレ)
つけぬつけぬはお手間(使用人)のくせよ、ついて白がぬ(白くならない)米はないよー
冨士の白雪朝日にとける、娘島田は寝てとけるよー
瀬田の唐橋、唐かね凝帽子、水に写るが●所の城よー
朝のかえりに之はさー(思案するの意)と思うた。之で終いかおめでたいよー
伊勢のお伊勢の大太神米、聞えますぞえ宮川えよー

2.木やりの唄 棒ふり(笠クドキ) 2'35"
此の地方の木やりは真清田神社建立に結びつくものである。棒ふりは棒をふりつつ、道行に唄う唄の総称
向え通子は(コリャコリャ)清十郎でないか(ハーエーヤーオイ)
笠が(エーコリャ)よく似た清十郎の笠に
(ハーヨーイヨーイヨーイ ヨーイ◆エーハーリャ◆、エーハー、リャ◆、ハーヨーイトネー)

3.粉曳き唄 1'10"
わしが唄えばお上手がそばで、唄に鉋をかけなさる
あした遊んで朝餅搗いて、昼はウドンで夜さ五目
後生願うより、臼ひきなされ、二升と三升ひきゃ五升になる
臼をひきます、追出しわり(最下等の麦)を御縁ないそうな噛みはせぬ

4.唐臼ひき唄@ 1'20"
するがのきは冨士の山、消える間もなき ねの雪よー
唄い出いたぞお寺のチャボが、ねぶた寝声でホロ◆とよー
めでためでたの若松様よ、鶴が御門に巣をかけるよー
わしとあなたは   よ、   世を暮らすよー


0041
唐臼ひき唄A 1'40"
染めて着せたい大工衆の浴衣エー
肩に道具箱、腰に小手斧エー、裾に鉋くず吹き散らすよー
いとし殿さが判じものくれたー
芝に豆の葉に栗の穂をくれたエー、しばらく逢わんね(○方に)、豆でやれよー
いとし殿さの浴衣の●様
野づる山づる、竹づる、木づる、藍の散らしは江戸まづるよー
妾しゃ山家の餌差の娘
女なれども二間の竿で ●いてみせます しじゅうから(「四十雀」と「始終 空」とかけている)をよー、
@は録音状態も歌詞も不良、Aは秀逸

5.伊勢音頭 6'45"
之は真清田神社の祭礼の音頭として唄われる
(ヨーイセー)めでためでたの(よいよい)
(エー)真清田様よ(ハーヨーイセー、ハーリセー)尾張氏子のそれは守り神
(ソレハ ヤートコセー、ヨーイヤナ アリヤリヤ、コレハノセー サア ヤレコノ コレハノセー)
めでためでたの御木曳きまつり、五百年目の此の祭
めでためでたの御木曳きまつり、稚子もひきます先網を
めでためでたの若松様よ、枝もかなわであざばかり

6.木やり唄 梯子登り
之は一名、櫓登りとも云う、木を上げるため組んだ櫓
イ) 52"
でよは ナーエ 目出度の ソコセソコセ、若松様よ ヒーヨンヨーイ、ヨーホンヨー、枝もナーエ、栄えて ソコセソコセ 葉も繁るとソレサ
ソレサンマコトカ オベタニアックイ シャッポニ ハチマキ ヨイサ◆エンヤラエー

ロ) 1'16"
ハー、えーん◆越後とナーナーエー、アー越后とナーエ
佐渡とエー、アリャユーコノユーコノ越后とノーエ、からさき、オーソレ



0042
さいた まことに ナーエ それえちがない ナーエ
橋を架きよより 舟橋を ハリワー コレハノセー

7.木やり唄、綱さばき 3'12"
エーイ、ヤーレヨー、エーンヤーンレヨー、ハーサ曳き網、ヤンレヤンソレ
ハリワイノエー エーヨーイ、エーヨーコリャコリャ ハーエーイ 目出度の
ヤイオーン、ヨイヨイ、ヨーイヨーイ 若松様ヨーイナ
ヤーサオー、ヨーイヨーイヨーイヨーイ葉も繁るヤサ曳き網
ヤーエー、ヤーンソレ、ハーリワイサノエー

8.木やり唄、棒ふり唄(道中クドキ)京木やりと地元では云う、他に太十、鳴戸、先代萩etc.あり
イ)石川五右衛門 8'00"
サーエ、ナンデモセーサーンヨーイセー(コリャ)
釜の中には(〃)五右衛門親子 ハーヨイセー、ハーリセー
石川や浜の真砂がつきるとも、世に盗人の種は断えまじ
こりゃやい五郎市よくきけよ(〃)そなたも五右衛門の子ぢゃないか(〃)
暑いと言うのもチッとの間、こわい夢ぢゃと思うて辛棒していやと(〃)
言えども何とも得言わず(〃)うろたえまいぞや父★トト★が子ぢゃ エー
言うて聞かすりゃきゝ分けて
「アーイ申し父様イノー、死ねる命は惜しまねど、もう一度母★カカ★さんに逢わるる事ぞ、逢わしてたべ」
言われて五右衛門胸せまり(〃)逢わする事はもうかなわぬと、ボッボと燃ゆる
釜の下(〃)グラグラグラと湯玉の上るその中に(〃)憐れや五右衛門可愛いや五郎市、抱き上げ(〃)互に見合す顔と顔(〃)南無阿弥陀仏(〃)
弥陀仏(〃)言うが此の世のソーレワイと暇乞い
ソーレヤートコセー、ヨーイヤナー、アリカリヤ、コレワノセー、サー、ナンデモセー

ロ)八百屋お七 3'18"
サーエ、ナンデモセー、ハーヨーイサーエ
奥の一間を(ソリャ)さらりと開けて、ハーヨーイセー、ハーリセー
吉さ吉と呼びおこす(〃)吉三郎も学問疲れが出たそうな


0043
机にもたれて(〃)て、すやすやと、ねむる姿がいじらしや(〃)お七の忍んで来たものに、目をさまして ソーレハ下しゃんせ、サーナンデモセー

9.田草取ぶし 1'45"
朝は朝露、晩げは夜露、昼は暑いに早うきておくれ、冷しウドンで待っておる。
切れた切れたは世間の噂、水は浮草、根が切れぬ
入れて貰えば気持は良いが、他所の風呂では気づつない
色で身を売る西瓜でさえも、中に苦労の種がある
妾しゃ貴方に草紙の紙よ、苦労してからはねられた
十五夜お月様油断はならぬ、四五日逢わねきや角が立つ
さまは三夜の三日月様よ、宵にチラリと見えたばかり

67.三重縣員弁郡梅戸井町収録(1957.6.7〜8)
上田年夫氏、本田善郎
佐野哲志、角谷忠彦、金田一男
一、所、同町、梅戸井小学校
同町 徳 善寺
一、助力者 同町教育長 小川謹二郎氏
同町小学校 岸本先生
徳善寺住職 細井顕教氏

1.まりつき唄 1'04"
つくつく帽子のカンテラは、誰にねがって鐘ついた。おじさん京都へ参る時、
赤いチリメン三尺と、白いチリメン三尺と合わせて六尺あるものを
隣りのおばばに盗まれて、お腹★ハラ★立てて腹立てて、そんなに腹が立つならば、紫川(紫川と云う川はこの近在にはない)へ飛び込んで、上から烏がつつくやら、下からめゝず(みみずの事○方)がつゝつくやら、つーつく、つゝく、柳の根元にかくした。


0044
2.さいきょ一唄(お手玉の事を此の地方でさいきょうと言う)
イ.おせん 1'15"
おせんや、おせんや、おせんさん、お前のさしてるカンザシは拾うたか
貰うたか、美しい、拾いも貰いも買いもせぬ、たった一人のおと息子(末息子)
びょーぶのないのに、れんげする(地元の人にも意味不明「れんげ」は「恋戯か?」)。
れんげするならお鶴さん、お鶴どこ行く
おんがゆく、おんがの道では嫁が出る
一でこばやし、2ですすみ、三で酒屋の帷子を、誰にやるとて買うてきた、おせんにやるとて買うてきた。おせん死なれて今日七日、七日々々の墓参り。
墓のぐるりに松植えて、松の小枝に鈴つけて、鈴がぢやんぢやんなる頃は、南無阿弥陀仏と手を合わす
一★ヒヤ★二★フ★ヤ三★ミー★四五六七八九で十★トンゴ★

ロ.おじゃみ 55"
おじゃみ 日清戦争◆、三韓征伐◆、義経弁慶◆
五条の橋◆、叢雲剣◆、長持箪笥◆
おゝみんな、ひとよせなっとくれ とんきん
おひ さくら さくら さくら とんきん
おふ さくら さくら とんきん
おみんな さくら とんきん
一よせ、二よせ、三よせ、とんきん
おんまのり、かえのり、かえのり、のりかえた
ばんとさん、ばんとさん、ばんとさん、とんきん
おぬけ、◆◆ ぬけた

ハ.おっさらい 1'55"
おっさらい、お一つ◆おとして おっさらい
お二つ◆ 〃
お三つ◆ 〃
お四つ◆ 〃



0045
おみんな さらえて おっさらい
おっ手上げ◆ おとして おっさらい
おっ手ばさみ◆ 〃
おちりんこ◆ 〃
おひだり◆ 右左、中切って 角★スマ★切って おっさらい
てれつき しょうつき おっさらい
おってんぶーし◆ まねんでおさらいよ
おちょんな◆
ひにふにだ、だるまさんのだ まねんで おさらいよ
おばさんの屋根こえ◆
お一つ屋根から むすけ お二つ屋根から むすけ まねんでおさらいよ
大橋★オーハシ★くんぐり橋◆、まねんで おさらいよ
おまけは一升 おまけは二升 おまけは三升★ショー★ おまけは一升 まねんでおさらいよ

ニ.ひやほの 20"
ひやほのおみさん どん椿 八重椿、開いたかどん、つぼんだかどん
こゝは箱根のはこ椿 一い二う三い四お五つ六う七な八や九ここで十★トンゴ★

3.お手突唄 2'30"
一つひよこが米の虫 タイナクナイナイ
二つ船には 船頭さんが 〃
三つ店には番頭さんが算盤持って 〃
四つ横浜異人さんが 〃
五つ医者さんが薬箱 〃
六つ昔は鎧着て 〃
七つ泣き味噌ひねり餅 〃
八つ役者は鉢巻 〃
九つ乞食はおわん持って 〃


0046
十★トンゴ★ 殿様お馬に乗って タイナイナイナイ
十一印度人は真黒けで 〃
十二兄さんは新聞よんで 〃
十三産婆さんはヤヤ抱いて 〃
十四新年おめでとう 〃
十五権兵衛は種まく 〃
十六六兵衛が土掘る 〃
十七日が出てびっくりして 〃
十八蜂がさいてふくれて 〃
十九櫛屋の嫁さんはやつしで(おしゃれで) 〃
廿二階からお化けが 〃

4.子守唄 1'35"
ねんねしゃれませ 未だ夜は明けぬ
あけりゃ お寺の鐘がなるよいよー(ネンネンネ、ヨイヨイヨー)
ねんねする子は良く見りゃ可愛い
起きて泣く子は面憎いよいヨー(〃)
この子良い子ぢゃボタ餅顔ぢゃ
黄粉つけたら美味しかろよいよー(〃)
鐘がなりゃましゃ いのいのとおしゃる
此所は寺町いつもなるよいよー(〃)
(奈良東部より伊賀にある一連の子守唄(文献による)と同系のものと思われる。つまり出だしだけは中国地方の子守唄、終節は、五木のそれに節が似たもの)

5.童詩
イ.からす 30"
からす かあ◆勘三郎 烏は神戸の鐘叩き
鳶とう◆ とう三郎、とんびは冨山の薬売り
後★アト★の奴★ヤツ★先になれ◆もう日がくれる

ロ.山の神 23"


0047
山の神の竹集め、くれん者、しわんぼ明日★アシタ★の朝からしようかんぼ

(この唄についてはP21に起源を記しあり、参照の事、尚早くとった子は、その升にある石を手拭でしばりつけ、他の子に見せびらかして歩くと云う昔の遊び)

ハ.きんかん 15"
きんかんよ 何処ゆく、雪隠★センチ★行く はまるなよ はまった
それみよ 親の言う事 きんかんで

ニ.子買おう 55"
子買お 子買お 子に何喰わす 砂糖やまんじう
そりゃ虫の大毒 ののさんのまゝに とと添えて喰わす
何杯喰わす 一杯喰わす 一杯では足らん
二 〃 二 〃
三 〃 三杯目はじょうの日 カア◆◆
(子供の群が二つに分れ、前の子の肩に両手をかけて縦に列ぶ、その列が向き合ってカケ合いで之を唄い、最后の「カア◆◆」は一方の先頭が唄いつゝ走り去る)

6.櫓音頭(木やり)3'30"
歌詞は院本に依る「いざり勝五郎」

7.木やり 4'00"
歌詞は院本に依る「石重丸」及び「忠臣蔵・大序」

8.木やり(網曳き) 2'25"
通●「こづき」と言う
ヤレコラ、ソーヂャエ
夏の夕立は山の根を伝う、死出の山路は針の根を伝う
おそゝの涎は こいつあ尻伝う
アーエーントコナ、エントコナ、アー、ソーヂャ、ソーヂャ、ソーニハチガイナイ
度々さしたらふちの木もすりむいたい、二度とはさすまい こいつあ目薬は、御前生★ゼンセイ★は偉いもんぢゃわれ◆風情は破れたスイノで片腕でふるとは、こちのくゞり戸はくゞり良い、くゞり戸ぢゃ、くゞりくゞりくゞったらくゞり良いくゞり戸ぢゃ


0048
9.ポカポン節 8'20"
之は地搗きの唄である。唄手と踊手は別れていて、刀を帯し、ザイを持って行う
初段鶴岡数多の大名が集まりて、義貞兜をそれよと顔世がめききする
塩谷が自慢でポンポコナ、ポカポン
二段目には、桃井屋敷へ若狭助なるカンシャクがとがむる本藏 まづ(つ)此の通りに遊ばせと扇子で松をば ポンポコナ、ポカポン
三段目には、文の返事をサヨゴロ(小夜衣と思われる「文の返事の小夜衣」となるべき)が恋の意趣で鮒だふなだと恥★ハジ★しめる
塩谷をとっつかましてポンポコナ、ポカポン
四段目には、入り来る御上使石堂馬之丞 出迎う判官かねて用意の白小袖
薬師寺自慢でポンポコナ、ポカポン
五段目は、興市兵衛親斎が縞の財布に金★カネ★五十両、思わず飛びくる猪★シシ★にそぶれし、二つ玉、定九郎、此世のいとま乞い、ポカポン
六段目(別に次の歌詞あり、収録は、次の歌詞によって)には舅を殺せし非道の勘平が武士の本望とげんため、思わず腹をばポンポコナ、ポカポン
七段目には、祇園町では一力屋、山科よりは一里半、忍んでくるのが力弥さん、合図の鯉口、チャンチャント、ポカポン
八段目には、戸無瀬小浪の道行で、山科さして大急ぎ
力弥を慕うて、ポンポコナ、ポカポン
九段目には表に本藏、鶴の巣籠りふきならし、大石は御無用と声をかけ戸無瀬が自慢でポンポコナ ポカポン
十段目には、町人乍らも武士に劣らぬ天川屋、釣り出す長持どっこいやらじと大あぐら、捕手をとっつかまして、ポンポコナ、ポカポン
十と一段目には、塩谷の家来が四十と七人集まりて、あそこやこゝやに、鎖梯子や縄梯子、かけ門かけ矢でポンポコナ、ポカポン
十と二段目(別に次の歌詞あり、収録は、次の歌詞による)には、塩谷の家来が主人の本望、打ちとげて、その名も高き泉岳寺、石碑に向うて腹をばポカポン



0049
六段目には舅を殺せし、非道の勘平が 原と千崎弥五郎が早野ありかをたづね来て、
二人「早野勘平、在宿をしめさるか、原郷右衛門、千崎弥五郎御意得たし」
勘「これはこれは御両所どもには見苦しきあばら家へ、ようこそおいで下され、そこは端近か、いざまず之へ」
原「見れば家内にとりこみもありそうな」
勘「いやさ之は些細な内しよう事、おかまいなくとも、いざまず之へ」
原「然れば御免下されい」
勘「御両所どもには一通りおきゝ下されい、夜前、弥五郎殿にお目にかかり、別れて帰る暗★クラ★まぎれ、折伏山越す猪に出合い、二つ玉にて打ち止めしは」
原「さゝその打ち止めしは」
勘「猪にはあらで我始」
原「思へば◆此の金は」
勘「むこと舅の七七日」
原「四十九日や五十両」
勘「合わせて百両百ヶ日」
原「追前供養」
二人「あとねんごろに弔われよ」
〃「勘平さらば」おさらばとポカポン
十と二段目には、塩谷の家来が主人の本望打ちとげて、その名も高い泉岳寺
石碑に向うて腹をば
「矢間どの いざ御焼香を」
「いづれも手前と申し、御ひいきは却って迷惑」
「いやひいきではござらぬ」
四十余人の連中が喜び勇んで、ポンポコナ、ポカポン

10.しなもみ唄(此地方では「茶もみ唄」をこう云う) 1'07"
いくらもんでも此の茶はもめぬ、何処のお婆がつんだやら
お茶の茶の茶の茶の木のもとで、お茶もつまずに色ばなし


0050
11.山摺り櫂(又は山卸し櫂) 1'25"
酒屋エー 御商売 ヨーアリャワイヨイナー、 花なら蕾 ハーソレカラソレカラ
今日も咲け咲け ヨーアリャワイヨイナー、明日も咲け アリャヨイヨイヨイ
酒屋男はヨー、アレクイヨーイナー 大名か公卿か、ヨーソレカラソレカラ
そばに六尺 ヨーアレワイヨーイナー、立ちならべ、アリャヨイヨイヨイ
(これは、一連の酒屋唄の一つ、収録しなかったが次のは、酒つくりの米かし唄である)
米かし唄
アゝドッコイナ 来るわいな お初(1)様が来るわいな、下駄はいてくるわいな、サイサイサイ
 〃 〃お中(2)様が 〃 島田で来るわいな 〃
((1)(2)註 米がとげるにつれて、1〜2へ唄が変ってゆく)

12.あうちがい 1'20"
酒は■より暖気を変えて、明日は嬉しゃ添いかける
酒は酒屋に良い茶は茶屋に女郎は桑名の七ツ屋に

13.櫂入れ唄 1'38"
酒屋百日、月なら三月★ミツキ★、ヤレ冬の寒さも寝て暮らす忘りょー
藏の窓から鈴鹿山が見える ヤレとけて流れてナンデモカンデモ仕込み水

14.茶摘唄 1'36"
江州茶どころヨー、茶は縁どころ、お茶の良いのが政所
お茶をつめつめ大葉★ダイハ★も小葉★ショーハ★も、つまにゃ日本の茶にならぬ
白鷺が小首かたげて二の足ふんで、あれもどじょうをねらうのか
(三節目は収録してない)

15.田植唄 1'45"
五月三十日泣く子がほしいや、畦に腰かけて乳飲ます、乳のますアーオイヤレ◆
五月五日にはお多度の祭、ござれ香取の茶屋でまつ◆ アーオイヤレオイヤレ
アゼツキャ ボタモチ

16.籾すり唄 46"
臼や舞え◆ョ、どんどと落ちよ、落ちな(落ちなければ)寝しな(寝る時)がおそくなる。
今年ゃ豊年穂に穂が咲いて、道の小草も米がなる



0051
布子買うより臼買うておくれ、うすい布子の替りする(収録なし)
今年ゃ豊年とかけもいらず、俵立てかけ、みで量る(収録なし)
(尚、粉ひき唄に下の如きものあり、収録してない)

粉ひき唄
粉ひきすりゃこそ、お手にもさわる、あいは見る馬鹿、思う馬鹿
今夜粉ひきぢゃに殿御もおじゃれ、臼が重いかと云うおいで
今夜粉ひきぢゃと云うてまでおくに、殿は如何様の御用ぢゃやら

17.千種鉱山金吹き唄 44"
金を叩いて佛になれば、世間の鍛冶屋はノーエ、みな佛
ハー備前、岡山、作州で津山、伊豫でで松山、●草山
(千種鉱山は、梅戸井町西南二里の鈴鹿山麓にあり、約六十年前は、盛んに鉱石を出していた。この唄を唄った小川佐三郎氏は当時、同所で金吹きに従事していたもので、その時より記憶していたもの)

18.中★ナカ★の綱(木やり) 2'45"
品川沖の鴎さえ、アーソコセソコセ、つがい離れぬ夫婦★メオト★づれ ソーレ
中の綱をエンエ、エンエ、エンヤコリャ◆、ハーソワサーノ、ハーソワソーノエン
夫の言葉に初花は アーソコセソコセ 連れそう私は女の身、力に思う主の身は、腰ひざ抜けて足なへと
なりやつれたる夫婦が流浪、蓄えにまで■きはてて、宿り定めぬ旅の空 ソーレ
中の綱………(以下収録なし)
相模は障子を押しひらき、日も早や西に斜きしが、夫の帰りがおそさよと、待つ間程なく熊谷が次郎直実が、花の蕾の敦盛の首打ちとりて、もはや無情をさとりしが、ソーレ、中の綱を………

19.伊勢音頭 3'35"
伊勢は津でもつ、津は伊勢でもつ、尾張名古屋は城でもつ


0052
伊勢で名所は数々あれど、外宮内宮に朝熊山、朝熊の山には椙の山
お杉、お玉の弾く三味は、縞さん、紺さん、浅葱さん
浅葱のもゝひき、ひざぬけさ、もうそこばかぢゃ そこばかぢゃ
古市女郎に常明寺、帰りはナーエ裸でヨイソリャ 行きゃしゃんせ
明日はお立ちか、お名残り惜しや、雨をふらしてもう一夜
(ハヤシ詞は通常のものと同じ省略)

20.松阪音頭
之は同村の盆踊唄である。収録は各一部のみ、歌詞し院本通り
イ.忠七 3'00"
折に二階へ勘平の妻の…
ロ.鮓屋 2'20"
夫婦となれば二世の縁、そうにつらき一つの言釈け…
ハ.太十 絵本太功記十段目
光秀の出 1'35"
十次郎 手負いの出 1'45"

21.江州音頭 2'50"
歌詞は院本の伽羅先代萩、政岡忠義の段
之も盆踊り唄
尚、三重郡菰野町●光の杉谷某と云う音頭とりがある由

68.三重縣安芸郡美里村
沢山の唄があり、8/2頃下見に来てほしいと電話あり
三重会館より長野行に乗車、栗原下車で役場



0053
69.三重県四日市市
社会教育課長 藤本浅郎氏より返信
イ.日永盆唄 元和元年五月織田信長の時代の事を読みこんでいる
笛・太鼓の伴奏
ロ.地搗唄 高野音頭
松阪音頭
伊陽音頭
ハ.海藏の盆唄 富田流
やぐら流
ニ.住吉音頭
ホ.鯨船の唄 突唄
梶なおし
流し唄
ヘ.日永つんつく踊
以上 別紙歌詩あり

研究家 内田金次62 市内東阿倉川町
伊藤鉄太郎88 〃日永大瀬古
唄手 橋本捨松60 〃中之町
笹岡鉄太郎58 〃東阿倉川町
内田貞三60 〃 〃
岡本宇吉78 〃 三ツ谷町
中山千三郎64 〃西阿倉川町
山本鉄吉73 〃 東阿倉川町


0054
70.愛知県南設楽郡下見(1957.7.4〜6)
資料提供者 ・北設楽郡設楽町 氏原 智
・南設楽郡鳳来町副川 夏目新太郎
・ 〃 新城町役場 近藤正春
・ 〃 〃 松井徳太郎
・ 〃 作手村役場 鈴木太冨
・ 〃 〃 西山辰男
・ 〃 〃大字川尻 阿部安孝
助力者 北設楽郡三河田口駅長 夏目徳重
・ 〃 豊鉄本郷営業所長 原田清次郎
 〃 設楽町助役 竹下喜兵衛
・南設楽郡作手村青年団長 石原 修
・ 〃 作手村中央中学校 ●権田昭一郎

(1)設楽★シタラ★町
此所では北設楽町村議会事務局長氏原氏の助力で稲武町を除く北設一帯の民謠の収録を援助される事となった。主なるものは下記の如くであるが、埋れた出演者の開発などのため、数回にわけて収録する様、要望あり、近日中第一回の収録に行き、盆唄から着手する事を約して来る
a)盆唄 設楽★シダラ★さんさ 唄と手拍子 中心は東栄町
おっさま甚句  〃東栄町下田
十六おどり
御岳おどり
やんさ踊り
数え唄 笛、太鼓、鉦
高い山から
津具音頭、笛、太鼓
b)花祭りの唄 郡下各地 パンフレットcf.


0055
c)さん候祭 同町三都橋他郡下各地
d)田楽 郡下各地
e)神楽 〃
f)労作唄 地搗唄 郡下各地
臼挽唄 〃
田植唄 〃
麦搗唄(ふみ臼) 〃
草刈唄 〃
g)童唄 同町三都橋 〃

2)新城町
a)放下踊(文部省無形文化財)
右図参照
b)笹踊り
年々十月十日冨永神社の祭礼に行われる。慶長八年癸卯に始まる



0056
c)火おんどり
註、尚各曲踊について詳細はP57〜59の写真を参照の事

3)作手★ツクデ★村
此所も設楽町と同様、無数と言って良い程、而も古い唄がある。又この村は、各部落ごとに芝居の舞台を持って(神社の神殿前に)祭礼と結んで演ぜられた様子である。まずその舞台から記せば、
川合舞台(廻しあり)アルバムcf
東田原★タバラ★舞台(雨を止める祈り)〃 (廻しの心棒の跡あり)
中河内舞台
川尻舞台(近年新築)
古宮★フルミヤ★舞台
その他




0057-0059略


0060
演目は院本ものの代表的なもので、寺小屋・太十・先代萩等が多い
演者は土地の人のみで、床は他所者と田舎まわりの役者による場合の二つである。
a)神楽 同村高里、十二所神社の9月28日の祭礼に演ず。
長篠城主、奥平公にみせるために初演されたもの(喜永の文久)
編成は四人、笛、太鼓、ヂャンガラ持ち、才藏
型式は女舞 約20分
このあとに嫁獅子が余呉につく、白足袋・白手甲・長じゅばん・腰巻に紋つき、帯の獅子頭をつけた女形が芝居裳ぞくの相手(立方)と二人で朝顔日記、三日太平記、忠七、寺子屋、千両幟、鏡山を演ずる
台詞は浄ルリ方が太鼓、笛と共にカゲで行う
尚十二所神社の末社、子安神社(神功皇后)の祭礼(旧3月4日)には男根を形どったサゝラで舞う唄あり

b)念仏踊 新盆を迎えた家の供養に20〜35才の部落の若者がつとめるもの。同村黒瀬と田代にあり、以下は黒瀬の斉藤氏の説明
笛・大小太鼓・鉦による六人の構成
1)新盆の家へゆく道行ばやし
2)門★カド★念仏(門★カド★がかり)とも云う、庭へ入る迄三回唄う
3)ノンゴー(仏の前まで唄う 三回くり返し)
●ノンゴーナムアミダブツ ナムアミダブツ◆◆
4)ダシ(唄い出しの意)
●わが親(子)に◆
●この堂に◆(お寺でつとめるとき)
5)和讃(死者の老若などで変る)
6)セイガンジ
●わが親の仏になられた夢をみて、うれし涙でぬるる袖かや…
ナムアミダブツ…
かくして座敷へ上り、礼拝し、帰りになると



0061
7)門念仏 2)と同じ
8)ノンゴー 3)と同じ
9)ダシ 4)と同じ
10)和讃 5)と同じ
11)ヤー
12)ツー
13)ウナル

1)〜6)は1時間半を要す
c)笹踊り(神代おどり)之は東田原の白鳥神社に関するもの 司・菅沢卯一、太鼓・鼓・笛の伴奏で約20人
●相生の松の緑もいく千代々々も、限りな…
d)浦安の舞 c)と同様
雅子舞 三管(笙・●・笛)と唄、約10人 昭和15年に出来たもの
●天地の……
e)御輿渡御の唄 c)と同じ
●千早やぶる、この御神の御民には、やよ神もやよやよ、そよ神もそよそよ
氏子栄えておーめでた
f)放下踊 同村、岩波で盆に行われる 4〜5人 司、中沢正純(森林組合)
g)労作唄
1)木挽唄
2)臼ひき唄
3)唐臼ひき唄
4)田植唄
5)田草とり唄
6)牛馬追い唄
以上西山、大石、斉藤氏
h)地搗唄
之は他町村と同様各種のものもあり
i)童唄 おじゃみ(お手玉)唄、まりつき唄etc.



0062
j)盆唄 長者平にあり
1)おおさま甚句
2)吉三
3)やんさ
4)高い山から
その他、田峯方面より来た扇をもった手踊

71.三重県安芸郡芸濃町
大字林の若林哲氏より
大字楠原に茶摘唄、御茶師唄が辛じて残っている由
追って他にも返事ある予定

72.愛知縣北設楽郡収録(第一次)(957.7.23〜24)
上田年夫氏 本田善郎
佐野哲志 仙田
収録助力者 北設町村会 氏原 智★サトシ★氏
三海海老● 夏目新太郎氏

盆踊唄
1.おっさま甚句 4'40"
おっさま(坊さん 光国舜玉和尚をたたえた唄?)甚句は何処からはよた(○方はやった)、三州振草(旧振草村)(オッサマ)下田から
(エーチョット)下田から三州振草(オッサマ)下田から
様よ三度笠そらしてかぶられ、少しやお顔も見とござる
お顔みたさに声きゝたさに、もうし矢立てがおちまする。色に迷うて手にとるまいぞ、名さえおそろし、蛇苺
お月やチョと出て山の峯★ネ★をてらす。吟のかんざしゃ髪ょてらす
鮎は瀬に住む、烏は木の枝に、人は情の下に住む

2.十六おどり 5'25"
今年始めて十六おどり、足で九つ手で七つ(手拍子足拍子)、えー手で七つ



0063
足で九つ、手で七つ
月の出頃と約束ぁしたが、お月や山端★バ★にわしゃこゝに
主さ今行きゃ何時頃帰る、廿日頃来る来月の
風が戸叩きゃうつつでおきて、月に恥かしわが姿(よばいの唄)
一人ねる夜は見てさえ辛い、枕屏風の夫婦鶴、
今年ぁ十六ささげの年よ、だれにつませず(つませようか)初なりを

3.津具音頭 6'42"
津具はよいとこ 柳の並木 娘可愛いや柳腰
柳腰々々 娘可愛いや柳腰
(ソーレヒーケ、ヤーレヒケ、アラヨイショのヨイショ)
初音きいたか天神山に恋の初音の一声を
わたしゃ早乙女岩間の清水、津具の谷出て濁された
空は暗舟五月の暗に、恋に鳴くかよ時鳥(土地名)
(之は久しく断えていたものを近年土地の人が復活したもので歌詞も新らしいものが入っている)

4.数え唄 3'33"(五つまで)
(新盆の弔いのための儀式の一つ、高張提灯を先頭にした若衆があみ笠をかぶり弓張提灯を腰にして、新盆の家へくり込んでおどる)
一つとせーの さーあのえー
一つ本町の(本庄は)桑名町(桑の町)米屋の娘がおるよとて
このじょーかいなー
二人姉妹ある中を押分け忍ぶは吉三さん
見れば見事なかんざしを おるよにささせて振りをみる
夜昼通いの吉三さん、足袋も(金の)雪駄★セキダ★もたまるまい
何時来てみても戸は開かぬ あけておくれよおるよさん
むくげの花さえ二度咲くに おるよと吉三は何故咲かぬ
何を言うにも語るにも おるよが(親が)けんどで語られぬ
屋敷広めて部屋たてて おるよと吉三は(の)ねてくらす(色訪)
ここで死のうか腹切ろか おるよをつれて逃げようか
とくりかんべんしてみたが、盃ならぬがまゝならぬ


0064
一夜作りの甘酒を おるよに飲ませて味をみる
十二一重の八重桜 一枝おくれよ吉三さん
十三ばかりで産をする(して) それでもよいかよ吉三さん
白い木綿を四尺ばか(ばかり)(四尺ばかりの白絹で)これが(それだも)産着になるかいな
十五で男を五人もち(五人男をもつ中で)中で(一に)よいのが吉三さん
十六戸壁に穴あけて 足やり手やり心やり
質においたるカンザシを 受け出しておくれよ 吉三さん
(七夜もまたずに髪を結うて、それでもよいかよ吉三さん)
八方地獄へめしゃおちる、助けておくれよ(後を頼むよ)吉三さん
十九大厄女の厄 大事になされよおるよさん
続きもおりえず手の効かず それでもよいかよ吉三さん
一々申せば長いこと 之が終りの数え唄

5.やんさ踊り唄 4'10"
やんさ弥之介ぁ 来たそうでござる コリャ 一分雪駄★セキダ★のヤンサ音がする
エー音がする ヤツコラ音がする コリャ 一分雪駄のヤンサ音がする
一分雪駄の音しょとまゝや わしが主さは二分雪駄
盆にゃおいでよ七月おいで 死んだ仏も盆にゃくる
来るか来るかとまたせておいて どこへそれたか夏の雨
お月様の様なまん円顔の 色の小白な殿ほしや
色が黒くていやならおよし 烏一羽で暮しゃせぬ

6.御岳★オンタケ★おどり 6'10"
木曽の御岳 夏でも寒い 袷やりたや 袷やりたや足袋そえて
コリヤ サゝ 足袋そえて 袷やりたや 袷やりたや 足袋そえて
袷ばかりはやられもせまい じゅばん仕立てて文そえて
泣いてうつむきゃ前カンザシが、落ちてタゝミのへりに立つ
声はすれ共姿が見えぬ 姿見しょやれ時鳥
咲いた桜に何故駒つなぐ 駒が勇めば花が散る
髪の結いぶり刀のさし様 山家お客にゃめづらしや



0065
(この唄は明らかに伊那節の祖と思われる。又、安曇節にも大変よく似ている)

7.のと 4'10"
のとのはりまはソーメン所、空が曇ればならぬしょく
アーならぬしょく 空が曇ればならぬしょく
ならぬしょくじょくねばねのとんや お顔はらいで銭ょこぎる(値切る)
お顔はらいでもこぎらにやならぬ、これもみすぎのためぢゃもの
みすぎよすぎの金さえあれば、いやよ まゝ子のある中は、揃ろた揃たよ踊子が揃ろた、稲の出穂よりまだそろた
稲は穂に出て畦よりかゝる わたしゃ主さによりかゝる

8.さんさ 4'05"
さんさ ふれふれ 五尺の袖を 今宵ふらでは サンサ 何時の夜に
さんさ何時の夜に 今宵ふらでは さんさ 何時の夜に
山で木を切る音なつかしや 夫★トト★が炭焼く音じゃもの
遠いあぜ道よく来てくれた。すそがぬれつら(るだろう)豆の葉で
踊りましょぞえ まだ夜は夜中 あけりゃ坊様鐘をつく
花とみられて咲かぬは無念 さけば実がなるお恥かし

出演は 東栄町下田及月★ツキ★の人 1.2.6.7.8
津具村の人 3
設楽町神田★カダ★の人 4.5

9.同地の盆唄についてのインタビュー 11'00"
氏原 智氏
上田年夫氏


0066
73.美濃加茂市より
何もない由返事あり(教委会)

74.愛知縣南設楽郡作手村収録(1957.8.5〜7)
上田年夫氏 本田善郎
鈴木調整課長 佐野哲志 瀬尾朝美
収録協力者 鈴木太冨 教育長
西山辰男氏
●田昭一郎先生
巴小学校長 川合重雄 杉浦先生 他村長・助役
援助者 鴨谷、鈴木与三郎氏
東田原 西尾岩三郎氏
黒瀬 荻野利一氏

イ)巴小学校にて収録の童唄
1.毬つき唄 1'45"
みつなゝやことんで みつなゝやこ 二じょ みつなゝやこ 三じょのじょ
さーらし◆とんで さーらし◆ 二じょ さーらし◆ 三じょのじょ
一ちょ二ちょ三ちょ
水仙々々 とんで 水仙 二じょ 水仙 三じょのじょ
一ちょ二ちょ三ちょ……十ちょ、 とかいど
まず◆一かん貸しました
みつなゝやこ一二、みつなゝやこ一二、みつなゝやこ一三じょのじょ
さーらし◆一二、さーらし◆一二、さーらし◆一三じょのじょ
一ちょ二ちょ三ちょ……六ちょ
水仙々々一二、水仙水仙一二、一三じょのじょ 以下略

2.おじゃみの唄(お手玉唄) 50" 50"
a.サンヨー山は霧深し、筑摩の川は波はらし(あらしの誤りならん)、遙かにきこゆる物音は
逆巻く波かすがものか、上る朝日の旗のヒモ、ひらめくひらも


0067
クル◆◆◆とばかりは じんじょせん めぐり合いするときの声
嵐もあいもあわしょく 敵はこの旗かき乱す、川中島の戦は
語るもきくも勇ましや

b.お一つ、お一つ、お一つ、おいてさらり(P44 2-11と比較)
お二つ、◆◆、 〃
お三つ、◆◆、 〃
おな おいてさらり
手のせ◆◆、おいてさらり
手ばさみ◆◆、 〃
おつりんこ◆◆、 〃
おってんぼぅし、◆◆ 〃
おしたり、◆◆、 〃
こーばし、◆◆、 〃以下略

3.縄とび唄 35" 18" 55" 10" 22"
a.一羽の鴉がカア◆、
二羽の鶏がコケコッコー
三匹魚がおよいでる
四匹猫がニャー◆
五匹仔豚がブーブー
一月二月………十二月(この唄に合わせてとんでいる子が動作する)

b.熊さん◆廻れ右
〃 両手を上げて
 〃 片足上げて
 〃両手をついて
 〃 さようなら

c.一かけ二かけ三かけて四かけて五かけて橋をかけ
橋のランカン腰下し、遙か向うを見渡せば十七八の姉さんが
花と線香手に持って、モシ◆姉さん何処行くの、私は



0068
九州鹿児島へ、西郷隆盛娘です。明治十年三月三日
お戦死なされた父上のお墓参りにまいります。お墓の前で手を合わせ、南無々々、々々、々々、ジッチャンポイ
d.いちじく、にんじん、山椒に、椎茸、ごぼうにもくろく 七くさはったけきうりにとーがん
e.ゆーびんさん、走りゃんせ、もうじき十二時だ
ハガキが十枚おちました。一枚二枚………十枚

4.遊戯唄 1'16" 1'08"
a)隣りのおばさんちょとおいで(A) 鬼が怖くて行けれない(B)
お釜かぶって 〃 それはよいけど誰にしよ
あの子がほしい あの子ぢゃ判らん
この子 〃 この子 〃
相談しましょ 相談しましょ
○○さんがほしい◆(○○と○○が引きあいをし)
(こゝで指された ○○がBよりAへ移る)
勝ってうれしい花いちもんめ
まけてくやしい 花いちもんめ(以下くり返し)
b)坊さん◆どこ行くの 一人●私は田甫へ稲刈りに
私も一諸につれしゃんせ 一人●お前が来ると邪魔になる
このカン◆坊主クソ坊主
○○ちゃんのあとの正面ダーレ 一人●××さん
(以下 くり返し)
以上NO.1Tp.

ロ)高里 長者平 十二所神社にて収録分
1.神楽唄
之は嘉永・文久の頃、長篠城主、奥平公に供覧のため始めたもので九月廿八日の同社祭礼に行われる獅子舞の神楽である
笛・太鼓・ヂャンガラ(チャッパ)と才藏と云う編成の女舞、神楽のあとに余興



0069
として段物がつく
a.神楽唄 8'39"
みなえ さえ えじゃくのと おのえさえ えをもって ナー
悪魔を拂うと 目出たいよー、太平楽ょと改まるよー
シャレナーエ
めでた◆の若松様は
シャレナーエ
枝も栄えりゃ 若葉もしげる
シャレナーエ
こんど はりだに そのきでおやりなー
村中繁盛と あげ奉る
まいらする神を いさめられな
旅の人どおり それはなー
お伊勢へ七度 熊野へ八度 それはなー
愛宕様へとよいや 月参り
「ああ、ぬけたいな」(才藏)
「ああ ぬけたいな」(楽屋)

b.段もの
イ.朝顔日記 大井川 以上NO.2Tp.
ロ.お七吉三 No.1Tp.


2.労作唄
a.木挽唄 1'03"
大工さまより木びきさんは嫌よ 仲のよい木をひきわける
●アーシメコメ シメコメ
お前一人が連れ衆はないか、連れ衆あとから竃でくる
鯉は瀬に住む鳥は木の枝に 人は情の下にすむ
●アーシメコメ シメコメ

b.臼ひき唄 1'00"



0070
臼の軽さよ相手のよさよ、相手変るな 明日の夜も
今宵臼ひきゃ皆様ごくろう 内の旦那様尚ごくろう
あなたさえ良きゃわしゃどこまでも 東ゃ上総のはてまでも

c.地搗唄 3'00"
目出度々々々の若松様は、枝も栄える●ヨホイホイ、葉も繁る◆
●こらせの末繁盛 ヨイショ◆(これを婚礼に唄うときはこの唄で●を胴上げする)
目出度々々々が三つ重なりて、鶴が御門へ巣をかけた
鶴が御門に何と言うてかけた、お家繁盛と言うてかけた
これがお家の大黒柱、調子揃えてついてくりよ
これがお家の辰巳の柱、心揃えてついてくりよ

d.田植唄 55"
姉はキリシマ妹はサツキ サツキ負けるなキリシマに
雨の降る日は来るなと言うたに、ぬれてシヨタレ(しおたれ)て又来たか
(註第二節はヨバイの事を唄ったもの)
以上No.2Tp.

ハ)岩波・吉祥院にて収録分
岩波盆踊唄
この盆踊は、古い形体をそのまま今に伝えたものと思われ以下の如き編成になっている。
編成、盆踊青年衆−篠笛5、〆太鼓3、鉦1、大拍子1、桶胴1、その他踊り衆
この青年衆が部落の家々を訪れて、その庭先で踊り供養をするわけである。
1.道行 その名の如く、家から家へ、家から寺へ行く道中のハヤシ
2.ハネコミ このハヤシで家の庭に入る
3.手踊り これが眼目の踊りである
4.ひき踊り 帰り仕度
5.道行 次の家(寺)へ

a.道行 2'37"
之は唄はなく、囃子のみ。十二記・門前町・宮神楽の三種があり之を交々使う
(NO.1Tp.に高里のハヤシ(門前町・しんぐるま・しぐれ・十二記





0071
があり、参照の事。但し、高里では門前町は出発のハヤシとなっている)

b.はねこみ 3'07"
これも囃子のみで唄はない。これをハヤシて道から家の庭に入る

c.手踊り
所謂盆踊りは、この手踊りである。以下の如く多種あるが、いづれも北三河独自のもの(順不同)

1)せっせ踊り 45"
せっせ踊りが今始まるに、婆さ出てみよ孫抱いて、●チョット セッセノドードー
●今始まるに、婆さ出てみよ孫抱いて、チョットセッセノドードー
盆の十四日踊らぬ奴は、縁に腰かけ色ばなし●
揃ろた揃ろたよ踊子が揃ろた稲の出穂よりよく揃ろた●
2)やんさ踊り 1'30"
やんさ弥之介来たその背戸へ、一分雪駄のヤンサ音がする
●雪駄の一分、一分雪駄のヤンサ音がする
わたしゃ唄好き 嫌い 冨士の山でもヤンサ唄で越す(以下略)
3)高い山から 2'23"
高い山から谷底みればヨー 瓜やなすびの花盛りヨー●ハリワヨイ◆◆
●谷底みればヨー瓜やなすびの花盛りヨーハリワヨイ◆◆
ついておいでよ 此の提灯に、消して暗う(決して苦労をかけた意)はかけやせぬ
赤いパラソル伊達にはさゝぬ、日よけ雨よけ男よけ
4)こらさ節 1'30"
こらさ どっこいさでもうけた金を、(ただの一夜で)茶わん一つで●チャッチャコチャカ
●コラサ◆もうけた金をサー茶わん一つでチャッチャコチャ コラサ◆
あの娘よい娘だ十二や十三でサー一夜おいでと袖をひく
声が出なけりゃ豚の尻★ケツ★しゃぶれ、豚の尻から声が出る 以上No.3Tp.

5)すくいさ節 1'50"
何が何でもすくいさでなけにゃ、東ゃ切れても夜は明けぬ
●チョイト夜は明けぬ 東ゃ切れても、夜は明けぬ



0072
主は廿一私は十九、始終仲よくしてみたい
私ゃ十六ささげの年よ、誰につませる初なりを

6)とよえ節 1'50"
とよえ節ならエーヨーホイ、ならわにゃならぬ、国の土産とせにゃならぬ
●トヨエー 土産と国の、国の土産とせにゃならぬ トヨエー
姉もさしたに、妹もおさし、同じ蛇目のカラ傘を

7)数え唄 1'55"
(P63-4 設楽町神田と同じ、節は多少異なる。三番まで収録) 以上NO.4Tp.

d.ひき踊り 6'44"
エー東西静まり お静まり ●(全員返し)
エー静めし所で唄を出す エー之なるお庭の玉椿
之より三本枝で出て、一の枝には蕾咲き
次の枝には花が咲き 三の枝には実がなりて
その実をしぼりて油とし、灯し上げます御仏に
唄も踊りも未だあれど、これにておいとま申して帰ります。
(こゝで道行となるのであるが、「所望」の声がかゝると次の返し踊りとなる。返し踊りにはいろ◆あるがその一つ)

e.返し踊り 6'53"
「所望」
エー返し踊りが所望なら●(全員返し)
も一度返してお目にかけう 昔々その昔
西行法師と言う人が、始めて東へ上るとき
熱田の宮にて休まれて、之程涼しい宮の名を
何故に熱田と名をつけた、唄も踊りも数あれど
余り長いは座の無礼、おいとま申して、いざ帰る
いざいざ さらば いざさらば 以上TP.NO.3

E
(この唄は比較的若い人の初盆の時に歌ひます)
1.昔、昔、その昔
2.加藤左衛門重氏は
3.佛法修業のそのために
4.高野の御山に登られて
5.苅萓幸門と名乗られて
6.石童丸は幼くも
7.母と共々国を出で
8.父を探して幾百里
9.母は病にたほれしも
10.高野の御山へ唯一人
11.今童人と尋ねられ
12.めぐり逢しが顔知らず
13.名乗らず帰る悲しみは
14.寒にも哀れな物語り
15.今も此の世に傳はれり

(この唄は老人の初盆の時に歌っております)
1.そも◆七月十四日
2.これなる御庭え入り込んで
3.お庭の四方を眺むれば
4.東のお庭に松を植へ
5.西のお庭に香を植へ
6.中に珍し水仙ありて
7.鶴と亀とが楽遊び


0073
ニ)黒瀬にて収録分

a.黒瀬念仏唄
(此地方は檀家であるに拘らず、この念仏唄は浄土宗のものと思われる)
編成は、大太鼓一、鉄胴〆太鼓二、鉦六と笛

1)道行
門前町 2'05"、十二記 1'03"−鉦を除いたすべてで家から家への道中をはやす
2)念仏唄 20'10"
一人●ナムアミダブツ◆◆ナムアミダ 六人●ナムアミダンブツ◆◆ナムアミダ(以上を門念仏と言う)
一人●ノンゴー、ナムアミダブツ◆◆ナムアミダ、六人●返し(以上をノンゴーと言う)
エナー、今朝迄は今朝迄は(合唱)
エナー、見上げ見下すみせ親を
エナー、今ははなれて便りなし
エナー、数多の子供あつまりて
エナー、手とり足とり押し寄せて
エナー、七重の屏風ひきまわして
エナー、我親の我親の
エナー、野辺立つ衣縫う時は
オナー、涙つゞいて針みえず
エナー、針目細かに縫いきせて
オナー、野辺へ野辺へと送りやる
エナー、そのとき我親浮ばれる
エナー、よく◆念仏申すべし(以上は、初盆の親和讃)
一人●オナー、ナムアミダブー、ナムアミダンブー、六人●(返し)(つなぎ念仏)

我親の佛になられて、夢をみて、うれし涙でねるる袖かよ



0074
●ナムアミダンブ、ナムアミダブツ、ナムアミダ
ナムアミダンブツ、ナムアミダ、ナムアミダ
●ナムアミダ、ナムアミダンブツ、ナムアミダ
●ナムアミダ◆◆ナムアミダブツ
●ナムアミダブツ アー◆◆ ナムアミダンブ
●オーナムアミダブツ、オー、ナムアミダンブツ◆
●ナムアミダブツ、 アーナムアミダンブツ
●ナムアミダ、アー ナムアミダ(以上を誓願寺と云う)
●願以至功徳、平等……往生安楽園(以上NO.5Tp.)
(こうして、座敷に上り馳走がすむと)

3)お礼念仏(茶返し念仏)唄 7'50"
●ヤー、ナンマイダ ヤー ナンマイダ、ナムアミダ ヤーナンマイダンブ
● 〃  〃  〃  〃
●ツー、ナンマイダブ、ナムアミダブ ナムアミダ
アーナムアミダ、アーナムアミダンブ
● 〃  〃  〃  〃
  〃  〃
●ナマイダ ナマイダンブツ◆ナムアミダブ ナマイダンブツ
●ナマイダンブ ナムアミダ◆ヤーナマイダンブ
●ヤーナマイダ、ヤーナマイダ ナムアミダー、ナムアミダー
ナマイダンブー
●ヤーナマイダ ナムアミダンブツ ナムアミダ
ナムアミダンブツ、ナマイダンブツ ナムアミダ ナムアミダブー
●願以至功徳……往来安楽園

4)道行 1)と同じで帰る
b)労作唄
1)木挽唄 40"



0075
アー恋ぢゃ目を病む、思いぢゃやせる、恋を止めたらナー目が良かろ
面白いぞや津島のまつり、山にゃ提灯、川にゃ舟

2)臼ひき唄 40"
臼よまわれよ相手のよさよ、相手変るな明日の夜も
主と旅すりゃ泥田の水も、ミリン焼酎の味がする

3)地搗唄 1'20"
めでた◆が三つ重なりて、鶴が御門に ヨホイホイ巣をかけた
コラヨーの末繁盛 ヨイショ◆◆
之がお家の大黒柱、心揃えてヨホイホイついてくりょ

c)子守唄 35"
ねんね◆とねる子は可愛いよ、起きて泣く子は面憎い
守りと言うのはつまらんものだよ、他人★ヒト★の軒端に立ちくらすよ(収録これまで)
守りは守りづれ子供は子づれ、若い女子は男づれ

ホ)東田原にて収録分
a)白鳥神社祭礼の唄
これは、裃姿の十三人の男が奉仕する。九月廿九日の祭礼の行事である。同社には天明七年(1787)の記録がある文書あり、この行事が記してある、又同社については元禄四年(1691)の記録あり
おねり 半数の人は白紙をまいた竹杖をつき、他の半数は、神酒・鏡餅や山海の産物を盛った三宝を捧げて御奥に供奉し、西田原を往復する。之をおねりと云う
神代踊 おねりを終えて東田原へ帰り、舞台で演ずる踊りで、足ぶりに舞楽風の色が感じられ、最后は、三番のモミを思わせる謠がかりとなる。踊は十三人が玉串をもつ
以上についての記録は、「天明七年日本神祇総管領長 大上白顕明王●」がある
楽器は楽太鼓、鼓、●(ツケ兼用)


0076
1)おねりの唄 2'33"
千早振る此のお神のお旅には
ツケ●ヤヨ神も ヤーヨヤヨ
御幣もソヨソヨ みすもそよめく
●サヨ神もサーヨサヨ
氏子も栄えて おーめでた
●ソヨ神も ソーヨソヨ
(楽太鼓 ○・○・○○○・○○○・○○○○○○○・)(収録は之をリピート)

2)神代踊 4'50"
● キザミ(開幕)
ハーハーハー(踊子に出を与える切掛となる)
高砂の松の若葉も重なりていく千代々々も限りなのサマヨイ
○○○○○○・○○○
ハイヨーイ ○○○○・○○○・○○・○○○
相生の松の若葉も重なりて、いく千代千代も限りなの サマヨイ(以下同じ)
住吉の
国も豊かに治まる御代の(以下謠ガカリ)
君も 〃
民も 〃
浜の松風ザゞンザー(鼓打切 ●キザミ)

b)労作唄
1)唐臼ひき唄 1'03"
臼の軽さよ相手のよさよ、相手変るな明日の夜も
今年ゃ豊年穂に穂がさいて、田原外面★トーモ★(拡がった田ん甫)に金の波
田原芝居どこ一度はおいで、宮の●から三味の音

2)地搗唄 1'05"
之がお家の大黒柱 心揃えてついてくれ オモシロヤ ヨーの末繁盛
めでた◆が三つ重なりて、鶴が御門へヨ巣をかけたオモシロヤ 〃


0077
白紙

0078
鳳来町●字一色 川合金光